意外な出会い
「……ほんと、ありがとうございました、おかげで意外な出会いもあったし……ありがとうございました……!」
後日、グエルに呼ばれてそんなお礼をされた。
「こちらこそ、ありがとう、グエルがいなかったら勝てなかった戦いだった、本当にありがとう」
「いえ、それで今日呼んだ理由なんですけど、この後ギルドマスターのところに来てください、どうしても合わせたい人がいるんですって」
「……サクラぁ?……わかった、いく」
「では、私もギルドへ行くので途中までご一緒に」
適当な雑談をしながら、ギルドまでの道を行く。
かなり離れていても、ドラゴンの像が目立つ、今やこの国のシンボルだ。
「……サクラ、入るぞ」
ノックをして、中に入る。
俺に背を向けている人が3人、茶を飲んでいた。
「おう、カルカトス、来たか。
話は聞いている、おそらくこれから一層ずつ、守護者たちと戦うことになるんだろう。
ならば、二十層の守護者と、因縁のある人物がいるだろ?」
そう言って視線を、俺に背を向けている人が3人に向ける。
白銀の髪、緑の瞳、俺の真逆とも言える色のこいつは……
「……グリム……グリム デイドリーム……!?」
「……覚えててくれたんですね、カル兄さん、お久しぶりです。
私たち三人、みんな強くなりました」
「な、なんでここに」
「ギルドが大幅に変わったので、ギルドカードの更新、あとは」
「私が、次代の竜王に挨拶に来た……」
「拙者はその付き添い」
「九十二層、私を連れて行って、クロンに、今度は私もちゃんと戦えるぐらい強くなったから。
私は、今度こそ、兄さんと同等に戦えるレベルに達したから」
「どこにいたんだよお前ら、戦争とか色々あったろうに」
「この島から抜けてたのよ、海のはるか向こうに、少し旅に行ってたの。
そこで私たちは強くなった、ここほど強い人たちはいなかったけど、でも知らないところでお互いを高めあってきた。
だから、私たちはすごく強い、その人たちの意志も背負って戦うから、強いの」
「……それ、許されてる?」
「許しを乞う様に見える?」
「どうだカルカトス?兄妹同士、積もる話もあるだろうし、九十二層、こいつとでどうだ?」
「あぁ、わかった。
グリム、いつから空いてる?」
「今からでも」
「なら、今から行こう。
ありがとうサクラ、あと、フウボクも、スノウも、二人とも強くなったんだな」
「是非、戦ってみたい……」
「いつか、拙者らと戦って見てほしい」
「……あぁ!もちろんだ」
「……ほんと、久しぶりだな、グリム」
「そうだね、いい顔するようになったね」
「……あぁ、もう、この世にキメラは居ない」
「?私たちや、兄さんがいるよ?」
「……どうだか……いないと思うけどな」
「……も、もしかして……アルマトゥーラや、コリに、クリンゲは?」
「……っ懐かしいなぁ!?戦ったよ!」
凄く懐かしい名前だ、俺じゃない頃の俺が戦って勝った相手。
間違いなくあのころの俺が戦って勝てるような敵じゃなかった。
けどあの時勝てたのは、俺が、成功した怪物だったからだ。
「……でも、それでもキメラはいないの?」
「いないさ、どこにも、俺の心の中にあるのは、キメラだってことを嫌がる……『人間』の俺の、自分勝手な心だ」
「……っふふ、物は言いようね」
「いいじゃないか、どんな形にもなれる、素晴らしいことだ」
「……兄さん」
「……なんだ」
「私たち三人、やっと前に進める。
あなたよりも強くなって、私たちは、頑張るの」
「……あぁ、頑張れ」
「……あの、兄さん」
「ん?」
「アルマトゥーラや、コリとクリンゲと、戦ったんだよね」
「あぁ」
「その奥にさ……『アイビー』っていた?」
「……おく?……あぁ、行ったさ奥にも、でも何も無かったぞ?」
「……うそ、アイビー……まさかあの子逃げ出したの……!?」
「……アイビーって誰だ?」
「あ、ええっと……三人があなたの胴体とかを使って作られてたでしょ?アイビーは、あなたの完全上位互換、でも力が強すぎたから、あなたの内臓を使って、ストッパーをかけてたの。
あの子は、あなた以外で唯一『悪夢魔術』を使えるの」
「っな!?……そ、そんなやつ、どこに!?」
「分からない……けど何もしてないってことは、寿命が来て死んだか、それとも今は平穏にどこかで暮らしてるか」
「……そうか、それじゃ、行こうか、九十二層!」
「懐かしいなぁ……クロン……!」
確かに、因縁があるならクロンとは。
今思い出した、ずっと横にいたけど、最後は俺とライの独壇場だった。
「……早速、亡霊共のお出ましだな」
アンデットを前に、俺は笑った、やはりここは楽しくて仕方ない




