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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、君だ
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抵抗

「……っおらぁっ!」


 剣を振る、鎖が一瞬途切れた瞬間に、檻から飛び出す。


「そうそれ、その凄まじい動き、それこそが、君の力だ」


「グエル!黒魔法!!」


 そう言って、返事も待たずに走り出す。

はるか後ろまで伸ばした鎖がこっちの方へ伸びてくる、きっと身体が吹き飛ぶような一撃だろうが、それでもいい、黒魔法に助けてもらう。


「っ……」


 パァン!と弾ける音、俺が弾けた音がこの階層に響いた。


「……ぐ、グエル!?」


「『抵抗(レジスト)』された!」


 なるほど、それって確かに俺もするぐらいの当然の手だけど……グエルの黒魔法、そんなに簡単に対応できるものじゃない……


 いや、俺の目の前にいるのは、そんなことを簡単に出来ない奴じゃない。


「……本気で、行かせてもらうよ!悪いけどね!!」


 手を振った、しかし俺には何も影響はない。

ハッとして後ろを振り向いた、音がその瞬間聞こえた。


「っ!!」


 グエルが鎖を杖で受けた瞬間だ。


「それじゃダメだ」


 さっきまでの目の前、今の俺の背後から声が聞こえた。

急いで振り向くと、腹を高速回転する鎖に抉られ、首に巻き付けられた鎖と、手錠に足枷、あの一瞬でこの拘束具合だ、動けないっ!?


「……そこで君はアレを使う」


 無詠唱で使った悪夢魔術の身体操作。

しかしその体の膨張が上手くいかない……体を強く締める鎖と、呪いのせいで魔法すらも上手く扱えない。


「ッッ!!」


「完封だ、そしてこれで終わりなのかい……?」


 派手な殺し方を選んでくれる、真上に突き上げた鎖、その先に括り付けられた斧を振り下ろしてくる。


「やっぱりあんたは英雄なんだな……!」


 相手を殺す瞬間にも、最高の敬意を払う。

それは、眼帯を外した左眼で見えていた、ここまで拘束されるのも、想定済みの話だ。


「『精霊魔術』〈血さえもあなた(アシッドハニー)〉」


 ボロっと鎖は腐り落ちる。

腐食の血、あっという間にボロボロにした、どんなに呪いを積み重ねても、これはあくまで鎖だ、腐る。


「っな!?」


 いい隙を晒してくれた、俺の精一杯の抵抗を!


「っっおおぁ!!」


 呪いは無視だ、そんなもの突破した、100%以上の本気で踏み込む。

腕を切り飛ばし、驚いた顔をしているアライト、次の行動も見えている。


「っおらぁぁ!!」


 それを気合で身体を無理に反らせる。

服の胸元から飛び出した大量の針、無理に体を反らせたせいで、呪いの方に向けていたせいで上手く治っていない腹部が更に開いた。

だが、そこから俺の血が出ている。忌み嫌うべき呪われた血だ


「『悪夢魔術(ナイトメアマジック)』〈血の追跡者(ブラッドストーカー)〉!!」


 ニイッと笑う、借りるぞ、ミリア!


「っな!?」


 血が吹き出して、それにかかる、腐食はこのレベルの魔族には効かないみたいだ。

そのまま体を回してラジアンの篭手を使って裏拳を放つ。


「っおわっ!……っ!?」


「……すげぇ」


 裏拳を避けられたのに、身体が勝手にそれに対応して攻撃が当たった?


「……凄いねソレも」


「俺の大切な仲間の固有スキル、それを真似したんだ、四天王の一人だ、弱いわけが無い」


 ニヤッと笑う、腹の傷はふさがった。

アライトの採血は、戦いの間にこっそり済ませておいた。


「いい仲間を持ったんだね、ぜひ会いたい」


「すぐに会えますよ」


 後ろを振り返る、グエル……凄いな、無傷じゃないか?


「グエル!サポートいるか!?」


 そういうと、一瞬俺と目が合って


「いいです!あなたが来たらもっと攻撃が苛烈になる!そっちで押えて、早く!」


 早く勝ってくれ、と言いたいんだろう


「……わかった!」


 片腕になったアライトにそのまま肉弾戦を、超近距離で行う。


「鎖を出す暇はあるか!?」


 そう言って、どんどん連撃を重ねていく。


「っあるさっ!!」


 瞬間、突然鎖にから娶られる。


「ノーモーション……!!」


「そゆこ……とっ!!」


 そのまま俺の身体を鎖が持ち上げて振り回して壁に叩けつけられる。

ぐるっと身体を回し、壁に足をつけようとする。


 するとそれを読まれて、鎖諸共俺の体を回された。


「ッゲ……!」


 壁に頭から突き刺さった、めちゃくちゃ痛い。


「さぁ、どうする」


 そんな声が聞こえた。

両腕が使えないなか、足で壁を蹴り頭をほりだす。

そのまま自然落下していくと、さっきまで俺がいたところに巨大な杭が突き刺さった。


「っ!」


 殺意高すぎて声も出ない。


「もういっちょ!!」


 俺の真上に、巨大な金槌を持ってアライトが現れる。


「なんで金槌!?」


「武器になりそうなものは触ったことがなくてね!」


 家でも立てていた時に持っていたのかもしれないが、こんな使い方をされるとは思わなかっただろうな。


 ゴロゴロと寝返り、それを避ける、地響きが凄い。

しかしこっちの呪いはそこまで重くなさそうだ、悪夢魔術で体積を増やして鎖を弾き切る。


「ぅおらっ!!」


 その瞬間、膨張した身体を金槌で叩きつけてくる。

見事な魔力感知制度、俺の一番叩かれたくない、確かにダメージの入る核を叩いてきた。


「っぉえっ!?」


 肋の骨を一気に持っていかれた。

この人、鎖を使った中遠距離線が得意だと思っていたけど、武器も使ったことがないだろうに!ただのフィジカルと、金槌とかいう俺の経験の浅い武器だからか、こうも強い!


「『我が命に課された鎖』『全てを同じ高さの土俵に』『それを拒む鎖があろうと』『鎖であればいつかは繋がる』〈連鎖(チェインチェイサー)〉」


 そう言いながら振るった金槌、地面に叩きつけた瞬間、その地響きが俺の身体に巻きついている鎖に響く。

身体をより強い力が襲ってきた。


「……っ……!」


「……さぁまだ起き上がれるだろう?だが、これで終わりだ」


 もう一度地面を叩きつけようとする、また来る、アレが!


「……どうする!?英雄!!」


「……グエルッ!!」

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