彩り
「………っしまった、また守護者を上にあげてしまった。
この人がもしもフレイぐらいのろくでなしだったらどうしよう……!」
とりあえず、仮の家にまで持ってきたが……
「カルカトス?どうかしたの?」
ジトッとろくでなしかどうかを確かめていたが、その目を訝しむ訳ではなく、見られている理由が気になるらしい。
いい子そう……じゃない、フレイも、最初から最後までみんなに信用されてたしなぁ……サーラーも突然暴れだしたし
「……その目は……疑心暗鬼になってるね?」
ピンッと指を立ててそういった。
「……あぁ、まぁ色々あったからな、一応知ってるんだろ?俺が迷宮に潜ってきたその様子を」
「……あぁ、そういうことね、フレイさんはよくやったよね、五十層以降の目的はね『未練を解消すること』に加えて『全力を出すこと』なんだ」
「……それでそれで?」
多分言っちゃいけない事なんだろうけど、ペラペラ喋ってくれそうだから是非とも今のうちに聞き出しておきたい。
「それでね!例えば今までに足りない全力を出すって言うのだけどさ、フレイさん性格悪くってさ〜!
あの人の言う全力っていうのは化かし合うことも含まれてるんだよ、だから不意打ち上等、戦いで全てを振り絞る戦い方はあの人だからできた事だよね!」
俺が話を聞こうとするということは、疑心暗鬼をとく理由になるかとも、楽しそうに話し始める。
「なんで手を抜いたりしてるんだろうな?」
「それはね!新しい英雄を見つけるため!」
「……新しい英雄?」
「そう!そう入ってもただの英雄じゃないよ!どの英雄よりも強くあって欲しいし!私たちの作った迷宮をクリアしてもらうんだ!」
ちょっとまて……今なんて言った?
「……作っ……た?だと?」
「いえーす!つくったんだー!あの人に誘われてさ、私たち9人集まってむっずかしぃ!ってなる迷宮を作るんだ、力が足りないものには死を!しかし勇気が先走るものには!栄光と力を!
そして!力と共に勇気を手にし!栄光を掴む勇ましき雄を皆はこう読んだ!」
両手を広げ、立ち上がり、回りながら、ビシッと止まり、俺の方を向いてこういう。
「英雄と」
「……それが、あの迷宮の目的?」
「いえーす!いえすいえーす!
私たちと戦って貰うんだ、そして、あげるんだよ、プレゼント!フレイさん風に言うなら……!『祝福』!」
左様ですか……だがもっと気になるところがある。
「それで?……その、お前たちを『呼んだ人』は?」
そういうと、やはりその嬉しそうな顔そのままに!口を開く?
「あぁ!その人はね!しょだいっ!?……」
その瞬間、ゴチンと音が鳴って、頭がガクンと地面に叩きつけられた。
そして、そのまま頭から地面がめり込んだ。
頭から地面に突き刺さる形で、刺さった。
「……え?」
何が……起きた?
「……っお、おい!?リリー!?おい!!」
き、気絶してる……?
いやなんだこれ……どういう力で殴られた?
いや、どこから殴られたんだ!?
「おい!おい!!起きろ!」
そうして揺さぶると、やっと起きた。
「っは……ったた……いくらなんでもやりすぎじゃない?酷くない?私の頭馬鹿になっちゃうよ」
あえて元から馬鹿だとか言ったら口聞いてくんないかもと思い
「誰にやられた!?」
「あぁ、安心して〜これは私たちを呼んだ人の一撃だよ。
別にそういう魔法持ってる訳じゃないんだけどね、そういう……技っていうか、縛りみたいな感じ?」
「縛りぃ?」
「そそ、未練叶えてあげる!強いのとも戦わせてあげる!新たな英雄の誕生に立ち会わせてあげる!だーかーら!ちょっとは言うこと聞いてねって」
なるほど?
「ま、私の事はいいのよー、もう元気元気!
さっ、てっ、とこの国はまだまだ悲しいね、私に言わせれば色が無い無い」
チッチッチー……と指をクイクイしながら笑う。
「……色?」
「いえす!お花を……咲かせましょーな!」
手をブンと振ると、花が咲きほこる。
家の外に出て身体ごと手を振れば、咲き乱れる花が、規則的に綺麗に花壇もないのに花が咲いた。
色とりどりだけど、ぐちゃぐちゃしてない。
芸術家だからだろうか?その配色に違和感はなく、ただただ感嘆の声が出る。
「彩り色とりどり、色彩豊か……凄いな、街に花が咲いた、街が見違えたな」
「っへっへー!どーよ!これで私の事!性悪じゃないってわかったでしょ!?」
「あー、どうだか……うそうそ、嬉しいよ、綺麗になって、俺が代表して言うよ、ありがとう」
少し悲しそうな顔をした後、礼を言うと嬉しそうな顔をした




