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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰かのために、己を捨てることをも厭わない者だ
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集団戦と背中を合わせる心強さ

「ささっ、9層にも着いた……後1つで休憩ポイントただな」


「そういえば、皆さんランクはいくつなんですか?」


 8層は、共に戦ったが……動きが明らかに別物だ。


 仮にも、8層程度で燻っているレベルのものの動きではない。


「んー?グエルちゃん以外はみんなゴールドだよー!」


「!凄いですね!」


「でしょー?それに、バンクとクロルはもうそろそろプラチナも、目に見えてきてるんだー!」


「!本当に凄いですね!」


「ははっ、よせよせ、恥ずいって」


「……まぁ、努力の甲斐があった」


「……あれ?なら、どこまで潜ったことがあるんですか?」


「3人の時は20層まで潜ったぞ」


「2つ目の休憩ポイントはなんか抜けない剣がいっぱい刺さってたな」


「あそこ、なーんか意味深よね〜」


「……3人で20層……!?」


 やばい……予想を遥かに超える凄い人達なんだ……!


「す、凄い人達だね」


『だな、エン、俺も同感だ……そして心強いな』


「なら、どうしてそれより先に行かなかったんですか?」


「あの頃の俺たちは、あそこに着いただけでもうボロボロだったからな……1度引くことにしたんだ」


「そしたら、グエルちゃん見つけてな!あいつはいい黒魔道士だ!って誘ったもんだよ」


「私は女の子が増えてラッキー!戦力増加はさらにラッキー」


「浅い階層で皆のコンビネーションとか、その他には……基礎能力の確認とかだね」


 『ヘルハウンドを倒せる準備をしてきた』そう評価したが……あのヘルハウンドでさえも、体力測定の1種と呼べるほどの実力者3人……気づけないものだな。


「だけど、カルカトス君、きみの動きも見ていて、そして、共に戦ってわかったことがある

……君には才能があるね」


「さ、才能?てすか?」


 クロルさんが顔をズズイと寄せてそう言う。


「……君は『相手の気持ち』を汲み取るのが上手い……それは、味方にも、敵にも上手く働く事だろう」


「……いくつか、思い当たる節はありますね」


 相手の死角を縫うように攻めるのが俺の戦い方……確かに、その通りかもしれない。


「先読み、死角を突く、時に味方を広い視線で見ている……君がたくさんの武器を使うということはそれだけ見る時の立ち位置が変わるということだ

剣を持っている時と弓を持っている時、きっと見える世界は違うのだろうが、君はそれでも戦えている……すごいことだ、立派な才能だよ」


「クロル~!お前にしては随分と饒舌に、それも、深く語っちゃってー随分と気に入った様子だなぁー?」


「あぁ、俺はかなりカルカトス君を気に入ってるさ

……君さえ良ければパーティーに組み込みたい位にはね?」


「うーん……それは、やめときます」


「そうか、なんだかそんな気はしたさ」


 だが、即席とはいえ、非常に助かるものが多い。


 背中合わせ、大した危険もなく、順調に進む。


 そして、10層にたどり着いた。

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