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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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ナイトとラーン

「……おぉ!来ましたかカルカトス」


 そう言って、俺の顔を見て少し驚いた様な、嬉しそうな顔をする魔王様。


「はい、俺はこの格好ならバレないかなって思って……剣はアイテムボックスの中に隠しておいて、表に出しておくのはこの無骨な鉄の剣です」


 この剣は、ラジアンの篭手を作ってくれたクリアンゼさんが作っていた一振を頂いた。

今や随分と使い続けられて、買い換えるかそれとも鍛え直すかの瀬戸際らしい剣を少し鍛えて渡してくれた。


「以前にあった小僧が今や四天王か、感慨深いなぁ……ラジアンを頼んだぞ」


 そんな言葉と共に渡された剣。

俺の容姿は、栗色の髪に緑の瞳、駆け出し冒険者の少し死線をくぐったような少年だ。

目つきは悪く、チクチクとした髪型と、それに似通った荒い性格で行こうと思っている。


「声も変えてみました、これなら俺だとバレないかなって」


 少し高めの声に変えておいた。


「えぇ、私も私の魔眼で見るまでは少し確信を持てないほどでした……いいですね、いかにもって感じで」


 俺とラジアンの設定は時期外れの新人冒険者が迷宮探索にネルカートへ!……と思っていたら戦争が始まると聞いたのでネルカートに滞在する……そんな流れで忍び込もうと思っている。


 そんなラジアンの格好は……


「……あ、いましたね、こんばんは」


 丁寧な言葉使い、物静かな口調、そして、おしとやかな雰囲気。


「……お、おまっ……まさか……」


「っそーだよぉっ!私がラジアンでーす!!」


 キャピっとその用紙に似合わないポーズをしながらそう宣言された。


 ロングの赤髪が派手だが、おっとりとした目元と青い目がそれを差し引いてもやはり静かそうな印象を抱かせる……そしてこいつも剣士だ……何よりも気になるのは


「お前胸盛ってるだろ」


 明らかに胸が大きい。


「そ、そういうのは言っちゃダメなの!!で、どう!?

……どうですか?私……変ですか?」


 おぉ、こいつ演技力なかなかかもしれん、同一人物とは思えない。


「いや、なかなかいい、誰もお前がラジアンだとは思うまい……ですよね、魔王様」


 そういうと、初めてこの姿を見るらしい魔王様は半分引きながら


「え、えぇ……らしくないにも程がありますが……まぁ、それが目的ですし……」


 なんて言った様子だった。


「それじゃ、ちゃんと1からお互い自己紹介しよっか……まずはカルカトスからどうぞ!」


「俺からかよっ!?

……ゴホン……えぇっと、俺の名前は『ナイト』!性はねぇ!

夢は特にねぇが誰にも負けたくねぇ!

幼馴染の……あー……ほにゃららとはまぁ仲良くやってる!よろしく!」


 名前は何にするか聞いてないので濁しておく。

ナイトの由来は『ナイトメア』と『アクナイト』2つともナイトが入ってるから、入れた。

ナイトメアは悪夢でアクナイトは花の名前だがな。


「次は私だね〜!

えぇっと……私の名前は『ラーン』性は無いです。

夢は……安心して過ごせるようになること。

幼馴染のナイトは、大事な仲間……よろしくお願いします」


 あぁっ、なんかむず痒い!背中が痒くなるこの感じ!

名前の由来はラジアン ハイラーンのラーンかな?

魔族において最強を意味するその名前が彼女を支えるのかな?


「うわぁ、2人とも揃いも揃ってイメージと変わったねぇ」


 エンブラーさんがそういうのなら相当なのだろう。

俺たちは2人目を合わせて……俺が肩を組んで、ラーンは迷惑そうにそっぽを向く。


「あ、今の2人凄くそれっぽいですよ」


 そう言ってナルヴァーがシャッターを押した……ミリアへの贈り物だった小型のカメラ。


「お、いいですね、後でくださいな」


 ディスターヴさんがそう言ってニコニコしている。


「ま、それじゃ、今から夜行船に乗ってネルカートへ向かってください……今度こそ頼みましたよ」


 ラジアンに、俺が昔使っていた小容量のアイテムボックスを渡して、その中に剣や篭手を入れている。


 途中まで飛んでいって、その後船に乗る手続きをして船に乗る。

偽装した証明書だが、流石はディスターヴ作、疑われることなく入り込めた。


「ナイト、楽しみ?」


 そう言って、船室の中で俺に声をかけてくるラーン。


「少しだけ……微妙な気持ちだ。

仲間だった人達に刃を向けないといけないことになるかもだからな」


 正直に答えた。


「そっか……その時は私に任せてもいいからね?

私は、カルカトスの味方だから」


「……ナイト、な」


「いや、間違えてないよ……おやすみ、ナイト」


 そう言ってランタンの光を消して、2段ベッドの上に行く。

俺もその声に従って手探りでベットに入り込んだ。


 ギルドカードのランクはシルバーランク。

俺たち2人とも迷宮に行けるようになってすぐにやってきた新米冒険者。


「おやすみ、ラーン」


 ナイトとラーン。

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