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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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敗走と戦争

「……っと言った様子で……詰まるところ失敗しました……すいません」


「僕がもっと堪えていられれば、カルカトス様が蹂躙してくださったでしょうが、力及ばず……申し訳ありません……!」


 そうして、俺たちふたりは跪いて魔王様に謝罪と作戦の失敗を伝えた。


「ふむ……奇襲を成功させようと少数精鋭で作戦を実行しようと思いましたが、これは……思ったよりもまずいですね

2人とも、よく生きて帰って、情報を届けてくださいました……」


「っというと?」


 イマイチ濁された言い方をする魔王様に詳しいことを聞こうと口を開く。

そして、魔王様の後ろでにやにやしてるラジアンは後で殴ろう。


「いえ、やはりまだ、内通者と言いましょうか?

こちらの行動が筒抜けであるようですから……ここはひとつ、賭けを今度してみましょうか」


「……賭け?」


「えぇ、またいずれ、魔界の皆に偽の情報を流しましょう。

そして、ここにいる我々四天王のみで、別の行動を取ります。

もしこれで対応された場合……犯人はこの中にいるということです。

まぁ、無論この中に既にいた場合、この賭けは成立しません、そういう意味でも、賭けていますがね」


 なるほど。

しかし国民の中にいたところで、それをどう炙り出す気なのだろうか?


「そこからはまたおいおい話すとしましょうか

さて……奇襲は失敗、情報は筒抜け、こちらの最高戦力は一つ欠けてしまっています……そして、開戦はやはり回避できないでしょう」


 皆、重々しく頷く。

あのエンブラーさんも、争いはやむ無し、と言った顔だ。


 正直、人と魔族が手を取り合う世界は希望に満ち溢れているが、希望通りに通る未来は見えない。


 やはりどちらかが、何かしらの不満を感じるだろう。

それはきっと、平行線の同じ目的を抱えているから。


 より良い『我が』種族の発展それに尽きるだろう。


「そこでっ!やはりあなたがこの戦争のキーマンです!」


 俺の方をビシッと指さして宣言する魔王様


「……やはりですか」


 正直読めていた。

俺という存在は、こういう時にかなり役に立つ。


 だって、俺はこういう時のために作られた。

そう、シュプ フングも言っていたじゃないか。


「あなたの魔術で、姿形を変えて中に潜り込み、内部破壊をお願いします」


「最悪は中で化け物になってでも、1人でも多く道連れにしますよ」


「心強いですね……そして、これもまた、少数精鋭での作戦になります……流石のあなたといえど、1人は流石に荷が重いでしょう」


 それに関しては事実だ、情けないが頷くばかりだ。


「で、す、の、で。

ラジアン、あなたも行きなさい」


「んんっ!?いいの!?私暴れていいの!?」


「いきなりは行けません、基本的にはカルカトスのギルドカードに連絡を随時行います。

それに則って行動していただきたいですが……もしもの場合はカルカトス、ラジアン、あなた達ふたりに委ねることでしょう」


「お言葉ですが……ラジアンはどうやって侵入を?」


「あなたがラジアンを隠せばいいのです……出来ますか?」


 できないことは無いだろう。

辺りの光を屈折させる生物の力を借りるなり、俺がラジアンを一時的に取り込んだり……


 アイビーが変装出来たら一番なんだが、どうにもあいつは自分の体を変えるのが苦手らしい。


「アイビーに頼んで、変装用のものを用意してもらうのはどうですか?」


「なるほど、アイビーも立派な我々の仲間です、異論ありません、お願いできますか?アイビー?」


「っは、はい!任せてくださいっ!」


「おっ!張り切ってるねぇー!それじゃ後で色々おねがーい、見た目はねーそーだなぁ……」


 楽しそうにそう言っているラジアンを境に、会議は終わりとなった。


 俺は俺の部下たちに声をかけて、全員集めて色々話した。


「っと言うわけだ、当分は俺はヘルヴェティアに居ない……その間のリーダーはリッチロードにお願いしたい。

そして1人では大変なこともあるだろうから、サブにノルド、お前達ふたりなら俺は安心できる。

無論、その間みんなで彼らをサポートしてやってくれ」


 知らない間に俺の部下はかなり増えていて、他のところと遜色ない。

中でもミリアの部下はバラバラになって、一番人数の少ない俺のところにはかなり多めに配属された。


 スカルバン……ミリアの所の付き人は俺のところに配属された。

てっきりナルヴァーのところだと思っていたが、意外だ。


「スカルバン、お前は……まぁ色々あったんだ、遠慮はいらない、ただ、きっとお前の力を借りることも多いだろうからその時は頼む、フランチェスカはみんなの健康面とかを頼む、きっと精神的にみんなキツくなるだろう、お前もきつくなったらいつでも俺に言うんだぞ?」


 各々返事を返してくれて……まぁその他も色々話をして、こんなところで終わりだな。


 よし、俺もあとは変装を完璧なものにできるように色々調整して……よし、これでいいかな。


 さて、ラジアンと魔王様、アイビーやナルヴァー達に会いに行こう。

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