ライバル再開
「……っし、着いた着いた、よっと」
ヒョイっと飛んでネルカートの地面を踏む。
「……久しぶりに帰ってきたきがするぞ、ラング!」
ラングが迎えに来てくれていた
「事実、久しぶりだしな、おかえり2人とも!よく戦った!」
その後、ラングとライト宛に取っておいたお土産を渡しておく。
「んお、これって本か、ありがとう、宿でゆっくり読ませてもらうぜー!ライトも気に入るだろうしな」
「ライトはどこにいる?私が帰ってきたのに」
「ライトはギルドの特別指南役として指導に行ってる、ささ、冷やかしに行こう」
「ほほぉ、よしわかった、冷やかしに行こうか。さらばだ『人間』」
「あぁ、じゃあな『バカドラ』」
ニヤッと2人して獰猛に笑い合い別れる。
これで奴とは本当にライバルに元通りか……あいつにはライバル視すらされていないかもと思っていたが、それは杞憂だったみたいでよかった。
さぁ、愛しのアイビーは……いたっ!
「アーイーピー!」
走っていくと、シアさんも見えた。お構い無しにピョーンと飛びつく
「か、カル!?やめてよ人見てる!?」
「あらあら、2人とも仲良いなぁー」
なんて言ってにやにやしているシアに助けを求めつつも俺におかえりを言ってくれた。
「幸せそうだね、ホント……」
「シアにもお土産があるんだ、ほら、ハンカチだ」
「あら綺麗、ありがとう、今度使うわ」
「アイビーには前にテレビで見た安眠セット、賭けに勝ってな、貰えたんだ」
嬉しそうな顔をしてくれて何よりだ。
その後俺の家まで3人で帰って、シアは仕事の休み時間に来てくれていたらしく、教会へと戻っていった。
「……ところでアイビー、ミリアは見つかったか?」
向こうにいる間もずっとそれが気になっていた。
自分が所属している魔王軍の大切な四天王の一人。
行方不明のままではどうしても放っておけない。
「やっぱりネルカートにはいないと思います。
ネズミや猫、鳥を造って、私も自分の足で探してみましたが、影も形も……」
アイビーの悪夢魔術は身体から切り離して別の命を作れる。
それは最近知ったことだが、俺もそれがしたいものだ。
「そうか、そこまで探してもいなかったか……俺の方から魔王様に報告しておくよ、ありがとう、助かった」
「いえ、見つけられなくてごめんなさい」
「いないってことがわかったんだ、上出来さ」
「……って言うわけです、魔王様」
「なるほど……私としてはやはり私の元に奇襲をかけてきたあの者たちの仕業だと思っています。
明日、私の方に来ていただけませんか?
それはもちろん、アイビーも一緒に、そして最高峰の警戒をしてです」
「……分かりました、明日、そちらの方に向かいます。
ミリアの方にもお土産がありますし、みんなにもお土産があるんで、楽しにしておいて下さい」
「あら、ありがとうございます。
あなた達ふたりの戦い見させていただきましたよ、とても素晴らしかったですし、これなら土の勇者以外はラジアン1人に任せれば構わないでしょう。
恐らく水の勇者や異世界の勇者も、4人まとめてラジアン1人で十分です」
「……あの、お言葉ですが魔王様、ラジアン一人には荷が重いかと」
あいつは強いが、俺とサクラ2人でギリギリの相手にあいつ一人で……しかも4対1、さすがに無理だ
「それは以前までのラジアン、あの子はどんどんと強くなっています、あなたも負けられませんよ?」
「……本当にそうみたいですね……困ったな、もっと強くならないと」
「ふふっ、でもあなたの存在も私たちにとってとても助かっています。
戦力の把握にしても、ネルカートの内部を簡単にさぐれる貴方に感謝しています」
「これぐらい……お易い御用です、それでは、この辺で。
アイビーに明日のことも話しておきたいですし」
「分かりました、それではまた明日、お土産楽しみにしていますからね」
そう言って会話を終える。
戦争に備えないといけない可能性が、どんどんと出てきた。
「アイビー、明日の事について話がある、明日急な話になるが、魔王様から召集がかかった、明日の朝には家を出るつもりだ、ゆっくり休んで明日また一緒に行こう」
「はい、分かりました!」
キリッとした顔をしているが、どこか面白い。
みんなにあげるお土産、あの人には珍味で、あいつは冒険者名鑑、吸血鬼には小型のカメラ、黒竜には紅茶の茶葉、魔王様にはドライフルーツ、部下のみんなにはお菓子の詰め合わせ……よし全部あるな、あ、エンブラーさんにもちょっとお菓子持っていこう
「おやすみ、アイビー」
「はいっ!おやすみなさい!」
嬉しそうに枕に顔を突っ込む。
いつもリビングで寝ているから時おり目を覚ますことがあったが、これでアイビーはゆっくり寝れそうだ。
俺も寝よっと。




