音のきせき
「あんたらから、花を奪わせてもらうぜ」
そう言って剣をかまえる男、それに合わせて杖を構える男。
その2人に今にも飛び掛りそうなサクラを軽くてでたしなめる。
「まぁ、待てよサクラ。
あんたらにも話があるんだ、俺たち別にシード権なんていらないんだけどさ、どーにも暇を持て余していてさ、ゲームに勝てば、花をやるよ、あんたらだって何も迷宮最高記録保持者とドラゴンを相手するんだ、タダじゃすまねぇぞ?」
そう言って軽く圧をかけながら話をすると、剣を少し提げて話に乗ってくる。
「分かった、そのゲーム、付き合おう」
よし、乗ったな、おちょくってやるぜ
「どーも、じゃ、ゲームを始めよう、この中から一輪、本物の花がある、本物以外は俺の魔法で作った造花とでも言った所でな、外したらペナルティーもある、どうだ?」
腕から悪夢魔術で作った花を咲かせ、その中に1輪だけ本物を指している。
コツコツと靴音を立てながら立ち寄る。
難しい顔をしたあと、一輪花を抜く。
「ハズレだね」
そう言って、抜いた花が赤く鮮烈に燃え始める。
「うわっ!?」
驚いて咄嗟に手を離す。
剣士が驚いたタイミングで、俺の目の前から剣士は消えた。
正確には消し飛ばされた、サクラの手によって。
「おいおいサクラァ、いくらなんでもやりすぎだろー?」
「何ー?やりすぎ〜?ペナルティーでしょー?」
こういう細々としたのできなさそうだったから正直予想通り……それ以上の速度で吹き飛んだ。
魔法使いの彼も、そのままサクラが殴り倒した。
そして拾った花をサクラが魔法で焼き払った。
「これでマイナス2だな」
「だなー、他のヤツらもやるとしようか」
そう言って俺が狙いをつけたのは、警戒に警戒を重ね、2人背中合わせになっている、明らかに身なりのいい女性と男性。
「あの二人で行くか」
バラを胸に指し、如何にもと言ったところだ。
輝石を彼らの少し離れたところに置く。
サクラには既にある程度説明は済ませている。
コツコツと靴音が彼らの少し遠くから聞こえてくる。
「誰だっ!?」
いや、言うわけないでしょ、そう思いながら、その声を合図に俺とサクラが飛び出し、サクラが男性の方を大剣で殴り飛ばし、俺もまた、ぐるんと回りながら腰の辺りにキツい蹴りを放ち蹴り飛ばす。
「なかなか悪くない道具だな」
「だな、それじゃこの花も焼こうか」
花は2輪、うーん、防衛に回るには少々早い気も……漁夫の利作戦だったのかな?
なんて重いながらあと3組も直ぐにたたきつぶし、食事の注文表を取って、食事を戦いの中でもゆっくりと楽しみ、花を2輪、転送装置の前で焼いた後、移動した。
「後半誰も私たちを襲わなかったな」
そう言うサクラの言葉に答える。
「だな、俺たち以外にも飯を食ってるヤツらは沢山いた。
多分、花を持ってないと思われたか、俺たちが花を焼いてるのを見て自分の花も焼いていると思われたんだろ」
「なるほどな、そうかもしれん」
注文表で頼んだシュークリームを頬張るサクラ。
横でケーキを食べる俺。
「なぁ、そろそろ話すか?私たちのお互いの隠し事」
「だな、外に出よう、風に当たりながら話したい」
「奇遇だな、私もだ、潮風に気を休められる気はないがな」
そう言ってお互い船の窓から出て、甲板に座り、話を始める




