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訓練【カルカトス】

「……よぉ『サクラ』」


「……あぁ『カルカトス』」


 大剣を装備して、鱗のおかげで装備の重量は最低限に抑えられている。

桜色の髪は初めてあった時よりも長く伸びて、赤い目が蘭々と輝く。


 俺は腰にハウルをさして、体術を最大限生かすための最低限の装備と黒い篭手。

黒い髪に黒い目、今や隠す必要もない。


「……どうするんだ?カルカトス」


「ソウルドに向かう。

俺たちは、個々の実力は最高級品。

しかし、コンビとしては初歩の初歩も知らない。

ましてや、俺たちの相性は……」


「「最悪…………っふははっ!」」


 お互い、ケラケラと笑い合うが、笑い事じゃないことは確かだ。


 歩きながら、少し街を離れる。


「で!?ソウルドで一体何をするって言うんだ!?」


「ソウルドは軍事国家、その国の何よりも、軍事力に力を加えている。

なんでもメイドでさえもシルバーランクの冒険者相当の強さを持っているとか」


 なるほどと声を漏らしながら呟いた。


「……で?ソウルドまではどうする?」


「まずは相棒として、俺は『情報』をあげて」


「……次は私が相棒として『翼』を差し出せばいいか?」


「流石だ、俺の相棒なだけはある」


「生意気な奴だ……なぁっ!!」


 人化を解いて、竜の姿を取り戻した…………って……へ?


「……な、なぁ、お前……なんで人化解かないんだ?」


「私は人として、長い間を過ごす事にした……カルカトス、貴様も翼で空を飛べ。

相棒が、相棒の下にいるのはおかしいだろ?『一緒に飛ぼう』」


「……竜の背中に乗るの……英雄ならではのシチュエーション、楽しみにしてたのになぁ……」


「うるさいヤツだな……ほら、行くぞ」


 私だって英雄になりたいんだ、お前ばっかりいい思いをさせてたまるものか。

といった面持ち。口は下手だが、顔によくてでくる。


 魔術で翼を象って、バサッと羽音を立てる。


「サクラ、お前の翼、綺麗だな、俺は結構ダサいんだよなぁ……」


 ラジアンの翼に負けず劣らずの、綺麗な羽だ。

俺が生み出した羽は、ボロボロの黒い、真っ黒の翼。


「そ、そそ、そうかっ!!?……き、貴様の翼も……悪くないんじゃないか……?」


 そう思うならこっち向いて言って欲しかったな、表情だけじゃなくて態度でもわかりやすいが、珍しくお世辞を言ってくれた。


「そっか、ありがと」


 なれない空中へ身を投げ出して、海の上を泳ぐ。


「早いなっお前っ!!」


「まぁな!さっさと追いついてこい、カルカトス!」


 グンっとまた一層スピードを上げて、その速度が水を押しのけながら更に上がっていく。


 負けるものかと、コツは掴んできた、俺も負けじと速度を上げる。


 慣れようとしていたら、知らない間にソウルドに着いていた。

高いその壁の内側へ入るために、通行証代わりにギルドカードを差し出す。


 顔を見てハッとした様子の門番兵は俺たちを知っているらしい。


「これはこれは、カルカトス殿にサクラ殿、お会いできて光栄です。

ギルドカードに問題はありません、どうぞ中へ」


「あぁ、ありがとう」


 サクラは何も言わずに俺のあとをついてくる。

門の中は、壁の向こうの自然とは違い、木々がまるで見当たらない。


 悪い言い方だが、まるで監獄の様な石造りの住宅街が所狭しと並び、街に並ぶのは必要最低限の日用品売り場や飲食店のみ。


 他の国であれば食料品売り場の立ち並ぶであろう場所には武器屋や鍛冶屋が代わりにいた。


「……おぉ、これが、軍事国家、ソウルドか」


 サクラは驚いた様子で辺りをキョロキョロとしている。

うん、楽しそうでなによりだ。


「か、カルカトス!あっちをみろ!面白い形の武器があるぞ!」


 指さす方見ると、刀身が波のようにうねうねとしたものや、剣の峰の方に切れ込みのようなものがあるダガー、特大の剣などが店前に並んでいる。


 その他にも鎧や鈍器など様々に至る。


「楽しそうだな、観光とかは初めてか?」


 そういうとハッとした顔をして


「まぁ……その、里をてて、その後冒険者になるまで野宿ばかりで国の中を知らなかったんだ」


「確かに、入国もできないからなぁ」


「そうだな、だから入国に何も必要のないネルカートに向かったんだ、あそこは海の向こうだからな、入国は船着場で行うのもあって少し遠回りすれば簡単に不法ではあるが入国できた」


「ゲ、お前犯罪者か」


「………どこへ向かうんだ?遊びに来たわけじゃないだろ?」


「……はぁ……あっちの方にとある訓練所がある、そこへ行く」


「?訓練所ならそこにあるじゃないか?なぜ遠くへ行くんだ?」


 武器屋の隣を指さすと、確かにそこにあるな。


「まぁな、しかし、あそこじゃないといけないんだ」


「なぜだ?」


 怪訝そうな顔を向けるが、時期にそれは獰猛な笑みに変わる。


「……あの訓練所には『剣聖がいる』」


「っ!?……っはははっ!なるほどなぁ!!現在『世界最強』と名高いあの剣聖直々に教えを乞うかァ!!」


「あぁ!行こうか!一体にで、あの人に傷をつけられれば、俺たちは相当に強くなったに違いない!」


「っくく……倒してしまっても構わんだろ?」


「!……あぁ!構わん!」


「……急げカルカトス!興が乗ってきた、急げ!」


「二回言われずともわかったさ、行こうか!」


 俺よりも数歩先に駆け出した桜色のを追う。

地上なら、俺の方が早い!追い越してやる。

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