表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
お皿が割れるみたいな?
285/499

邪竜見参【カノ】

「……はあっ!」


 ズバンと、敵を切り裂き、剣を収める。


「……これで終わりですかね……?」


 ライムがレイピアについた血を払いながらメリーに聞く。


「そうじゃのぉ、辺りには……おらんな、怪我はないか?」


 そう言ってお互い顔を見合わせるも、怪我はない。


「さすがにお強いですね、蜘蛛がいっぱいいて気持ち悪かったですけど、ユウジ様意外と慣れてますね」


 そう言って笑うフルス、多分俺がビビる顔を見たかったのだろうな。


 確かに、初めて見た時はビビったが……今日は二回目だ。

理由はこの後の……急に出てくるドラゴンのせいだ。


 ほとんど不意打ち……って感じで黒いドラゴンが出てきたところで記憶が無い……つまり即死させられたってことだ。


「気をつけろよ、この後に、敵が強襲来てくる」


 そういうとメリーが呆れたような顔をして。


「またそれか、その奇襲の話が毎回あっているせいで儂の感知に傷が……っ!?」


 ほら、キタキタ。


「南!敵に注意!」


 そう言った瞬間、俺とメリーが一歩早く迎え撃つ。


「魔法でガードする!3人で仕留めに行くんじゃ!」


 そう言って無詠唱ながらに壁を貼る。

その瞬間、顎を開いた巨大な……黒い竜、邪竜?だ。


「っ!邪竜!?」


 そう言って、メリーに助力するフルスは冷や汗をかいている。


「な、なんですかこいつ!?」


 わからない……どこから手をつけたらいいのかさえわからないらしいライムが声を出すので精一杯らしい。


「よぉ!人間!!よぉ〜く気づけたなぁ!!褒めてやるぜ!」


「しゃ、喋った!?」


 驚きが止まないライム。


 竜が後ろに飛び、面をあわせ……笑った?


「俺は!!ハングリ アルグロウド!!邪竜でーす!」


「やっぱりアルグロウド!!」


 そう言って答えるフルス。


「知ってるのか?」


「えぇ、有名ですよ、最悪の邪竜として名高いです」


「邪竜ね〜ダサいから『ブラックドラゴン』の方が嬉しいよ、黒竜とか」


 そんなことを言いながら人間みたいな素振りをするアルグロウド。


「へ、変なやつだな、こいつ」


「んなっ!?変だと!?……みんなの方が変だっつーの」


 み、みんなって誰だよ?


「……何用ですか?」


 そう言って警戒心MAXのフルス。


「……あり?お前さてはフルス メイ テンス?それに正魔法使うエルフ……メリー……ってことはお前あれか、カノ ユウジだろ?」


 お、俺達のことを知らないでここに来たのか?


「あ、あぁ確かに俺た……」


「バカが、知ってきてるさ」


 そう言いながら普通に不意打ちをしてくる。

こいつ普通に賢いな……!?馬鹿とばかり思っていた。


「っんぐっ!!」


 剣で尾の一撃を耐える。

腹に響く……アバラが逝ったか?


「……っ!正面先頭なら負けないと思っていたが……フルス!どうだ!?」


「……勝ち目はほぼありません」


「……へぇ、戦力分析も出来んのか……こちとらお前らのせいで計画がぶち壊れて仮面の兄さんが困ってんだわ……タダで済むと思うなよ?どっちにしろ殺すつもりだったけどな」


「何の話だよっ!?濡れ衣で殺されんのは御免だ!」


「お前ら以外に!聖魔法を使えるやつがいるってのかァ!?あァ!?」


 まずい、かえって逆上させてしまったかも。

今日はあと1回だけ甦れる……二回目は捨てるか……まずいや、強すぎる。


「行くぞ!!」


 そう言って、息を吸う……焼き尽くされて終わりかな。


「っ馬鹿野郎がぁぁ!!」


 そう言いながら横から飛来してくるのは……赤いドラゴン……人の姿をしているが、見覚えがある。


「……サクラ グランド……!?」


 ライムの呟きで思い出した……あのサクラか。

人の姿のままで翼を生やし……そして人を投げて攻撃した。


 あっちは獣人のラングだったか?


「っぐほぁっ!?」


 凄い、あの巨体がぐらついた。

そして、地面に落ちるタイミングで目を目掛けて矢が飛んでいく。


「っ!?なんだこいつら!?」


 それは普通に弾かれたが……サクラパーティー、さすがに強い。


「見つけたぞ……!!アルグロウドォ!!」


「……その声……サクラか!!!」


 知り合い……?


「ははっ!顔を合わせるのは初めてだな!俺のこと知ってて嬉しいぜぇ!」


「貴様……里を崩壊させておいて良くもまぁそんなことが言えたなぁ!!」


 里……竜の里でもあるのか?

それよりも、その事を言うと、顔色が悪くなっていく。


「そ、それは……それは違うんだ!!」


 そう言って、弁解するべく、両手を広げる。


「何が違うだと!?貴様のせいで何体の誇りあるドラゴンが『食われた』と!?」


「だから違うんだ!!俺は食いたくてあの時食ったんじゃない……あの時急に俺は固有スキルが発現したんだ!!」


「ふざけるな!力の試しに同族を使うとはどういうつもりだ!!」


「違うんだって!俺は!!あの時……抑えが効かなかったんだ!!」


 そう言って弁解すると……グゥウーと間の抜けた音が。


「……腹の音鳴らして……私をバカにしているのか?」


 しかしその質問には答えず……


「や、ヤバい……腹減って……まずい……逃げろ……逃げてくれ……お前には!!まだ言ってないことがあるんだ!!逃げてくれ!」


 その尋常ならざる雰囲気のまま翼を広げてどこかへ飛び立つ。


「……な、なんだったんだ?」


「サクラ、あのドラゴンってなんだ?」


 そう、サクラパーティーの面々が聞いている。


「あれは……同族殺しの大罪竜だ」


 ……俺たちはまだまだ弱い……肩書きの割にあまりにも弱すぎる。

もっと強くならなくては……我々こそが……最も強いはずなのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ