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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
お皿が割れるみたいな?
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師の腕前【ディスターヴ】

「……さて、久しぶりだな、聖魔法相手は……」


 そう言いながら、懐から1枚の仮面を取り出す。

この男……ペルソナ様は、仮面を使った魔法を主に扱う。


 その容姿は黒く、短い髪。

顔はわからないし、目元も、そもそも覗き穴が存在していない仮面のため目も分からない。


 だが、ペルソナ様は辺りを把握できるし、魔眼を使えるとも聞いたし、剣術も、飛行能力も高い。


「……その仮面は……?」


「我の仮面は主に『相手を乗っ取る』ことや『動きの制限』など様々……こと汎用性に関してはカルラに勝るとも劣らぬものだと自負している。

故にだ、魔法を……一時的に魔力をゼロにして、聖魔法を別の仮面で吸収する、なんてことも可能だ」


「な、なるほど?……つまりそれでミリアは助かるんですね」


 そういうと、唸り出す。

完璧に理解出来ている訳では無いが、それでも難しそうな顔だ。


「………うむぅ、助かりはするだろう、命の保証はしよう。

ただしかし、忘れてはならぬのは……後遺症だ。

我々にとって聖魔法は劇毒、目の周りが最も濃いことから仮面での吸収も容易ではある……が、目が……デリケートな目が使えなくなるかもしれん」


「っな!?」


 失明の可能性もある……ということか……!?


「無論最前は尽くす……がしかし、流石に四天王程の才能の持ち主、魔力を全部吸うのにも時間がかかるな……」


 ゆっくりと、吸い上げて言っているのがわかる。


「……ペルソナ様が扱った聖魔法とは、これよりも恐ろしかったのですね……」


 戦争の時の情け容赦ない、聖魔法。

恐ろしくない他ないが、当然のこともまた聞きたくなる。


 しかし、返答は意外なものだった。


「……いや、わからん、下手をすれば今まででいちばん恐ろしい」


「……へ?」


「……情け容赦のなさで測るのなら、同じ程度……恐るるは……恐らく、この魔法は……伝染する」


「な、何を根拠に……!?」


 伝染する毒……?


「この仮面で吸い上げているはずの魔力が……ミリア本人のものと『交わって』聖魔法が加わっている……侵食されている。

これはもしかすると、カルラの世話に……ならなくてはならないかもしれんな」


 代償を払ってでも命を優先しなくてはならないこともある、ということか?


「た、対処法は!?」


「やはり魔力を一時的にゼロにする。

本来聖魔法への拒絶反応は、体内の種独特の魔力との拒絶反応によって引き起こされるもの。

なれば、その魔力を一時抜けば、安心できるのだが……絡みつき、1つになって、しかもばらまこうとしている。

こんな殺戮兵器としか形容できない魔法が……戦争で使われていたらどんなに恐ろしかったか」


 ブルッと震えたように見えたのは、武者震いではなく、恐怖からだろう。


「な、何となく分かります……聖魔法の余波?のようなもので……頭が少し痛むほどではあります……」


「うむ、そうだな、やはりこれも伝染する影響故か、広がりが早い気がする」


 問題は、どんな風に伝染するか、だ。

最悪の場合はミリアを隔離しなくては魔界そのものがマズイ。


「……よし、やっと魔力は吸い終えた、これで空だ」


 そういうと、次に真っ黒の仮面を取り出す。

顔につけると、すぐに白い渦が生まれだし、仮面を白く染めあげた。


「……こ、これは?」


「聖魔法そのものだ。

身体の中に残っている原因を引きずり出す。

そうすれば、幾分かマシになるだろう」


 そう言いながら仮面を取り外す。

こっちの方の作業はあっという間に済んだ。


「こ、これでいいのですか!?」


 そう質問すると、力なく首を振り


「そんなに我は有能ではない……あとはディスターヴ、貴様が体調の変化に合わせて魔法を使って平生の状態をキープしろ、状態異常が得意な貴様なら、簡単だろう」


 た、確かに回復魔法もできる……


「では頼んだぞ、我は少し魔王様にこの件について話してくる」


「は、はいっ!ありがとうございました!」


「きにするな」


 やはりペルソナ様はすごい人だ。

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