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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
お皿が割れるみたいな?
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幻獣の誕生【ディブロ】

「……お?おかえりなさい、カルカトス」


 書類仕事を1時中断し、帰ってきた部下に目を向ける。


「そちらの子は?」


「ただいま帰りました……こっちはアイビー、俺の義理の妹で、新たな戦力になると思います……俺より強いんで」


 ステータスを軽く覗く……うん、細かなことはわから無いが強いのは確かなようだ。


「……うん、カルカトスが認めたのなら、問題は無いよ、これからよろしくね、私は『ディブロ クエイサー』魔王よ」


 そう言うと目を一層輝かせて「はいっ!」と返事した。

元気があってよろしい!


「あと、もうひとつ……俺の2つ名『幻獣 カトス』って偽名でやらせてもらいます」


「わかったよ、空白にしている所に後で名前を書き足しておこう」


 よし、これで四天王が全員完璧に揃った。


「……あああぁ!!!カルカトスゥ!」


 ラジアンが叫びながら走ってくる。


「帰ってきてたんだなっ!?」


 そう言って……剣を抜くな!?

……いや、これを防げるかどうか、ちょっと見てみよう。


「あぁ、ただいま」


 そう言って……腕を組んだまま……?

しかし、剣を止める音が響く。


「ナイスだアイビー、でもこいつは俺の仲間だ……戦うのが趣味でな、許してやってくれ」


「……は、はい……この人も四天王の1人……ラジアンですよね」


「私の剣を止めるとは……ふっ、やるね、お嬢ちゃん」


「こらラジアン……変にかっこつけるのはやめなさい……」


 なんですか『ふっ』って


「ちょ!?魔王ちゃん!?そういうのは言わないお約束!

話は聞いてたよ!よろしくね!アイビーちゃん」


「は、はい、お願いします!」


「……っ!?」


 私がハッと庭の方を振り返る。

アイビーを除く全員がその方を同じタイミングで見る。


「……あの、何か……?」


 アイビーは分からないと言った様子だ。


「……聖魔法……!?」


「ですね、この感覚はフレイを彷彿とさせる」


「私が前に喰らったのと似てる……」


 庭の方で……ですね、向かいますか。


「私は先に行きます……後を追ってきてください」


 そう言いましたが、事態は急を要する。

みなを置いて全速力で庭へ行く。


「……ミリアっ!」


 ミリアが庭で倒れていた。

そして、身体に纒わり付く聖魔法の匂い……


「……っ……追いついた!」


「ミリアっ!?」


 カルカトス、そして続いてラジアンがやってきた。


「……聖魔法を治療します、今回はカルラの手は借りられません……前よりもかなり酷い状況となっています。

今から2人の魔族を呼んできてください。

1人は『ペルソナ アルモア アダマンテ』

もう1人は『ディスターヴ』出来るだけ早く!」


「わかったよ!!カル!ディスターヴさんは大抵東の海の釣り場で休みを満喫してる!

ペルソナ様はそのまま邸宅に向かえばいい!?」


 質問半分にそう聞いてきた。


「ラジアン……!100点です!カルカトスもそのまま指示に従って!」


「りょうか……っ!?」


 カルカトスが翼を生やし、飛び立とうとした瞬間、その横に1人が降り立つ。


「……魔王様!突然訪ねて、失礼します……ミリア……聖魔法の匂いはここからですか!?」


 ディスターヴ、流石は超一流の魔法使い、感知の制度は並外れて高い。

チラリとミリアを見てなんとなくでも看破しましたか


「その通りよ!ミリアを頼むわ!後にペルソナも来ます!後のことはあなた達ふたりにお任せします!」


 そう言って、私が軽くミリアに触れる。


「……これは………まずいですね」


 心音が弱くなっていって、血の気も引いて、呼吸も弱くなっていく……衰弱死……生きる事を放棄しようとしているような体のはたらきかた。


「……聖魔法のショック……かなりのレベル……今のノエル一族や聖女にこんなレベルの聖魔法が可能でしょうか……!?」


 ディスターヴが聖魔法を使えるものの名を挙げていく。


 私もその意見に関しては全面的にそう思っている。

まさか四天王ともあろう程のミリアに、私達さえ気づく事さえ許さないほどの静かで恐ろしく内密な聖魔法が……


「内包を片方が、威力をもう片方が請け負い、2人以上の合成魔法の線も考えられます。

今現在2人は同じパーティーに所属しているのですし」


 私のその適当ともいる考察を聞いたディスターヴは目を瞑り


「……ペルソナ様……早く来てください……!」


 昔、ペルソナをライバル視しつつ、尊敬し、密かに師匠として敬愛していたディスターヴ。

ペルソナは昔から生きている魔族。

父や、カルラの同期の魔族で、その力は……カルラに勝るとも劣らないと言われていたほどにだ。

先代の魔王の両翼を兼ねていた。


 仮面に乗って、1人の男が急接近してくる。

あの男こそが、ペルソナ。


「……お久しぶりです、クエイサー様……挨拶はこの辺りで……聖魔法……急ぎ処理致します」


「お願いします、カルラと違ってあなたならできると信じています」


「……あいつの能力は代償を伴いますゆえ、この吸血鬼……ミリアにはちと荷が重いでしょうね……ディスターヴ、来い、お前の力が必要だ」


「っ!は、はいっ!」


 ディスターヴらしくない、若者のようなイキイキとした返事。初々しい。


「ペルソナ、ラジアンやカルカトス、アイビーはどこへ?」


「遅い故、置いてきた……後に来るだろう。

強い四天王ではありませんが……仲間思いで素晴らしい」


 そう評価した後、直ぐに医務室へ入っていく。


「……その実力……未だ衰えていないようで何よりです」


 ラジアンは魔界の中でも最高峰の速度……そう、最速ではない。


 私やペルソナは彼女よりもよっぽど早い。

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