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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
お皿が割れるみたいな?
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集合会議

「……さて、時間まで……あと5分か」


 現在7つの席の内4つは埋まっている……正確には3つか。


「おい、座れよ、茶ぐらい給仕が出すから」


 そう言ってメイド服に身を包む女性に声をかける。

給仕のひとりと思われそうだが、我ら6人の1人、この愛らしい容姿からは想像できないほどの実力者だ。


「これはどっちかといえば私の生業、していないと落ち着かないんです……」


「病気じゃん」


 ボソッと呟いた声が聞こえた。


「……ま、そうとも言いますよ、お茶どうぞ」


「ちっ、茶じゃなくて腹の脹れるもん出してくれよ」


「そう文句を言うな『アルグロウド』よ」


 黒い鱗に包まれる、ひと目でわかる邪龍。

アルグロウドは伝説的な強さを誇るドラゴンの中でもトップクラスの戦闘力を持っている。


「そー入ってもよ!?『マチア』さん!俺はいつだって腹が減って苦しいんだ!?」


 そう主張するアルグロウド。

私マチアは……簡単に言うと魔法使いである。

かなりのいい武器や装束に身を包んでいると自覚している。


「だといえどもだ、せっかく『ラヴハート』が入れてくれた茶だ、ありがたく飲め……」


 ラヴハートは給仕らしく、ネジをまかれた人形のように頭を下げて1歩引いた。


「……紅茶飲むの、久しぶりだ………人と集まるのも……久しい」


 黒いローブに深く身を包み、枝のように細く、雪のように白い肌を露見させた腕で、まるで汚いものでも持つように指先でつまんで紅茶へ角砂糖を入れ、混ぜ始める。


「うぉっ!?いたのか!?『ザントリル』のダンナ!?」


 陰気な男だが、その存在感は本物、初対面の時にあの好戦的なアルグロウドがドン引きするほどにだ。

本名や種族、戦い方も一切不明である。


「声がでかい………ダンナ呼びはやめてくれよ………このお茶美味しいね…………みんな早く来てくれよ……」


 言葉をポツポツと吐くがほとんどがマイナスなことばかり言っている。


「遅れました、只今参上致しました」


 時間1分前に全員への伝達係でもあるとある女が来た。


「『ラグラン』よく来てくれた、まだ時間に遅れてはいない、ほかが早いだけだ」


 この女はラグラン、魔族、情報伝達に関してはこの物の右に出ることは『不可能』そう言いきれる。


「左様ですか……確かに時計の針は……失礼、茶をいただきます」


 あと一人……6人のうち5人は揃った。

7人目の執行官は1番最後にサプライズ的に現れると言っていた。


「……あと一人か……」


 そう私が呟くと、ザントリルが口を開く。


「………いや、そこにいる………1番初めから……いたよ」


 ザントリルはその爪の伸びた指で指さした方向には、仮面がひとつ落ちていた。


「……仮面……あぁ、そういう事か?アルモアよ」


 ここにいるほぼ全員が察している。

このアルモア……フルネームは『ペルソナ アルモア アダマンテ』この男、仮面を介して様々なことが出来る、このように会話をすることもだ。


 基本アジトには適当な人間に仮面をつけて操ることでよく来ている。

毎回初対面の人間ばかりでドキッとさせられるが今では慣れたものだ。


「今日は仮面だけの出席となって申し訳ない、魔族側の者として今日は外せない用事が入ったため、このような形で参加させていただく」


「……まぁ、何かあったのでしょう、アクシデントに関してはまた後日聞かせていただきましょうか」


「助かる、説明はのちに必ずや」


 そう言って約束した後、扉が開く。


「……おいおい……マジかよ……」


 その顔を見た瞬間、全員が動きを止めた。

私は何度か見ているため驚きはしない……がしかし、初見であればその衝撃は計り知れないだろう。


「……なるほど……マチアさんが、後ろ盾は完璧だと言っていた理由がわかりましたよ」


 納得といった様子で椅子に座るのを勧めるラヴハート。


「……あの時見たものよりも相当おぞましく暴れ狂うような力を感じる……さては実力を隠して生活していたな?」


 着眼点から違うアルモア。


「ははっ……戦いてぇ……腹減ってきた……!」


 嬉しそうに拳を握りしめるアルグロウド。


「……この人についてだけ誰も担当していなかった理由がわかりましたよ……」


 納得といった様子のラグラン。


「………確かに……心強い………戦ったことは無いけど………勝てるか怪しい………いや、無理か……?」


  ザントリルは見極めようとしているのか?


「みんなよろしく!僕が切り札さ!

君たちにはそれぞれ予め伝えておいた相手への対策を万全にしていて欲しい。

各々コンビを組んで計画を……確実なものへ」


 与えられた役職を再分配される。


「まず、戦争になった時、魔族軍と人間軍の雑兵、それら全ての中にもちろん警戒すべき人物が沢山いる。

騎士団長とかだね、それとかは全部『ラヴハート』『ザントリル』君たちに任せるよ」


「御意……かしこまりました」


「……任せて………失敗はしない」


「うん、ありがとう、次は……魔王と勇者、彼らはきっとお互いが頂上決戦でぶつかり合うだろう。

故に、四天王『4人全員の相手』を君に……『ペルソナ アルモア アダマンテ』に任せたい」


 っな!?1人に結局任せることにしたの……!?


「任せろ、魔王軍の相手なら……我の右に出るものはおるまい」


「流石に心強いね……そして、最近急に力を付け出して、イヤーな気配もする『サクラ グランド』彼女を君に……『アルグロウド』君に任せたい」


「っぅうう!ドラゴン対決か!!任せろ!俺がぶっ倒してやる!!!」


「そう言ってくれると思っていたさ、そして『マチア』『ルロック』君たちには人間側の冒険者たちの一掃を頼みたい」


「承っております……」


「わかりました……!」


「ありがとう……ここにいる皆に言いたい、戦争を終わらせるのに全部を僕たちがやらないといけないわけじゃない。

全員が少し邪魔をするだけで、出鼻が挫けてあっという間に戦況は崩壊する、邪魔をするだけだ……熱くなっても構わないが、僕は君たちを大切に思っているよ」


 そう言って、仲間同士の硬さを確認し合う。


「……はーい!あんたは戦争の時何すんの!?」


 アルグロウドがそう手を挙げて質問した。


「僕?僕はね……遊撃、当たり一体にいる全ての敵を切り刻む……」


「……恐ろしいことを………君が言うと…………不味いことにしか……ならないよ」


 そういって、恐ろしそうにローブの中に手を収めるザントリル。


「我々、決行の日は近い……さ、頑張ろうね」


 そう言って会議は終わった

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