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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
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同僚たち

「……お、おかえりーどうだった?」


 ラジアンが、俺が帰ってきたのを見て、書類から離れてやってくる。

俺におかえりを言うのが目的か、仕事から離れるのが目的か……あえて言及しないでやろうか。


「カーリャとクロマの2人を採用したよ」


「おぉ!飼い慣らせそう?」


「?みんなそういうんだな、共存すればいいのに」


 そういうとカーリャやクロマみたいに目を丸くして、その後ニコッと笑った。


「さすがはカルカトス、面白い考えだなぁ……私も負けてられないや」


 何の話をしているのか?


「他に、受からなくて燻ってる奴らはいるか?」


「お、はぐれ者路線で行くんだね?」


 頷き返すと、すぐに書類を何枚か渡してくれる……こういう事務作業も難なくこなすんだな、すげぇ。


「ほい、それじゃ、まずはまともな人達から」


 そう言って渡してきたのは、獣人がやアンデッド……!?

他には……魔族や吸血鬼……ドラゴンまでいるなぁ。


 名前の横にある赤と青の丸やバツはなんだろうか?


「これが全部不合格なんだ……!?」


「いや?もっといる、それは一次試験を合格した選ばれた不合格者だよ」


 それは矛盾している気がするが、ここにいるのは最低限の力を持っているわけか?


「じゃあみんな強いんだ」


「いや?一次試験は筆記試験と実技だけ

単純な歴史や語学、魔法学やその他頭脳面での合格者と戦闘能力が、一定水準を超えている人達、もしくはその両方をクリアしている人達だね」


 片方だけでも受かっている人もいる。

なるほどこの丸バツはどういう系統が受かっているか、というわけか。


 参考までにカーリャを見てみたが……うん、両方丸だ。

カーリャの紙を見ているのを気付いてか、今度はミリアが


「単に両方丸が着いているからって、優秀とは限らないんですよー、性格や、その人に向いた所属先ってのは、やっぱり全員分ある訳じゃなくて……だからこそ、毎年余るんですよね」


「僕もミリアも、2人とも去年の選抜に落ちたんですよね」


 横から生えてきたナルヴァーがそう教えてくれた。


「そうねぇー、私とナルヴァーは去年からの顔見知りなんですよ」


「へぇー、なんで落ちたんだ?」


「「溢れました」」


「……ちなみにラジアンは?」


「先輩はもっと競争率が高い年に、ナンバーワンで受かりましたね、筆記も実技も」


 なんか、予想通りだ


「ラジアン先輩は、魔剣に認められた稀有な魔族……『ハイラーン』の名を名乗るに相応しい魔族だから、正直みんな認めざるを得ません」


 うんうんと頷きながら、ナルヴァーは話す。

がしかし、言い回しに少し違和感を感じた


「ハイラーンを……名乗る?」


 疑問を口からそのままだすと、魔王様が教えてくれた。


「『ハイラーン』と『ハイラーク』はその昔、初めて魔王として君臨した『アグナムート ハイラーク』と『カラミス ハイラーン』この2人は、子孫がいなくてね、以降、彼らの魔剣に認められた存在こそが、その名を語るに値すると言うルールができてね、ラジアン ハイラーンはその名の通り『夜帝剣 アズナス』に認められたんだ」


「……へ、へぇ……!?」


 思わず声が裏返り、どこか引き攣った笑みが違和感まみれの顔が、みんなの目には映るだろう。


「流石のカルカトスも、私のこの実績にはびっくりだよね」


 それは、ラジアンの経歴に驚いたということになってくれた。


「……ちなみにもう一本……アグナムート ハイラークの方の剣は誰が持ってるんですか?」


「……それが分からなくてね、どこかに行ったんだよ」


 唸るラジアン


「無くしたんでしたっけ?」


 思い出したようなナルヴァー


「あれ?盗られたんじゃなかった?」


 それは違うとミリア


 全員、意見が合わず、魔王様の方を見る。


「……そうですねぇ、私にもよく分からないんですよ、昔に、盗賊?みたいな超人集団が襲ってきて、目的がわからなかったから、私は隔離されてたんです、私が目標だったら危ないっていう父上の判断でしょう。

ですが、目的は魔剣……『鮮血剣 アデサヤ』でした

そして、このことは秘密になってますね、一夜にして、魔剣が消えた、それは報告しても、盗賊のことは秘密にしていました」


 シュプ フングだったか?あの人はこんなところにまで取りに来ていたのか……そして、俺の体のベースにした……と


「ま、話はここら辺にしましょう、仕事に戻って、カルカトスはちょっと私についてきてください」


「あ、はい」

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