表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
239/499

二面性

「……ここか」


 目的の喫茶店は、ラジアンの言う通り3つ目の角にあった。


「……人も少ないし、確かにいい所だ」


「……確かにそうですね……」


 中に入る。

古めかしい扉の軋む音、錆びた鈴の音、踏めばなる床。

しかし鼻腔をくすぐる苦い香り、それは心地よい音とともに、雰囲気というものを感じさせた。


「……らっしゃい」


 コーヒーと紅茶を1つずつ頼み、少し外を眺めて待つ。


 すぐにやってきた2つのティーカップ。

彼女は紅茶にミルクと角砂糖を1つ入れて混ぜて、味を整える。


「……さて、それじゃ、始めようか……名前はカーリャ シェーン、種はダークエルフ……っと履歴書か、ありがとう」


 話していると、紙を渡すタイミングを逃したらしく、難しい顔で止まっていた。


 受け取った紙には、種や生年月日、名前、使用武器は……弓と剣?剣は……持ってないけどな?

父は以前の魔王に仕えていた……そして自分も……と言うのが志望理由か……


 ?多重人格……なるほどなるほど、それがこの子の受からなかった理由か……かなり凶暴ねぇ、名前はクロマ。


 彼女と履歴書を見比べる。

褐色の肌に、金色の綺麗な髪、妖しく光る赤い瞳。

そして、エルフ特有のピンっと尖った耳。


「……一通り読ませてもらったよ、ありがとう、わかりやすい」


「……あ、ありがとうございます……」


 少し、嬉しそうだ。


「……ねぇ、ちなみにそのクロマって……呼べる?」


 本か何かで、そういう多重人格者について知ってことがある気がする。

そう言うのは意図的に交代できるものもあるらしい。


「か、可能ではありますけど……」


「……けど?」


「……かなり暴れるんです……止めれますか?」


「……っううん、分からないなぁ……会話できるかな?」


「……実力差を示せば……おそらくは」


「……あぁ、なるほどなるほど、なら行けるかも……お願い」


「……いいんですね?……行きますよ?」


 両方のほっぺたをつねり、横に引っ張る。

ビョーンと伸びた後に、頬を赤く腫らして目を瞑る。


「……あぁ?……なんで呼んでんだ?珍しい……」


 目を開くと、鋭いが、振りまくような威圧的な目が、俺を睨みつける。


「やぁ、初めまして、俺は君の……君たちの上司になるかもしれないカルカトスだ」


「……上司ぃ?……あぁ、あいつ懲りずにまた受けてんの?はぁーん?」


 そう言って、ティーカップを鷲掴みし、1口含む。


「……砂糖すくねぇな」


 甘さ以外に何も取り柄が無くなる程に砂糖を加えた後に口に含み、満足そうにした後、振り向き直す。


「んじゃ、暴れるっ……!?」


「……悪いけど、それはなしで頼む」


 全力で、力を放出し、力量が上だと示す。


「おぉ、あんた何者?」


「……四天王だな」


 そういうと、合点がいった様に手を叩き


「なるほどなぁ、ラジアンだったか?アイツみたいな奴らか……たしかにバケモンな訳だ。

剣も持ってねぇし、このまんまじゃ勝てねぇわなぁ……んで?あんたもアタシを飼いならそうって口か?」


「……飼い慣らすのはなんか違う気がする……あ、共存してみたら?」


 そういうと、目を丸くし


「なーに言ってんだあんた?」


「履歴書見ると、クロマが剣を、カーリャが弓を扱えるわけだ?」


 頷き、答える。


「じゃ、必要なタイミングで上手く共存出来れば、1人で2人以上の働きができるわけだ?」


「お、おう……あんた、面白いな」


「……?そうか?」


 すごく楽しそうな顔に見える。


「……なるほどな、あんたなら任して見るのもありかもな」


「?」


 ペチンと頬を叩くと、瞼が落ちて、また目が開く。


「……凄い……壊れてない」


 そう言いながら、紅茶を1口、指を通して口に運ぶ。

すると驚いたような顔をしている。


「……なるほど、お互い変わっている間の記憶はないわけか?」


「……はい、砂糖入れてたんですね……クロマったら」


「……うん、君合格」


「……はひっ?」


 目を丸くした顔はクロマそっくりた……同じ顔だから当たり前か。


「君合格、俺の第一の部下ね」


「……へ?あ、はあ?」


「んじゃ、俺は多分まだ軍隊の面接行かなきゃだから……おつかれさん」


「あ、はい〜?」


 会計を済ませ、城に帰る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ