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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
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強くなる方法

「……あぁ、来たのかい」


「はい!おはようございます!」


 ここは魔王城の地下牢。

そこにいるカルラさんにまた会いに来た。


「……まぁ、一応用意はしておいたよ……全く無茶な……まぁ暇だからよかったけど……」


 ブツブツと何かを言いながら、牢屋の外へ放り投げてくれるリング。


「おぉ、これが!」


「うん、私は剣士じゃないけど基礎能力の向上にはなると思うよ」


 リングを腕と足にはめる。

その瞬間、リングは重さを取り戻したかのように、地面に深く落ちる。


「そのリングは常に動かしたい方向とは逆に強い力を込める魔法具。

私はそれを上手く使いこなして高速移動を実現していたけど……今の君はそんなことは考えずに力でそれをねじふせるところから始めるといい」


「あ、ありがっ……つ!!」


「例はいいよ、気をつけて帰りな」


 その後、階段を登りきった時、達成感は凄まじかったが、訓練場へ向かうまで何時間とかかった。



 その数時間後、鍛錬を終え、後輩たちをみかけ一緒にご飯を食べている。


「スプーンが……重い!」


「先輩何してるんですかー?プルプル震えて……面白い……」


 ミリアちゃんがくすくす笑ってくる。


「これでも身体鍛えているんだよ!?笑うなよ!」


「……そんなにも重いのですか?」


「ん!?気になる!?」


 ナルヴァーは興味津々だ。


「はい、少し」


「じゃあ右手のリング貸してあげる

自分で外して、付けてね!」


 右腕をナルヴァーに向け、リングを取り外す。


「……?そんなに重くない?」


「あー!右手軽!?私の手じゃないみたい!?」


 これは感動だ!そして、筋肉痛がやばい!!


「では、少しつけてみますっう!?」


 腕に通した瞬間、とんでもない勢いで地面にめり込んでいった。


「え、えぇ!?ナルヴァー!?」


 ミリアちゃんも驚いている。


「なんっ!?なっ!これ重っ!?」


 右腕は地面にめり込み、左手を使って右腕を掘り出そうとするが、重くて上がらない様子だ。


「ら、ラジアンさん、こんなのつけてたんですか!?」


「うん!スプーン重いよ!」


 そう言いながら軽くなった右手で口に運ぶ。


「は、外します!」


「ん、返してもらうねー」


 右手からリングを抜くと、すっぽ抜けたようにひっくり返るナルヴァー。


「ひぇー、なんでまたそんなの付けてるんですか?」


「ん?強くなるためだよー!これをつけながらいつも通り動けたらもう負ける気がしないね!」


「た、確かにそうでしょうね」


 右腕を抑えながら、そう苦笑いするナルヴァー。


「すごいなぁ先輩は」


「ハハハ……そこのお皿取って……動けない……」


「あ、はーい、おまかせを!」


 な、情けない……



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