人とナニカの間【カルカトス】
「……ごめん……俺何言ってんだろう」
サクラからすれば意味のわからない話だ。
ここら辺で冗談にしてしまおう。
「……私もな」
ん?何か話し始めた!?
「人の世の中に適応するために、最近人の姿でも戦えるように随分と練習していたんだ。
そのおかげで竜人に間違えられることもあるが……私はサクラ グランド、純血の竜。
でもたまにそれを忘れてしまうほど、人に馴染んでしまう。
私が里を捨て、旅に出た理由を今一度再確認させてくれるのはお前だけだ、人間」
「そ、そうか、それは良かったよ……」
里を捨てた……こいつも色々あるんだなぁ。
「所で、服どうする?」
「ん?」
「いやさ、お前の服、あれ完全に冒険者として仕事する用だろ?乾くの……雨だしどう頑張っても明日ぐらいだが」
「……まじ?」
「まじだ、冗談なら俺は上裸じゃない」
そういうとサクラが「あ〜」みたいな顔をして咳払い。
「なら、ちょっとギルドカードを貸してくれ」
「ん?いいけど」
渡すと、やり取りができるようにしたらしい。
「これで、明日洗濯ができたら言ってくれ、取りに来る」
「わかった、そういえばどこの宿だ?」
「『鳩ノ巣』」
「それってギルドから1番近い冒険者御用達の?」
「そうだな、それが?」
「明日俺もギルド行くからその時ついでに渡すよ、時間は早朝……7時ぐらいでいいか?」
「い、至れり尽くせりだな……いいのか?」
「いいよいいよ、それじゃ、そういうことで」
「う、うん、助かるぞ、人間」
「ははっ、じゃあなドラゴン、傘さして帰れよ」
「うむ、お借りする」
バタンとドアを閉める音が響く。
リビングに帰る途中、ギシッと一度床がなった。
それ以外、辺りに音はならなかった。
『1人』
「静かだ」
声は響かず、ただ消えていった。
「おい、マスター、見聞きしてるだろ?守護者は倒した……次はお前だ」
本能的に位置は理解している。
ネルカートの外れ辺りにいるんだろう、明日突っ込む。
俺はキメラなんだ。
人の世の中は、俺からすれば贅沢すぎる。
身体が人の形をしているだけだ、中身は人とはかけ離れたものが練り込まれているだろう。
準備を続けよう。
ローブ、仮面、そして輝石。
高位のポーション、そして、俺の身体。
静かな部屋に雨の音が響き始める。
雨がきっと強まったのだろう。
「ウンディーネ、明日はきっと君を頼る機会が多いだろう。
頼むよ」
言葉は短い、そしてウンディーネの返事は言葉ですらないが、それだけで十分、俺達は理解出来る。
ステータスも随分と変わった。
カルカトス ナイトメア
年齢 16 性別 ???
種族 ???
職業 冒険者
Lv 59
HP283
MP692
筋力 231
耐久 216
速さ 361
賢さ251
魔力 600
称号 『擬神』『鎖の英雄の英雄』『盗賊英雄の英雄』『神獣殺し』『精霊同化』『彼女の王子様』『偽善の英雄』
スキル 我流剣術Lv7 ミラン流剣術Lv4 獣の五感Lv10 神速Lv15 譲渡Lv15『悪夢魔術Lv々$』 呪術Lv9 『精霊術Lv〆|』
装備品 パックのローブ パックの仮面 赫黒剣 剣聖剣
アイテムボックス 『鎖の輝石』『盗賊の輝石』『聖女の輝石』
ハイポーション×6
固有スキル《限界突破》Lv10
スキルをほとんど喰らい、挙句には自分も喰って消えていったあの変な固有スキル。
しかしあれがなければあの戦いは負けていただろう。
しかしそれよりも驚くべきは魔力の上昇量だ……いや……600!?
なぜいきなり世界最高峰の魔法使いレベルなのかは……きっと輝石のおかげだ。
結局あの未知のスキルはなんだったのだろうか?
「もしかしたら俺もミランと同じ固有スキル2個持ちに……」
あれを物に出来ればそれも夢ではないはずだ。
今日は早いうちに寝ておこう。明日は大忙しだ。




