酒場と冒険者とステータス
「おーい!そこの仮面の男!」
もうそろそろ宿を探そうかと、ギルドを出ようとすると、呼び止められた。
「……?はい?」
「おー!上に上がってこいよー!奢ってやるからよ!」
「……なら、お願いします」
そそくさと上へ上がっていく。
決して『奢ってやるからよ!』に釣られた訳では無い、これは本当だ。
先輩方からの話が聞きたいのと、この雰囲気に憧れていた。
「よー!あんた、カルカトスだろ!」
「!ご存じですか」
「あぁ!無骨な仮面、正体不明の男!その癖礼儀は正しくて、竜に立ち向かう勇気を持っている男ってな」
「か、過大評価ですよ」
そういうと、彼のパーティーメンバーらしき女性が
「そんな事ないわよ、私がこの目で見たのだから間違いないわ
あの竜族の子……サクラに、よく立ち向かったわ」
「……あ、ありがとうございます」
「そういや、カルカトス、お前初心者だろ?
自分のステータスはしっかりと見といた方がいいぞー
慣れない生活だろうからな、ステータスの『状態』は、健康診断の代わりにもなるしで、便利だぞ」
「へぇ……というか自分のステータスまだ見てませんでした」
「お!それなら見てみるといい、魔力を流すだけだからな」
「はい」
親切に教えてもらった通りにする。
ギルドカードの裏側に文字が浮かび上がる。
年齢 15 性別 男
種族 人間
職業 冒険者
Lv 10
HP 73
MP 340
筋力 83
耐久 75
速さ 134
賢さ 105
称号 『忌み子』『精霊使い』
スキル 我流剣術Lv3 弓術Lv3 体術Lv4 斧術Lv2 槍術Lv3 直感Lv5 夜目Lv4 狩りLv4 敵意察知Lv5 魔法学Lv4 一般教養Lv2
装備品 『パックのローブ』『パックの仮面』『白銀精霊の剣』『緑精霊の弓』
状態 無関心
文字にするとこうなるのか。
「……なーなー、カルカトス、ステータス見てもいいか?」
「?あーーー……」
言葉を濁しながら、リョクの方をむく。
「称号と武器は見せないようにできるか?」
「……あ、できた」
「ん?」
「あ、いやなんでもないです」
「なら、精霊使いと精霊武具は消しておけ」
『了解』
「いいですよ」
「お!本当か!ありがとうなー!」
「……私もちょっと……!すごいわね!MPが私がこの時よりも多いわ!
……『忌み子』?それに魔法学は高いのに魔法を覚えてない……?」
「実はなんか俺魔法使えなくて……師匠にも頼んだんですけど使えなくて……」
「あぁ、そうなの……落ち込むことはないわ、これだけ多芸なら十分に生きていけるわ」
「だな……これは期待の新人だな!
我流剣術?ってのも面白い!
おら!飲め飲め!期待の新人にはいっぱい奢ってやるよ!」
「ありがとうございます!」
その日は、顔も名前も知らない冒険者達と飲み比べをしたりした。
俺はまぁまぁお酒に強いらしい。
「こんなに飲むのか……」
「意外と酒豪なのねぇ、会計は貴方持ちよ?」
「トホホ……」
【ステータス】
対象の能力を文字や数字にしたもの。
状態や、称号やど、幅は広い。




