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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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新!迷宮攻略

「へぇ、ここの迷宮こんなに深いところまで言ってたんだな、リーダーは」


「まぁな、1人でも案外行けるもんだからな」


「へぇ!そういうものなのか!私としてはもう少し苦労してくれていると働きがいがあるのだが」


「こんなところで手こずってちゃ英雄にはなれないからね」


「……言いますね、ここですら前人未到なのに」


「まぁ、ね」


 なんて話をしながら歩くと


「っと、リーダー、あそこの壁、なんかおかしいぞ?」


「……?そうか?ジャンパー」


「あぁ!俺の目に狂いがなければあの壁……動くな、隠し扉かな!?」


 なんて言って歩いていくジャンパー……動く壁……あっ


「おーいジャンパーー?」


「んー?」


「その壁多分ゴーレムだわ」


「へっ!?うぉあ!?ちょうど動きやがった!?」


「それじゃ、お前たちのお手並みはい……」


 そう言いながら後ろをむくと誰ももう居ない。


「リーダー!終わったぜ!」


「ふむふむ、確かに思っていたよりは簡単だな」


「……どんなに魔力障壁を貼っても無駄よ」


胴体に風穴を空け、頭には剣を突き刺され、足は切り崩された状態でゴーレムは今まさしく光の粒となって消えていく。


「……マジかよ……!?」


 ここのゴーレムは決して弱くはない……相性の問題か?


 3対1でボコボコにすればあんまり強くないのかもしれない。


「おぉ、やっぱり皆さん強いんですね、お見事です」


「ははっ、どーもどーも」


「うむ、これなら金稼ぎは楽勝だな!」


「……ふふっ、こんなゴーレムがいるなんて興味深い……」


「……お前ら、そんなに強かったか?」


「?そりゃあそうでしょ、こいつ動き鈍いし、俺たちの戦い方ってスロウスターターに見られがちだけどさ!」


 そう言いながら勢いよくディンの方を見るとこくりと頷き言葉を紡ぐ。


「一芸だけじゃ『魔女』の二つ名は重すぎる、あのタメはこの2人っていう絶対的な前衛がいるからこそ、できただけ、もっと早く、もっと細かい攻撃は出来る」


「私もだ!剣術なら、このパーティーの誰にも負けるつもりはないぞ!」


「えー……俺は陽動かな?」


「俺は……広く浅くってところだ」


 どの全てもその道の熟練には及ばないが、総合力なら負けないと言ったところだ。


「私はサポーターですから、皆さんを支える縁の下の力持ち!……なんてどうでしょう?」


 両手を掲げ、拳を握り力こぶを出しながらそういう。


「いいと思いますよ、すごく助かりますし」


 皆、凄く強い……これならば、六十層の守護者にも勝てるかもしれない。


「リーダー、何ぼさっとしてんだ?行くぞー置いてくぞ?」


「どの口が言ってんだジャンパー、お前こそ置いてくぞ」


 迷宮を下り、49層を更に念入りに調べる。


「……あ、これって……魔法具?」


「そうね、リーダー、それは魔法具よ、僅かに魔力を帯びているわ」


「!そういうの分かるのか?」


「もちろん……『魔女』だから」


 彼女は己を魔女と呼ぶ時、誇らしげに胸を張りそういうのだ。

彼女は魔女の名を気に入っているようだ。


「ほー、なぁ、リーダー……いいこと思いついたんだがよ?乗るか?」


「なんだ?お前のいいことなんてろくなことないだろうが聞いてやるよ」


「ま、否定はしない……なーに、簡単な金策さ

魔力が籠った魔法具は多少なり高値で売られることは知ってるよな?」


「まぁ、知ってるが?」


「この国では『メモリーズ』って催しがあるだろ?その時にディンの目を使ってもの漁り、そして魔法具を買い占め、売り捌く、簡単に出来る金策さ」


「お前なぁ……俺たちの私利私欲でそんなことしたら本当に物を送りたい人に迷惑だろ?」


「ま、そうだよな、リーダーならそう言うと思ったさ」


 初めからそのつもりだったのだろう、両手をプラプラしながらどこかへ歩いていく。


「ディン、その魔法具何かわかる?」


「この布袋はアイテムボックスね……それに、この魔力の量からして……かなりの逸品……容量は10かな」


 俺の方に渡してくる。

中に手を入れ、少し探ると何かが手に触れた。


「その魔法具は……」


 何かフレイさんが言っているが、掴んだものを引き抜くと……


「ほ、干し肉……?」


 しかもかなり昔の作り方をしているようだ。

この魔宝具の持ち主は誰だったのだろうか?


「ココア様の……アイテムボックス……!?」


 フレイさんの呟きが、俺たちの動きをピタリと止めさせた。

心音も呼吸音も止まってしまったのかと錯覚するほど、あたりの時間は止まった。


『ココア様ってあのココア様?』


 俺たち4人の心の中はこの疑問で埋め尽くされているはずだ。


「……ねぇ、フレイ……あなたの言うココアって……あの?」


 ディンが口を開いてくれた。


「え、えぇ……間違いありません、彼の持っていたものです……渡す前の実物を見てますし、内容量は10ピッタリです……」


 皆の目が輝き始める……俺も含めてだ。


「すっげぇじゃねぇか!?なぁ!?リーダー!?デクター!?ディン!?」


「あぁ!私も今興奮しているのがわかる……!ココアと言えばあの英雄譚の主人公!原初の勇者にして、私の憧れた騎士アルバナが仕えた男の名!」


「あの……!?本の中でしか見たこと無かった……あのココア様……ホントなら凄い……私の夢見た魔法使いエルナが支えたあのココア様の……!」


「凄い……!はるか昔に、初めて魔王討伐を果たして、長年続いた魔族と人間の戦争の膠着状態に一石を投じた異世界の勇者……あぁ!本当に凄いとしか言葉が出ない……!」


「ど、どうして彼の持ち物がここに……!?」


 各々言葉を吐きながら魔法具に釘付けになった。

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