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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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生誕祭へ クリーズパーティー

「……よし、行くよみんな」


「……やっぱりそうするか」


 皆盗賊のように身のこなしは軽やか、足さばきは滑らか、剣さばきは不規則で見事な5人の盗賊がコンビネーションを主軸に胸の花を落としに来る。


 やることは……みんなの花を摘み取ること。


 だが、それができるほどヤワな相手じゃない。


「『伸びる悪夢の手』『多種多様な恐怖の心』『複製される悪夢』〈複製碗(コピーアーム)〉」


 4本の腕を生やし、合計6本の腕。


「その体の形を変える魔法!厄介なことこの上ない!」


 唯一篭手をはめた腕だけは忙しなく動き、ほかの5本は5人の花を奪うことに執着する。


 迫る剣は全て足と篭手で打ち払うよう、忙しなく動き続ける。


 もちろん偽の腕はザクザク切られるが、花は無事だ。


 というか、1人にひとつ向けるのは悪手だ。

もっと集中的に、1人ずつ落とそう。


「……っおあ!?」


 6本の腕が傷つくことを無視して全て弾き返し、1人に6本の腕を全て向け、2本の手で両手を止めて、もう4本で花を落とした。


「……まずいな……っあ!?す、すまんっ!」


「ぃよしっ!!!」



 リーダーのクリーズさんの花が落ちたことにより、負担はかなり減った。


 そこからはこちらもボロボロになりながらも、拳で何とか勝取った。


 大剣はこの細かい戦いには向いていなさすぎる。


 全部潰すのはめちゃくちゃ難しい……それは本当に脳が焼き切れそうだ。


 魔法を使うことも許されない絶え間無い攻撃。


 それを捌く方法を私は知っている。

カンが昔からいいのだ、何となくで避けるのが1番合っている。


 魔法をつかう際、詠唱が存在する。

その詠唱は魔法の形を整えるだけでなく『時間』という、万人に平等に与えられるものを代償に力を増す事もまた、詠唱と言う。


 詠唱で消費するのは基本は『時間』だが、その詠唱は心が昂れば昂るほどに、その魔法によって様々な代償を払うのだ。


 無詠唱は、威力を犠牲に速度を上げたのだ。

だが、その速度も、遅いと言われるほどの猛攻。


「なんでっ!当たらないのっ!?」


 クリーズさんがいなくなり、躱す事も簡単になっていく。


 5人全員で倒しきることができなかった時点で、私の勝ちはほぼほぼ確定していたんだ!



 その後同じような攻防が何度も続き、ついに私は全員の花を奪った。


 後に聞いた話によると、本来はクリーズさんがトドメ役だったらしく、初めに倒せたのは本当に運が良かった。


「いやー!あの数の猛攻をよく捌き切りました、2回戦進出は、カルカトス選出です」

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