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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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四天王 ラジアン

「……目が違うってどういうことだ?」


 もう、剣は抜いている。


「違う……カルカトスの目は……こんな蛇みたいに縦長じゃない」


 そういうと、長身の魔族?は1番小さな魔族?に目をやった。


 それに気づき、言葉を紡ぐ小さな魔族。


「確かに、もっと人のような目をしていたはず……?ん?いや……んー?」


 何かを覗き込むように体を前にそらし、そして、顎の下に手をやって何かを考える様子……ステータスを見ている……?


「何見てるんですかっ!」


 そう言いながら大きく距離を詰め、剣を振り下ろす。


 2人の魔族は反応することなく、小さな魔族に刃が通る……


「うん、これはまずいですね」


 はずだった……片手で止められた……?


「……カルカトス?あなた何してるの?その方は……」


 少し、ラジアンの纏う空気が重くなった……?


「おやめなさい……いや、この場合仕方ないのかもしれませんね

ラジアン、ここは少し、場所を変えましょう」


 羽を取りだし、光に包まれ……そして、森に出た。


「……この森って……」


「私とカルカトスが初めて出会った場所だよ?」


 その言葉に過敏とも言える程に食い気味に反応したラジアンが続けて攻めるようにこういった。


「覚えてないの?」


「……覚えているも何も、私は魔族との関わりはありませんよ」


 だが、この状況はまずい。

このラジアンと2人きりになったのはいいことか?

だが、助けは絶対に呼べないこの場所に飛ばされたのは間違いなく悪いことだ。


「……なら、私が君を取り戻すよ」


 仮面とローブを取り、彼女が顔と角と自慢の羽を顕にした。


 あの時の恐ろしい気配の剣も腰にさしている。


 その顔を見て確信した『ラジアン』だと。


 ……?自慢の羽?『あの時』の恐ろしい剣?顔を見て確信した?


 どういうことだ?あったことがあるのか?親密な中なのか?大事な誰かだったのか?忘れているのか?それとも向こうの思い込みか?ならなんで私は彼女が羽を自慢としていることを知っている?なら『俺』はどうして彼女のあの声を、あの目を、あの姿を見て胸が締め付けられた?


安定した思考(デリート)


「……私を取り戻す?どういうことでしょうか?」


 だが、彼女が誰であろうと、私の何であろうと、今の関係は『人と魔族』……私を人と呼ぶべきかは今は目を瞑ろう。


 私は、私だ。


 つい最近名を与えられた『カルカトス ナイトメア』でしかない。


「そのままの意味だよ、誰の手に渡ってるのかは分からないけど、間違いなく、君は君じゃない」


「私は誰の手にも渡ってませんとも、強いて言うなら私の手に収まってますよ」


 その言葉を聞き、諦めたように黒い剣を抜く。


 あぁ、この恐ろしい、急速に死が迫り来るこの感じ……負ける可能性の方が高いのかもしれない。


「『私は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり呑み込む』《限界突破(リミットブレイク)》」


 体の、奥のそのまた奥から響く音を言葉にし、紡ぐ。


 力が湧き上がる、限界がすり寄る。


「……何それ……?」


 体からは触手がうねうねと伸び、先は鋭く剣のようだ。


 もう、人ではない……だって私は。


「何者なのよ?……カルカトス……?」


「自己紹介がまだでしたね、私はカルカトス ナイトメア

所謂『合成生物(キメラ)』です」


「……『合成生物』?カルカトスが?」


 とても信じられないといった様子だ、私の何を知っているのか……?


「そして、私はあなたを今から殺します」


 触手を放ったその瞬間……炎が空から舞い降りた。


「……炎?」


「……エンブラーさん……!?」


「……あぁ、なるほど、通りで魔王様が焦って私に声をかけるわけです……これはこれはお久しぶりですね、カルカトス殿

以前と比べると見る影がありませんがね」


「……貴方は?」


「私の名前は『エンブラー ヘルヴェティア』ただの魔族ですよ……さぁ、行きましょうフラム、そしてラジアンさん?」


 なんなのだ?このくすんだ赤い髪の魔族は。

一人称が『私』のキャラが3人……読みにくて申し訳ありません……!

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