6.騒動後。
争い部分は本筋じゃないのでね。
青年にはさっさと退場願いました。
「お兄ちゃん、大丈夫……?」
「いや、大丈夫だよ。でもごめんな、めちゃくちゃになって」
「そんなことないよ! すごくカッコよかった!!」
「かっこよかった、ねぇ……?」
ショッピングモールから少し離れた公園で。
俺と絵麻は、二人並んでブランコに揺られていた。
あの後の事の顛末を簡単に説明すると、結局は周囲の大人が助けに入ってくれた、という感じだ。警備員のオジサンを呼んでくれた人がいて、間もなくあの青年は連行されていた。対して俺はと言えば、途端に膝から力が抜けてへたり込んでしまった、と。
なんというか、最後の最後にカッコがつかなかった気がする。
「お兄ちゃんが来てくれなかったら、私どうなってたんだろ」
「大丈夫だったんじゃないか? 警備員さんもきたんだし」
「むぅ、そんなことないもん! ひどい目に遭ってたよ!」
「そ、そこ力説するのか……?」
俺が否定すると、躍起になって断言する義妹。
その倒錯した様子に、思わず苦笑いしてしまった。すると、
「そういえば、お兄ちゃんどこに行ってたの?」
そこでふと、彼女はそう訊いてくる。
俺は絵麻のその言葉を聞いて、手元にあった紙袋の存在を思い出した。
「そうだった。これ、渡さないと」
「…………え?」
立ち上がり、義妹の正面に立つ。
そして、彼女の細い肩に優しくそれをかけてあげた。
「これって、マフラー……?」
「うん。俺からの、クリスマスプレゼント、ってことで」
「クリスマス、プレゼント……」
桃色の毛糸で編まれた、愛らしいマフラーを見て。
絵麻は少しだけ呆けた後に笑った。そして、
「ありがとう、お兄ちゃん!」
そう、真っすぐに言うのだった。
◆
ちなみに余談だが。
「ぶあっくしょい!?」
「あ、お兄ちゃんコート返すよ!?」
「お、おう。そうしてくれると、助かる……」
マフラーで程よく暖を取れた絵麻。
彼女はコートを返してくれたのだが、どうにも……。
「う……!」
この短時間で染み付いた義妹の女の子らしい香り。
それに包まれる感覚は、どうにも慣れないのだった。




