4.休日の高校で。
「んー、しかし夕方まで時間を潰せ、って急に言われてもな」
――そう考えて歩いていると、俺の足は勝手に学校へと向かっていた。
休日の校舎にくるのは久しぶりだけど、やはり部活動に勤しむ学生たちの声で賑わっている。とはいえ、運動部に知り合いが多いわけでもない。足を運ぶとすればハンドボール部だが、瀬奈がいないのに顔を出したら何事かと思われるだろう。
赤羽さんも、別に嬉しいとは思わないだろうし。
「どうすっかなぁ……?」
「んあ? 小園、休日に学校で会うなんて珍しいな」
「ん、その声は高橋?」
などと考えていると、背後から間の抜けた声をかけられた。
振り返るとそこには生徒会の書記であり、運動部も掛け持ちしている高橋の姿。まだ練習の開始前なのだろうか、大きな欠伸をしながら彼はこちらにやってきた。
そして物珍しそうに、俺を観察する。
「会長は一緒、ってわけでもないのか」
「そうなんだよ。今日はちょっと、色々あってな」
「ふーん……?」
どうやら絵麻の同行かと思ったらしく、義妹の姿を探していた。
俺がそのことを否定すると、本当に意外そうに小首を傾げる生徒会書記。たしかに完全なる帰宅部である自分が、ここにいるのは違和感でしかないだろう。
ぶっちゃけたところをいえば、俺自身も休日の学校は居心地が悪かった。
そう思っていると、高橋は少し考えてから言う。
「あー……なるほど、そういうことか」
「……え?」
いったい、なにが『なるほど』なのか。
今度は俺が首を傾げていると、彼は腕を組んで頷くのだった。そして、
「きっと、外で時間潰せって言われたんだろ?」
「なんで分かるんだよ」
「いや、ちょっとな」
どこかニヤニヤしながら、肩を組んでくる。
マジで何を考えているのか読めない。飄々とした態度は一年の頃からなのだが、妙に頭も切れるので身構えてしまうのが彼の特徴だった。だからといって悪人というわけでもなく、周囲に対して気配りができるので生徒会役員に選ばれているのだけど。
俺が警戒しているのが分かったのか、高橋は人懐っこく笑みを浮かべて言った。
「なんだよ、大丈夫だって! それより時間潰していかないか?」
「時間潰すって、どうやって?」
「せっかくだしさ、サッカー部の練習参加してけよ」
「……へ?」
そして、そんな提案をされる。
当然ながら俺は断ろうとするのだが、
「いや、俺は――」
「前から見てたけどさ。小園って、意外と身体しっかりしてるよな? そのことから察するに、中学時代は帰宅部ではなかった、っていうのが俺の推理なんだよね」
「――すげぇな、お前」
逃げ道を断たれてしまった。
たしかに自分は元運動部だけど、さすがに高校からは並の学生。とても現役のサッカー部についていけるとは思えなかった。しかし高橋はもうその気らしく、
「ま、気楽にやって行けよ! たまには汗を流すのもいいもんだぜ!」
「……わかったよ、少しだけな」
俺は半ば無理矢理に、サッカーに興じることになったのである。
意外な情報を初出し。
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