表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/90

2.顔合わせに際して。








「お誘いいただいて、ホントにありがとうございます!」

「いえいえ。いつも絵麻がお世話になってます」

「いやあ、それほどでも~!」

「俺が言うことじゃないけど、少しは謙遜とかしろよ」




 桜が満開になったのは、三月も下旬のことだった。

 まだか、まだかと毎朝のようにテレビに喰いついていた親父は、なんと仕事の都合で不参加。何やら新年度直前で、色々と忙しいらしい。休日にもかかわらず駆り出される社会人の哀愁は、仕事に向かっていく寂しい背中からよく伝わってきた。

 その代わりでもないのだが、本日の幹事は恵梨香さん。

 ふわふわとした雰囲気をそのままに、彼女は野川家の面々と挨拶していた。



「うふふ。あなたが噂の瀬奈さんね、ふたりから話はよく聞いてますよ」

「いやー……絶世の美少女だなんて、たっくんも言い過ぎだよねぇ」

「言ってないからな、一度たりとも」



 その中でも最も会話が弾んでいたのが、瀬奈とである。

 そういえば、家で話題に出る割には初対面だった。俺はそう思って間を取り持とうと考え、二人の会話に耳を傾けていると――。



「噂では、ずいぶんと拓哉くんと仲良し、とのことね?」

「いやいや。普通に幼馴染みですよ? もっとも、誰よりも仲良いですが」

「うふふ、そうなのね。でもいまは絵麻もいるし、時間が減って寂しいんじゃないかしら」

「そんなことはない、ですかね。絵麻ちゃんも色々と『気を遣って』くれますし、むしろ以前より濃密な感じがしますね」

「あら、そうだったのね。でも、家での二人を知らないわよね?」

「いやー、そこまで踏み込むのは無粋かなぁ、ってね?」



 なんだろう、言い様のない空気感がある。

 互いに笑顔なのだけど、妙に険悪というか。しかし罵り合うわけでなく、あくまで友好的な言葉遣いをしている。内容については俺と絵麻、そして瀬奈の三人の話をしているのだが、どうにも意図が掴めなかった。そんなわけなのだが、先ほどから背筋が寒いのは何故……?



「お兄ちゃん、どうしたの? 顔色悪いよ」

「……いや、なんでもない。ただ本能に訴える何か、がな」

「本能に……?」



 そうしていると絵麻が声をかけてきた。

 俺の言葉を聞いた義妹は、頭の上に疑問符を浮かべながら小首を傾げる。しかしこちらにだって、意味が分からないのだ。彼女に答えがあるわけがない。

 そう思って俺は一度、野川家の親御さんに挨拶をすることに。



「お久しぶりです、お二人とも」

「この間はありがとうね、たっくん」

「久しぶりだな、小園のとこの坊主! 大きくなったな!!」



 すると特に、瀬奈の父――勇おじさんは、乱暴にこちらの頭を撫でてきた。

 奥さん、つまり瀬奈の母である良子さんは苦笑い。相変わらずの様子に俺はどこか安心感を抱きながら、ひとまず義妹の紹介をするのだった。



「それで、こっちが義妹の――」

「絵麻です。よろしくお願いします!」

「おおお……!」

「あなた、この子が……!?」



 瀬奈の両親に深々とお辞儀をする絵麻。

 そんな彼女を見て、二人は何やら息を呑みながら顔を見合わせた。そして、




「ちょっと、こっちこい。……拓哉」

「え、はい……?」




 勇おじさんは、何やら俺の首根っこを掴んでくる。

 されるがままに引きずられて、一団から離れた場所にくると彼はこう訊いてきた。




「単刀直入に訊くが、どっちだ……?」――と。




 しかし、俺は意味が分からず。

 ただ無言で首を傾げると、彼は次第に表情を曇らせていった。




「あの、勇おじさ――」

「……まぁ、いまはまだ良い。大目に見てやる」

「は、はい……?」

「だがな――」




 理由を訊こうとすると、おじさんは俺の肩に手を置く。

 その上で、彼は低い声で言うのだった。




「瀬奈を泣かせたら、容赦しないからな?」

「……はい?」





 ――なんの話ですか、ホントに。

 だが、この話はここで終わってしまうのだった。




 そんな感じで、お花見は始まる。

 雲行きが若干怪しいのは、いったい何故なのなのだろうか……。




 


瀬奈の両親、初?登場。




面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります!


応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「隣の席の朝倉さんは、どうやら異世界帰りの聖女様。」こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
何の話って、おいっ!気づけ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ