8.感謝の言葉。
カクヨムでも頑張ってます。
そちらでも★などいただけますと、幸いです(*'▽')
書籍化目指します!
「大丈夫か、絵麻。……その、冷えるか?」
「う、ううん……あったかいよ」
――じゃあ、これは恐怖心か。
俺は隣にいる義妹が、微かに震えていることに気付いていた。
暖房の類も止まっているため、次第に室温も下がってくるだろう。そうなる前に雷雲が、この近辺を通過してくれると助かるのだが。
そう思いながら俺は、絵麻に自分が使っている毛布を掛けた。
「はふ……?」
「俺の毛布で良ければ使ってくれ、風邪引いたら困るだろ?」
「……う、うん」
すっぽり収まった小柄な彼女は、暗がりの中でそれに顔を埋める。
どんな表情をしているかは分からないが、ひとまず拒否されなくてよかった。俺がそう思っていると、ちらりと顔を覗かせた絵麻はこう訊いてくる。
「お兄ちゃんは?」
「……ん?」
「お兄ちゃんは、寒くないの?」
「あー、平気だよ。これくらいなら」
実際のところ、そろそろ寒くはなってきていた。
義妹もそれを察してのことだろうけど、俺はあえて強がる。大粒の雨の音、そして時折に響く雷の音だけの世界の中、しばらく黙っていた絵麻はおもむろに――。
「え……?」
「えへへ。これなら、ふたりとも暖かいね」
「……あー、それはそうだけど」
こちらに身体を密着させ、毛布をかけてきた。
二人でそれに包まる形になると、どうしても彼女の身体に触れざるを得ない。それでも極力は避けようと努めるのだが、どうにも絵麻の方からこちらに寄ってきていた。
俺がそれに一言しようとすると、義妹はどこか緩んだ声色で言う。
「お兄ちゃん、暖かい……」
「……んー……」
これは、どうするべきか。
そう考えていると、肩を寄せながら絵麻がこう口にした。
「いつも、ありがとう」
「え……?」
それだけは、雨音の中でもハッキリと耳に届く。
俺が少し驚いて訊き返すと、彼女はこちらの肩に頭を乗せて続けた。
「こうやって、いつも一緒にいてくれて。嬉しい」
「………………」
その言葉に俺は何も返せない。
ただ確かなのは、現時点で俺は彼女から見て『良き兄』になれていること。一緒にいて、共に歩んで、同じ悩みを共有して、手を繋いでいられるということだった。
それは嬉しい。
だけど、いま何も返せないのは何故なのか。
俺にもその理由は分からず、ただ黙り込むしかできなかった。
「なぁ、絵麻……?」
それだとしても、こちらから感謝を伝えない理由はない。
俺はそのように考えて、
「こちらこそ、ありがとうな。……毎日が、たのしいよ」
静かに、囁くようにそう口にした。
だが反応がなく、不思議に思っていると……。
「すぅ……すぅ……」
「あぁ、安心して寝ちまったか」
どうやら誰かといることで安心したのか、元々眠かったのもあるかもしれない。
絵麻は健やかな眠りに落ちて、戻ってくる様子はなかった。
「これは、どうするかな……?」
いまから起こすのもアレだし。
そもそも、まだ雷だって収まっていなかった。だったら、
「ひとまず、雨が止むまではこのままで良いか……」
俺はそう考えて、義妹の温もりに身を預ける。
そして、ゆっくりと瞼を閉じるのだった。
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