5.拓哉には分からなかったらしい。
めっちゃ寝てた。夏バテ気味か
「あ、おかえり! お兄ちゃん!」
「ただいま、絵麻。親父と恵梨香さんは?」
「二人は今日、少し遅くなるって」
帰宅するとすでに絵麻が夕食を作っていた。
両親は何やら仕事があるらしく、帰ってくるのは遅くなりそう、とのこと。俺はひとまず荷物をリビングに置いてから、ぼんやりと瀬奈に言われたことを思い出していた。
一歩ずつ進んでいけばいい。
もちろん易きに流れるわけではなくて、しっかり目標へ向かって物事を逆算しながら。それを貫き通したから、幼馴染みはあそこまで立派になったのだ。
「俺も、負けてられないな……!」
「その様子だと、良い影響を貰えたみたいだね」
そう自身に言い聞かせると、ちょうど絵麻が夕食を運んできた。
笑顔を浮かべている義妹にカラオケでの話をすると、何度も満足げに頷いている。ただ次第に話が進んでいって、
「それにしても瀬奈のやつ、俺と一緒の高校行きたいからスカウト断ったってさ。すごく嬉しかったんだけど、本当にそれでよかったのかな?」
瀬奈が最後に白状した真相について、触れた時だ。
俺としては、幼馴染みがそこまで自分との友情を大切にしてくれている、ということが恥ずかしくも嬉しくあった。だけど意図せず、彼女の選択肢を狭めたのではないか、と不安になる。
そんな思いがあって、絵麻に訊ねたのだが――。
「…………あー、お兄ちゃん?」
「え……どうした、絵麻?」
義妹がどこか、いままで見たことのないほど冷めた笑みを浮かべていた。
何やら呆れとも哀れみとも取れるような、とにかくこちらを可哀想なもののように見ている。俺はその意味が理解できずに、困惑することしかできない。
そうしていると、絵麻は肩を竦めて失笑するのだった。
「これは私も、野川さんも苦労するね……」
「……なにが!?」
そして、そんなことを言う。
こちらが思わず声を上げると、
「はいはい。鈍感お兄ちゃんは、勉強頑張ろうねぇ~?」
何やら、そのように釘を刺されてしまった。
結局その反応の意味は教えてもらえず。
俺はただただ、首を傾げることしかできないのだった。
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