4.瀬奈が選んだ道。
「いやー、あの話を聞いた時は戦慄が走ったね!」
「戦慄って……」
そういえば、そんな提案をした気もしないでもない。
たしかに瀬奈の言う通り、当時の三年生が引退してからハンドボール部はメキメキと力をつけていった。市や県の大会でも上位に入ったし、ウチの高校にだって推薦で入学できるくらいに。
「だからね、たっくんのお陰なんだよ! いまのアタシがあるのは!」
「あー、うん。それはなんとも、正面から言われると恥ずかしいな」
「あははー! たっくんが赤くなってる! かわいい~!」
「やめろっての……」
ただここまで解釈して、自分の考えにしたのは瀬奈だった。
俺の幼馴染みは言われた通りに行動するだけじゃなくて、こちらの考え以上の結果をもたらしている。そしていま、こうして俺の隣にいてくれるわけなのだけど――。
「……そういや、瀬奈。前から気になってたんだけどさ」
「ん? なになに?」
「お前、中学の時に強豪校からスカウトされてただろ、県外の。それこそ全国で何連覇もしてるような、日本代表だって輩出してるハンドボール部に」
「うん、たしかに声はかかってたね」
ふと思い出したのは、高校入学以来ずっと不思議だったこと。
たしか瀬奈は中学時代の活躍が評価されて、全国経験がないにもかかわらずスカウトを受けていた。それは熱心に足を運ばれていたものだから、疎い俺でも良く知っている。
俺としては幼馴染みが遠くへ行ってしまう、と感慨深かった。
だけど、ご存知の通り瀬奈が選んだのは――。
「どうして、そっち行かなかったんだ?」
「………………」
俺と絵麻の通う、いまの高校だった。
なんなら自分からそこに入りたいと立候補して、推薦を勝ち取っていたり。まるでこちらに目的の何かがあるような、そんな立ち回りだった。俺はそのことが不思議で、ただ毎日を楽しく過ごしていたから聞く機会を失していたのだ。
せっかくだし、それを確かめよう。
そんな軽い気持ちで俺は、彼女にそう訊ねた。すると、
「だって、いないじゃん……」
「え、誰が……?」
瀬奈はぼそぼそと、なにかを言う。
いない、とは聞き取れたけど、誰がいないというのか。
そう思って訊き返し、俺が首を傾げていると幼馴染みはまだか細い声で言った。
「だってさ、あっちには……たっくん、いないじゃん」
「………………え?」
「だーかーらー!!」
そして、痺れを切らしたように。
顔を珍しく真っ赤にして、こう叫ぶのだった。
「たっくんと同じ高校に、通いたかったの!! 一緒にいたかったの!!」
あまりに真っすぐに。
俺はその勢いにしばし呆気に取られたが、やがて意味を理解した。
「…………お、おおう」
すると、一気に恥ずかしくなる。
薄暗い中でも分かるのは、互いの顔が真っ赤になっていることだった。
瀬奈ぁ……(・∀・)ニヤニヤ
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