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4.子を見守る親の微笑み。

ちょっと短め。







「いやあ、若いって良いね。恵梨香さん」

「うふふ。そういう哲也さんも、ずいぶん元気じゃないですか」




 バタバタというキッチンからの音を聞きながら、哲也と恵梨香は楽しげに笑う。拓哉と絵麻だけではなく、後輩の女の子がやってくるとは思わなかった。

 だがみんな喧嘩をすることなく、一生懸命なことが嬉しくて仕方ない。

 この賑やかさは、少なくともクリスマス前にはなかったものだ。



「そんなことないよ。昔の僕だったら、チョコ作りに参戦してたね!」

「やめてくださいねー? また食器が割れるので」

「はーい」



 そう思いながら、二人は言ってまた笑う。

 すると、ふいに恵梨香は夫にこのようなことを訊ねた。



「ところで哲也さんは、絵麻と拓哉くんの関係はどう思ってます?」

「ん、二人の関係……って、そういう意味だよね?」

「えぇ、もちろん」



 その内容というのも、子供たちのいまについて。

 当然ながら連れ子である二人、拓哉と絵麻に血の繋がりはない。いまのように義理の兄妹のままであることもあれば、いつか互いをパートナーと意識することもあるだろう。とりわけ二人は仲が良く、両親から見てもお似合いであることは違いなかった。

 恵梨香はそのことを嬉しく感じ、いずれはとも考える。

 だが、意外に冷静だったのは哲也だった。



「うん、仲が良いのは間違いないね。でも、急ぐ必要はないかな」

「そうなんですか?」

「そうだね。少なくとも『いま』は」



 彼はそのように答えると、少し声を抑えて続ける。



「拓哉も絵麻ちゃんも、まだ子供だよ。これから先の未来、可能性は大きく広がっているんだ。だからこそ、それを考えるのはもう少し後でも構わない、かな?」

「なるほど。たしかに、そうですね」

「だけど、僕も思ったりはするよ? どんな形であれ、あの二人が――」



 納得する妻に、微笑みかけながら。



「末永く、一緒に笑っていてほしい、ってね」



 それがきっと互いに想う理想だった。

 誰も『これ以上』傷つくことなく、日々是平穏なりを願う。

 恵梨香はそんな哲也の言葉に、心の底から同意して頷くのだった。



「そうですね。いまはまだ、優しく見守りましょうか」

「そうそう! 僕だって恵梨香さんともっと、仲良くなりたいからね!」

「あら、哲也さんったら」




 父はそう言いながら、母の手を握る。

 若くはないと言いながら、哲也はまだまだ大人しくはないようだった。



 


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「隣の席の朝倉さんは、どうやら異世界帰りの聖女様。」こちらも、よろしくお願い致します。
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