2.思わぬ参加者。
――さて、そんなわけで。
週末の土曜日に、我が家にてチョコ作りをすることになったのだが……。
「どうして、キミたちもいるのかな?」
何やら思ってもみない面子が、二人ほど追加されていた。
「絵麻会長にお誘いいただいたので」
一人は生徒会メンバーの雨宮恵さん。
トレードマークのお下げ髪を今日は一つ結びにして、エプロンをつけてやる気満々。絵麻に誘われたと言っているが、それだけで自宅まで乗り込んでくるだろうか。正直なところ、先ほどから殺気のこもった眼差しを受けている気がする。
そんな疑問を持ちつつ、もう一人の方を見た。
「キャプテンへのチョコを作るんですよね?」
もう一人は瀬奈の後輩、赤羽杏子さん。
快活な印象を受ける彼女は元々髪は短いのだが、念のために三角巾を巻いていた。こちらも腕まくりをして、やる気満々だ。キャプテン――つまり瀬奈への贈り物、だろう。彼女に至ってはどこから聞きつけたのか、それすら不明だった。
いずれにせよ、思わぬ展開に巻き込まれて困惑しているのは俺だけらしい。
「いや、まぁ……各々の目的は一致している、かもしれないけどさ」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「よく余裕あるよな、絵麻は」
「……?」
苦笑しながらそう言うと、首を傾げたのは絵麻だった。
彼女はいつもの愛らしさを花柄のエプロンを着用し、さながらお菓子の妖精のような雰囲気。見惚れてしまうとはまさにこのことだが、しかしいまは――。
「そこぉ!? なにニヤニヤしてやがるんだ、親父ィ!?」
「えー? 可愛い女の子に囲まれて、動揺してる息子を見て笑ってるんだけど?」
「ハッキリ言うな! 性格悪いな、この野郎!?」
「はっはっは! 実の父親に向かって、その当たりの強さはさすがだな!!」
それよりも、リビングからこちらを鑑賞している父の方が問題だった。
恵梨香さんと同じくソファーに腰かけているのだが、親父に至っては背もたれに顔を乗せるようにしながら、ずっとこちらを半笑いで見てきている。
なんだろうか。
この感覚、中学時代に俺と瀬奈をからかってきた同級生に似ている。
「中学生男子か、アンタは……!」
「ふっ……一つ良いことを教えてやろう。漢とは心の中に厨二を――」
「やーめーろー? 後輩二人の前で、痛い父親の振る舞いするのやめろー?」
それを思わず指摘すると、親父は変なポーズをしながら妙な理屈を言おうとした。俺はそれを大声で遮って、ひとまず黙らせる。
すると親父は、子供のように唇を尖らせながら言うのだった。
「えー? 今さら何を言うんだ、拓哉。お前の父は昔から、ずっとこうだぞ?」
「えぇ、そうですね!? 見事なまでに反面教師でした!!」
「え? 僕は教職じゃないよ?」
「そのボケも要らんわ!!」
ああ言えばこう言う。
本当に子供っぽい姿に、俺は思わず頭を抱えてしまった。すると、
「うふふ。そろそろ、拓哉くんが困ってしまいますよ? 哲也さん」
「はーい! それじゃ、みんな頑張ってねー?」
「………………」
聖母の鶴の一声か。
恵梨香さんの柔らかい指摘に、何故か親父は素直に引き下がった。
そんな姿に自然と肩を落としながら、俺はひとまず三人の方を見る。すると、
「小園先輩、苦労してるんですね」
「なんていうか、ふぁいとっす」
「………………」
後輩女子二人から、物凄く同情的な視線を向けられてしまった。
俺はそのことに苦笑しつつ、ひとまず自分も用意を手伝う。
こうして、人生初のチョコ作りは始まったのだった。
カクヨムでも頑張ってるので、そちらも何卒ぉぉぉぉ!!
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