5.それぞれに、自分の部屋で。
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「あれは、いったい何だったんだ……?」
俺は自分の部屋に戻ってから、ベッドに横になって考え込んでいた。
しっかりと視認したわけでもないから、必ずしもそうだったのだとはいえない。ひょっとしたら指先で頬に触れただけかもしれないし、それ以外かもしれなかった。
しかしあの温もりと柔らかさは、本当に指の類なのだろうか。
「………………」
改めて、その箇所に指で触れてみた。
かれこれ数時間経過しているが、あの感触はまだはっきり覚えている。自分の指と絵麻のそれは違うから絶対とはいえないが、頬に触れてもあの時のものは違うように思った。
などと考えて、もしもを想像する。――だが、
「うわああ! なんだよ俺、気持ち悪いって!?」
即座に脳裏によぎった想像を削除した。
義理とはいえ、絵麻は妹。純真な彼女のことをそんな目で見て、悶々とするのは背徳的に思えてしまった。だから俺は一度、勢いよく身を起こして頭を強く左右に振る。
そして、軽いめまいを覚えながら大きくため息。
少しは冷静になったが、しかし――。
「くぅ、本当に何だったんだ……?」
やっぱり、気になって仕方がなかった。
これでは明日から、どんな顔をして絵麻を見ればいいのか。
そんな悩みに苛まれる夜は、どんどん更けていった。
◆
「………………」
――しちゃった。
「………………はうぅ!」
――お兄ちゃんに、キスしちゃった!
一方その頃、絵麻は自身の衝動的な行動に赤面していた。
自分でもどうして、あのようなことをしたのか。絵麻はそれが分からず、だが同時に起こってしまった事実に悶えることしかできなかった。兄と同じくベッドの上で、布団に包まりながら頭を抱えている。
そして、おもむろに自身の唇に指を当てて――。
「ふぁ……!?」
少女の頭の中は、再沸騰した。
拓哉の頬の感触はいまでもはっきりと、唇に残っている。思い出せるそれに、絵麻は身体をさらに縮こませた。その上でこう考えるのだ。
「あ、明日から、どんな顔してればいいの……!?」
雪だるまのちょっとした悪戯。
それに背中を押された少女による、ちょっとした愛情表現。
ただし初心な二人には、少しばかり刺激が強かったようだった。
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