1.無自覚。
ここから第3章です。
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「たっくん! さっきの問題の方程式なんだけど……」
「瀬奈、お前。それ先生も説明してただろ?」
「寝てましたっ!」
「寝るなよ!!」
――午前中の補習を終えて。
窓際の席で俺がゲンナリしていると、幼馴染が声をかけてきた。
てへっ、と笑う瀬奈。ピースをして目のところに当てているあたり、全然反省していなかった。本当にこの幼馴染は、昔からこんな感じだ。
中学時代も、圧倒的に偏差値の届かないこいつに勉強を教えたのは俺。
高校に入っても、赤点を取るたびに教えてやっていた。
「だって先生の説明よりも、たっくんの説明の方が分かりやすいもん!」
「お前なぁ……。そういうのは、先生が教室出てから言えよ……」
「あ、ヤバ……!」
数学担当の先生からの冷めた視線に気づき、目を丸くする瀬奈。
しかしすぐに笑顔になると、周囲の目など気にせず答案用紙を広げた。
「……ったく。いい加減、自分で勉強しろっての」
「てへへ!」
ため息をつきつつ、こちらも答案用紙を広げる。
すると、隣の席の男子が――。
「おーい。いちゃつくなー、この夫婦ー」
「夫婦じゃねぇわ、馬鹿やろう」
そう茶化してきたので、俺は即座に否定した。
そして、気持ちを切り替えて瀬奈に向き直ると――。
「……ん? どうした、瀬奈」
「なんでもないでーす」
「…………?」
なにやら、意味深な笑みを浮かべる彼女の顔があった。
でも俺はさっぱり意味が分からないので、とりあえず保留とする。で、改めて先ほどの問題を復習しようとした。その時である。
「…………ん?」
「どうしたの、たっくん」
「いや、なんでもない」
なにやら気配を感じて、思わず首を傾げてしまったのは。
今度は瀬奈が訊いてくるが、答えは出せなかった。
気のせいだろう。
「そういえば……」
だがそこで、ふと思い出す。
――絵麻は、自分のクラスでなにをやっているのだろう、と。
◆
「…………むぅ」
――一方、件の義妹はその頃。
拓哉の教室の外で、不機嫌を隠しきれず頬を膨らしていた。
というのも中に入ろうと思ったら、兄が幼馴染の女子と楽しげに会話をしていたから。それ自体は別に悪くはないのだが、どういうわけか心が落ち着かなかった。
そんなわけで。
絵麻はなかなか彼の教室に入れず、覗き込むだけになっていた。
「あれ、会長だ」
「なにしてるんだ?」
「さぁ? でも、きっとなにか意味があることなんだろう」
周囲の生徒は、その真意には気付かない。
なんとなく都合の良いように解釈して、誰も話しかけないでいた。
そんな中で、絵麻はぼそりとこう呟くのだ。
「お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんだもん……」――と。
しかし彼女がそれを嫉妬だと知るのは、かなり先の話である。
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