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1.無自覚。

ここから第3章です。

よろしくです。








「たっくん! さっきの問題の方程式なんだけど……」

「瀬奈、お前。それ先生も説明してただろ?」

「寝てましたっ!」

「寝るなよ!!」



 ――午前中の補習を終えて。

 窓際の席で俺がゲンナリしていると、幼馴染が声をかけてきた。

 てへっ、と笑う瀬奈。ピースをして目のところに当てているあたり、全然反省していなかった。本当にこの幼馴染は、昔からこんな感じだ。

 中学時代も、圧倒的に偏差値の届かないこいつに勉強を教えたのは俺。

 高校に入っても、赤点を取るたびに教えてやっていた。



「だって先生の説明よりも、たっくんの説明の方が分かりやすいもん!」

「お前なぁ……。そういうのは、先生が教室出てから言えよ……」

「あ、ヤバ……!」



 数学担当の先生からの冷めた視線に気づき、目を丸くする瀬奈。

 しかしすぐに笑顔になると、周囲の目など気にせず答案用紙を広げた。



「……ったく。いい加減、自分で勉強しろっての」

「てへへ!」



 ため息をつきつつ、こちらも答案用紙を広げる。

 すると、隣の席の男子が――。



「おーい。いちゃつくなー、この夫婦ー」

「夫婦じゃねぇわ、馬鹿やろう」



 そう茶化してきたので、俺は即座に否定した。

 そして、気持ちを切り替えて瀬奈に向き直ると――。



「……ん? どうした、瀬奈」

「なんでもないでーす」

「…………?」



 なにやら、意味深な笑みを浮かべる彼女の顔があった。

 でも俺はさっぱり意味が分からないので、とりあえず保留とする。で、改めて先ほどの問題を復習しようとした。その時である。



「…………ん?」

「どうしたの、たっくん」

「いや、なんでもない」



 なにやら気配を感じて、思わず首を傾げてしまったのは。

 今度は瀬奈が訊いてくるが、答えは出せなかった。

 気のせいだろう。



「そういえば……」



 だがそこで、ふと思い出す。



 ――絵麻は、自分のクラスでなにをやっているのだろう、と。










「…………むぅ」



 ――一方、件の義妹はその頃。


 拓哉の教室の外で、不機嫌を隠しきれず頬を膨らしていた。

 というのも中に入ろうと思ったら、兄が幼馴染の女子と楽しげに会話をしていたから。それ自体は別に悪くはないのだが、どういうわけか心が落ち着かなかった。

 そんなわけで。

 絵麻はなかなか彼の教室に入れず、覗き込むだけになっていた。





「あれ、会長だ」

「なにしてるんだ?」

「さぁ? でも、きっとなにか意味があることなんだろう」





 周囲の生徒は、その真意には気付かない。

 なんとなく都合の良いように解釈して、誰も話しかけないでいた。



 そんな中で、絵麻はぼそりとこう呟くのだ。




「お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんだもん……」――と。




 しかし彼女がそれを嫉妬だと知るのは、かなり先の話である。



 


面白かった

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「隣の席の朝倉さんは、どうやら異世界帰りの聖女様。」こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[一言] ううん、ラブコメ、ラブコメ。
[一言] いや、覗きは深い意味があってもやっちゃ駄目でしょ……。 最早、会長を崇めた狂信者になりつつある気がする……。
[良い点] やばい可愛いがすぎる
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