海の男、痺れを切らす
一四.海の男、痺れを切らす
凪いだ海上で大船に揺られる優雅な日々…確かに三日程であればそれも快適に過ごせたのであろうが、流石に三週間もそのままだと考えも変る様で…
「ふっ…んっ…がああああーーーっ!」
船上で待ち続けたシーブランは遂に堪忍袋の緒が切れ、手にしていた五本の矢をまとめてへし折った。
「あ・の・ヤ・ロ・ウ!二、三日で戻るって言っておきながら、何やってやがるんだ!戻って来たらブチ殺してやる!」
こうなったシーブランは最早手に負えないのが解っているのか、手下達は周りで見ているだけで声すらかけようともしない。しかしシーブランの行動に怯える間も無く、手下達は真の恐怖に身を震わせる事になる。
「お頭!何か来ますぜ!」
見張りの男が叫ぶ。シーブランはすかさず望遠鏡をかざすと、見張りの指差す先を見ようとしたが…
「うおおっ?」
近付いて来たかと思った影は、瞬く間に上空を飛び去り、その影は得体の知れない淀んだ空気だけを置いていった。そしてそれから更に数分後、今度は海上をふわふわと怪しげな影が彷徨っているのを見張りが見つけてシーブランに報告する。
「何だ…さっきのも不気味だったが、今度のは更に得体が知れねえな」
シーブランはそう呟くと、更によく見ようと望遠鏡を覗き込んだが…
「うおおおおっ?」
叫ぶなり跳び下がるシーブラン。その目の前では、いつの間に近付いたのか道化の様な仮面を付けた男…とも女ともつかない姿が、楽しげにはしゃぎながら反対側から望遠鏡を覗き込んでいた。
「何だ…貴様は?」
声をかけられた道化は、大袈裟におどけて見せると、芝居がかった仕草で深々と頭を下げる。
「おやおやぁ?驚かせてしまい申し訳ありませんデスねぇ。私はちょいとある方の後を追っているだけでして、正直アナタ方に用は無いのデスよ。ただ、この辺りでは見慣れない大きな船だったので、ちょっと気になっただけなのデスよ。そんな訳デスから、これにて失礼致しますねー」
「ちょっと待て!貴様何も…の…」
シーブランが呼び止める間も無く、道化は掻き消すようにその姿を消し、後には異様な不快感だけが残った。
「船長…今のは一体…何でしょう?」
不安げな部下の言葉に、シーブランは自らの不安を吹き飛ばそうとでもするかの様に大声で檄を飛ばす。
「いいか野郎共!あんな煙みたいな奴は気にする事ぁねえ!俺達の役目はあいつらが戻るまでこの船を守る事だ。そしてもうじきあいつらは戻って来る!だからそれまで訳のわからねえ奴をこの船に近付けさせるな!」
その言葉に一瞬顔を見合わせた部下達だったが
「解ったか野郎共!」
再びのシーブランの檄に、海の彼方まで響く様な大歓声を上げた。
そんな事は露知らず…と言うよりはそれどころでは無かったオルア達は、更にその二日後の正午近くに船へ戻った。互いに言いたい事は色々とあったが、オルア達の戦った騎士や道化がシーブラン達の遭遇したそれと同じ者だと解ると、船室は善後策を考える会議の場と化す。
「さて、結局の所俺達はどうするべきか?そろそろはっきりした答えを出そうや」
ガルがそう言った頃には既に日も暮れ、波の音だけが一同を包んでいた。誰も口を開かない状況を見て、半蔵が口を開く。
「行く先が決まらぬならば、僭越ながら拙者が意見致すことをお許し願おう。とは言え、これは拙者の考えでは無く、長老の思し召しなのでござるが」
半蔵はそう言って辺りを見回すが、皆顔を見合わせるばかりで意見は無い。
「なれば、おのおの方拙者の意見をお聞き願いたい。異存あればその後、なんなりとお申し付け願いたい」
ねめつける様に半蔵は一同に言い渡すと、そのまま言葉を続けた。
「長老の仰せでは、我等はほぼ時を同じくして二つの場所に行かねばならぬとの事。その一つはこの世の中心。そしてもう一つは…」
そこで言葉を切る半蔵。一同は黙って唾を飲む。
「この地の果て。更にはその地から…天空へと至る」
一瞬の沈黙。そして次の瞬間、誰もが顔を見合わせて騒ぎ出した。そして真っ先にオルアが声を上げる。
「世界の中心…はまあいいとして、天空って言うのは…空の事…だよな?空の上に行けるのか?だったら俺はそっちがいい!」
話を聞いていたのかいないのか解らないオルアの発言に、ミンクは呆れながらも笑い声を漏らす。そして
「そうね、私もそっちがいいわ」
そう言って微笑みながらオルアに同意した。
「なれば、オルア殿とミンク殿は天空へと至る地の果てへ向かって頂きたい。拙者はこの世の中心へ向かう故、各々方、どちらと同行するかよくよく考えた上でお決め頂き申す」
オルアは興奮の面持ちだったが、不意に何かに気付いたかの様に声を上げる。
「ちょっと待った!地の果てって…どこにあるんだ?」
その問い掛けに半蔵は一瞬躊躇するが、一息つくと顎に手を当てながら答える。
「それが…真に申し訳ござらんが…定かでは無いのでござる。もっとも、いくつか心当たりが無い訳では無いのでござるが…」
渋い顔をする半蔵。そこへすかさずミンクが声をかける。
「天空へ至る、って事は何かあるはずの場所よね?だったら…例えば天まで届く塔…じゃなかったら飛竜達の住む…あ!」
ミンクは自分の言葉で何かに気付いた様だった。誰かが口をはさむまでも無く、更に言葉を続ける。
「解ったわ!天空に至る地の果てが!」
「何と?」
思わず半蔵は驚きの声を上げる。一同も息を殺して次の言葉を待った。
「バーンが本当にいた時点で気付くべきだったのよ!伝説の聖竜がいるのなら、同じ様に遠い伝承でしか語られなくなった飛竜も本当にいるんだって!」
興奮の面持ちでまくし立てるミンク。更にその言葉は続く。
「昔お母様に聞いた事があるわ。私達エルフですら忘れかけた遠い伝承では、遥か天空にまでも飛ぶ事が出来る飛竜が確かに存在していたって。今でこそその姿を見た者はいないけど、伝説に語られる聖竜がいるのなら、同じく伝説の飛竜がいたって不思議じゃ無い!だったら半蔵が言った地の果てって言うのはきっと…」
そう言ってミンクは例の地図を広げる。初めて見る者は当然として、それを久々に見たオルアも目を丸くした。
「そういや、こんなの持ってたんだよな」
オルアは頭を掻きながら地図を覗き込む。その横には、真剣な顔で地図を覗き込むミンクの姿があった。
「で、その地の果てって言うのは…うっ」
話しかけようとした瞬間、オルアは無言の圧力に押されて黙り込んだ。それ程にミンクはとてつもない集中力を持って地図を覗き込んでいる。そしてそのままブツブツと呟きながら、ここは違う、ここでもない等と繰り返して…
「お…おい、ミンク?」
流石に心配になったオルアが声をかけた瞬間、ミンクは勢いよく顔を上げて叫ぶ。
「解ったわ!」
「うわあっ!」
驚いてひっくり返るオルア。しかしミンクはそれを気にせずに言葉を続ける。
「皆、これを見て!」
ミンクはそう言って地図の一点を指差す。同時に一同の視線がそこへ集中したが…エルフ文字で書かれた地名は誰にも解らず、結局ミンクが説明する事になった。そして
「忘らるる都か!確かに臭いな!」
すかさずガルが声を上げた。しかもその顔は興奮で紅潮し、更にミンクに代わって言葉を続ける。
「俺は…かつて武者修行の旅をしていた時に聞いた事がある。この世のどこかに、武力とは違う不可思議な力を持つ者が住まう地があると。しかしそれは既に忘れられた誰も知る事のかなわぬ地。その名も忘らるる都…と。誰もその場所を知らぬその地が、まさかエルフの持つ地図に記されていたとは!正にこれぞ天の導きだ!ミンク、俺はお前達と一緒に行かせて貰うぞ!嫌とは言わせねえ。まあ、言われても付いて行くけどな!」
そう言って豪快に笑うガルを見て、オルアとミンクは顔を見合わせて苦笑する。
「ふむ、ならばオルア殿とミンク殿は、お手数かけるがガル殿と同行して頂こう」
「おい、お手数って何だよ!」
「いや、これは失敬。それはそうと、どちらの道中も恐らく楽な道程ではなかろう。それ故イーロン殿、フレア殿は拙者と同道願いたい」
「そうだな、私も同感だ」
フレアは半蔵に同意し、イーロンも無言で頷いた。そして…
「んギャ?オイラはどうするんだギャ?」
バーンが困った顔でオルアと半蔵の顔を交互に見比べると、半蔵はそれ以上に困った様な声を発する。
「いやはや…そればかりは拙者にも…否、長老ですら解らんのでござる。正直な所、どちらの道程にも例の怪しげな輩が現れんとも限らん。それ故バーン殿にはどちらにも同道して頂きたいのでござるが、生憎身体を二つに分ける訳にも参らぬ。しからば取るべき道は一つ。いまや我等の内で最大の戦力を持つオルア殿、更にはその力を増すことの出来るミンク殿、そして誰よりも強靭な身体を持つガル殿…その一行には更なる戦力は不要かと思われる。更には、バーン殿はイーロン殿と同道する事により自らの力を限界以上に使いこなす事が出来る様になるのではないかと…まあこれはあくまでも拙者の想像に過ぎないのでござるが、まあそう言った理由で拙者はバーン殿に同道をお願い致したく思うのでござる」
そう言われたバーンは、一同の顔を順に見回すと、イーロンの前でその視線を止める。
「んギャ?またイーロンがオイラに修行をつけてくれるのかギャ?」
無言で頷くイーロン、それで話は決った…かと思われたが、大きな問題が発生する。
「おい、同時に二つの場所へって…船は一隻しか無いんだぜ、どうするんだ?」
シーブランの言葉に、一同は間の抜けた顔を互いに見合わせた。
互いに意見も無いまま無益な時間が流れていたが、その沈黙は意外な者の言葉で破られる。
「…えっ?」
不意にミンクが声を上げ、その声に反応するかの様にオルア達には聞き覚えのある声が響く。
「よう、お困りかな我が愛すべき者共よ」
その声にオルア達は一瞬顔を見合わせ…そして声を上げる
「剣神!」
「その通り!お前達の戦いはしかと見せて貰ったぞ。アグラには気の毒な事だったが、なに心配はいらん。あれの生命力は尋常では無いからな、五年と経たずにすっかり元通りになるだろう」
その言葉に安堵の表情を浮べる一同だったが、ガイルーシャは構わず言葉を続ける。
「だがお前達が今考えるべきはアグラの事ではあるまい?船に代わる何か…それを探しているのであろう?」
「船があるのか?」
反射的に叫ぶオルア。しかしガイルーシャはあっさりと受け流す。
「何か…と言っているだろうが。相変らず頭の方は成長しておらんな」
その言葉に周辺から笑い声が漏れる。しかしガイルーシャは構わず言葉を続ける。
「ここ数百年使ってなかったので動くかどうか保証は出来んが、凱竜が役に立ちそうな物を知っている筈だ。行ったり来たりで面倒とは思うが、世界の果てへ向かう無謀者共は一度凱竜の元へ行くがよい。まあ、時間があるならついでに我の元へ来ても構わんのだが…どうやらそんな余裕は無さそうだ」
剣神は不意に語調を変える。それはごく僅かな変化だったが、それに気付いたミンクは嫌な予感を感じた。
「あの…何かあったのですか?」
「うむ…どうやらお前達が危惧している…先程半蔵の言葉にあった厄介な輩って奴等なのだが、どうやらそやつらはどちらの道中にもほぼ間違い無く現れるであろう」
「えっ?」
その言葉に目を丸くするミンクだったが、声にこそ出さないもののオルア達も同様の顔をしていた。
「それって…やっぱりあの影の事…よね?」
誰に言うでもなくミンクが呟く。暫く押し黙る一同だったが、その沈黙を破る様にオルアが声を上げた。
「いいじゃんか!俺達も初めてあいつらに会った時から比べたら随分強くなった!それに何よりも…正直俺はあいつらが凄え気に食わない!だから!あいつらの仲間の誰が現れようと、俺は今度こそ完膚なきまでにぶっ飛ばす!」
何の根拠があるのかはともかく、オルアの力強い言葉に影の事を知る者は思わず苦笑を漏らすが、それは次第に大きな笑い声となった。
「お…おい、俺…何か変な事言ったか?」
思わぬ反応にオルアはミンクに尋ねるが、ミンクは笑顔で答える。
「ううん!貴方の言葉は皆に元気をくれたのよ!」
その言葉に答えるかの様に、ガルが吼え、フレアが目を光らせる。そして半蔵は口の端を上げ、イーロンは無言で頷く。
それから三日後、前回の一同にシーブランも加わった一行は再び凱竜の前に立ち、その山の様な巨体を見上げていた。既に凱竜を見た事のある一同ですらその巨体に呆れる程であっただけに、初めて目にするシーブランの驚きはと言えば…
「あらら、固まっちゃってるわね」
「まあ仕方ねえだろう、俺だって初見なら同じ反応するだろうしな」
別に旧友に気を使った訳でも無いのだろうが、ガルの言葉は妙に一同を納得させた。そんな一同に、凱竜はいつも通りゆっくりと言葉をかける。
「ほーう…ほう。こりゃまた見慣れた顔振りじゃのお…じゃが、初めて見るお主は…ふーむ…ふむ…ほっほっほ、これまた剛毅な御仁じゃ。うむ、これならば導く事に何の問題もなかろう」
凱竜の姿に呆気に取られていたシーブランだったが、その言葉に自分を取り戻したかの様に反応した。
「お?なかなか見る目があるじゃねえか!流石は剣神とやらの門番だな!」
不意に元気になったシーブランに一同は思わず笑い声を上げるが、それもひと段落着いた頃にオルアが…だと説明に何時間かかるか判らないのでミンクが事情を説明した。
「ふーむ…まあ主から大体の事情は聞いていたのじゃが…随分と大変な事になりそうじゃのう」
凱竜の言葉に、一同は改めて前途を思い沈黙する。その状態が暫く続くかと思いきや、すぐさま凱竜が尋ねる。
「ところで…誰が世界の果てへ向かうのじゃな?全員送るとなると、少々時間がかかるのじゃが…」
そう言って一同を見回す凱竜。その前に進み出たのは
「まずは俺様と…」
真っ先に進み出たガルがそう言って振り返ると、オルアとミンクもその横に並んだ。
「このちっこい二人組みだ!」
「おいおい」
「そんな言い方はないんじゃないかしら?」
「まあそう騒ぐな、事実だから仕方無いだろうが!」
「ちょっとオルア聞いた?そんな言い方…」
興奮気味のミンクとは対照的にオルアは笑ってそれを聞き流す。その様子にミンクは更に何か言おうとするが、その前にガルが言葉を続けた。
「まあ、ちっこいには違いないが…その中身は大物だ。まあ、アンタには言わずとも解ってるとは思うがな。そんな訳で、規格外の俺達三人だけ送って貰えりゃあいい。後の奴等は、この胡散臭い海賊が送ってくれるさ」
「…誰が胡散臭いって?」
「まあいいじゃねえか、愛情表現だよ!」
「…どこがだよ」
そんなやり取りを微笑みながら見守っていた凱竜だったが、短気な主が突っ込みを入れる。
「おい凱竜よ、お喋りも程々にしておけ。その為に手遅れなどになってしまったならば、我が他の神々に顔向けできんぞ」
ガイルーシャは姿こそ現さないものの、当然この様子を見ているであろう事は凱竜のみならずミンク達にも解っていた。そのミンクの視線を感じた凱竜は、笑みを浮かべながら大きな体の向きを変える。
「ほっっほっほ…確かに主の仰せの通り。ではその規格外のお三方、こちらへ着いて来なされ…と、ほうほう…他の方々は急いで目的の地へ向かわれよ。こちらは準備出来次第、すぐさま世界の果てへ飛べるのだからのう」
「よっしゃ!じゃあ行くぞ、ちっこいの!」
言うが早いか、ガルは二人を待たずにずんずんと歩き出した。
「もう!またそんな事を…オルア、早く行くわよ?」
「ああ…そんじゃ行ってくる。そっちも気を付けてくれよな」
オルアは背後の仲間達を振り返り、そんな言葉をかける。
「あらあら、そんなに気を使えるようになったなんて、オルアも成長したのね」
からかう様に笑うミンク。
「おい、またそんな余計な事を…」
「でもその通りよね。私達も皆、無事再会出来る様にお互い気をつけましょう!ねっ、フレア?」
「あっ?…は…ハイ、ひ…いや、ミンク。必ず誰一人欠ける事無く再会しよう!」
一瞬慌てたフレアだったが、気を取り直すと決然と声を上げた。
「当然だギャ!オイラ達は分かれ道を行っても心は一緒なんだギャ!だからどんな奴が出て来ても負けないんだギャ!」
「うむ、何とも心強き言葉!拙者も全力を尽くす所存故、何卒ご安心召されよ!」
バーンと半蔵も同様に声を上げ、イーロンも無言ではあるが頷いて見せた。シーブランは…若干戸惑ってはいたが、自分に視線が集まっているのに気付くと慌てて大声を張り上げる。
「おおよ!第一こっちはこの俺様が面倒見るんだからな!間違いなんか万が一にもありえねえって!」
「うははははっ!それが一番心配の元じゃねえのか?」
遠くからガルの声が響く。
「何だと!」
シーブランはそう言って先を見通すが、既にガルの姿は見えなくなっていた。
「全く…地獄耳が。まあそんな訳でこっちは任せておけ。それより早く行かないと、あの馬鹿に置いていかれるぞ?」
「え?おお、もう見えなくなってる!じゃあな!」
「そうね、じゃあ行って来るわ。皆も気をつけてね!」
そう言いながら駆け出す二人。その姿が見えなくなると同時に、シーブランの号令が響く。
「よーし、じゃあ俺達も船まで戻るぞ!」
「んギャ!じゃあオイラが一番乗りなんだギャ!」
「ほう、ならば拙者と勝負致そうか?」
「…それも修行…付き合う」
「ほう?ならば私も混ぜて頂こう」
そんな事を言うが早いか、三人と一匹は恐るべき速さでもと来た道を戻る。
「…あれ?…っておーい、ちょっと待て!俺を置いて行ってどうすんだよ!誰が船を動かすんだよーっ?」
海上においては怖いもの無しを自負していたシーブランだったが、見ず知らずの山の中とあってはどうする事も出来ない。
「アイツ等、絶対いつか海に落としてやる」
そう呟いたシーブランは、足音高く元来た道を駆け出した。
アグラを操った憎むべき敵。それを退けはしたものの怪しい輩が現れ、不穏な空気だけは残り続ける。
それらに対抗する為に更なる旅路へと進むオルア達の行く手に待つ者は…?




