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狼王【フェンリル】VS黒猫【ミナ】

 

 いやぁあああああ!!スケルトン襲われるぅ!!アレン早くリッチ倒してぇえっ!!

 バフかけられてるとはいえこのままじゃ、俺だけ死ぬ!ってやばいの来たんだけどっ!?


 騎士スケルトンと格闘していると、巨人スケルトンの手が俺の頭上に降り注ぐ。

 その手はあまりにも巨大で今から逃げても間に合いそうになかった。


 まずいまずいっ!潰されて死ぬ!ぐちゃぐちゃされてしまうぅ!………………おっ?


 俺の眼前まで迫ってきていた巨人の手は空中でピタリと静止し、数秒後、灰となって消えていった。それに追うように何十体といた騎士スケルトンも同じように消えた。

 召喚物がこういった感じに消える時ってのは魔法を解除した時、または術者が死んだ時ってのが相場と決まっている。……ってことは。


「すまん。……少々時間がかかった」


 声のした方向を振り返ると、そこにはボロボロになりながらも笑顔を浮かべてこちらに向かっているアレンの姿があった。


「アレン!よくやったぁああ!!」


 思わず駆け寄り抱きしめてしまう。さすが、魔法の天才。四天王もとい三天王を1人で倒すとは、俺の想定以上の活躍をしてくれたな。


「ひ、ひびきどのっ……痛い痛い痛いッ!!」


「あっ、すまん。おーい!ユーリくん、アレンのこと治してー!」


「分かりました!【付与・再生《二倍(トゥワイス)》】」


 ユーリくんの魔法によってボロボロになった体が徐々に修復されていく。

 今回は相当傷を負っていたから数分かかったが、何とか完治したようだ。


「……よし。治ったであるな。感謝するぞユーリ殿」


「仲間なんですから助け合いは当然ですよ!」


「それじゃ、吾輩の体も治ったことだし、次の階に行くとしよう」


「……アレン、ストップ」


 ミナが次の階層へと向かおうとするアレンを制止する。


「ミナ殿どうかしたか?」


「急ぎすぎ。もう少し休憩したい」


「そうだぞー!俺もまだ疲れてる!」


「私も休憩したいです!」


 全員で抗議の声を上げる。それにアレンも体力まだ回復してないっぽいしな。みんなで休もうぜ。


「……ふむ、それもそうであるな」


 はい!てなわけで休息タイム!俺らはRPGのキャラとは違ってスタミナ要素があるからな。

 そこら辺ちゃんと気をつけとかないと死に直結する。もしかしたら次の階で待ち伏せされてる可能性もあるしな。


 そうして数十分の休息をとった後、俺たちは次の階層へと進むのであった。階段を登った先には案の定、多くの魔物が待ち構えており、俺たちに向かって襲いかかってきた。

 休息を十分にとっていなければ、ちょっとめんどくさい展開になっていたことだろう。


 いくら束になろうとも、所詮は雑兵。体力を回復した俺たちの敵ではなく、蹂躙しながら突き進んでいると、再び巨大な扉が現れた。

 ……ボス部屋からボス部屋までの間隔狭っ!もっと奥の方にあるかと思ってたわ。


「またボス部屋ですか。次は何が出るんでしょうね」


「まぁ、今まで戦ったヤツは竜と骨だし。次は四足歩行の獣とか出るんじゃね?皆はどう思う?」


「吾輩はオークの上位種なんかがありそうだと思っている」


「……私はご主人様と同じ意見」


「僕は騎士とか出そうだなって思います!」


「私は巨大スライムと予想します!」


 様々な意見が飛び交い、次のボスの予想を始める。ボスと戦う前にすることじゃないと思うかもだが、こういう戯れは緊張をほぐすのに良いから、割と有効なのだ。


「よーし!じゃあ答え合わせと行こうか」


 勢いよく扉を開く。そして扉の先で目にした

 のは一つ一つの仕草に威厳を感じさせる白銀の狼が佇んでいる姿。

 人間の数倍の巨躯を誇り、こちらを睨みつける眼光はとても鋭い。


「……貴様らがここに来たということはリッチは既に倒されたのだな」


 ドスの効いた渋めの声が部屋に響き渡る。声の主は紛れもなく目の前の狼だろう。


「我が(あざな)は狼王【フェンリル】かつては国さえ滅ぼした獣の王だ。……我は「おいおい、自分語りはその辺にしろよ、ワンコロ。飼い主の躾が足りてねぇんじゃねぇか?」


 俺はヤツの長々とした自己紹介に割り込むように挑発をぶつける。


「ほう?威勢がいいな。……その挑発に乗って、初めから本気でやってやろう」


 ……凄まじい覇気だな。どこかの海賊漫画みたいに気絶させられそうだ。……こりゃ、相当しんどい気がするなぁ……


◆◇◆◇◆◇


 ご主人様の予想通り出てきたのは、四足歩行の獣。……纏っている威圧感が尋常じゃない。人によっては見ただけで気絶してしまいそうだ。


「まずはそこの竜の子娘からだ」


 ヤツがそういうと周囲に風が吹き荒れる。次の瞬間、その場からヤツの姿が消え、気づいた時にはフィレスの目の前にまで迫っていた。


「ぐっ!?」


 その巨躯による体当たりで、フィレスが後方へと吹き飛ばされる。硬い鱗による防御で多少威力は殺せたが、それでも痛手には違いない。


「フィレスっ!……チッ!お前ら構えろ!恐らくヤツは風で自身を押し出すことによって加速している!」


「……ほう、初見でそれに気づくとは、観察眼に優れているのだな。驚いたぞ」


 ……私も驚いた。風が吹いたことは分かったが、何が起きたかまでは分からなかった。初めて戦う相手のこと的確に分析する能力。ご主人様はそれに長けているのだろう。


 ただ、それが分かったとしても、対応できるかはまた別の問題だ。次の瞬間、またしても風が吹き、ヤツの姿が消える。


「みんな!横に回避してください!」


 ユーリが叫ぶ。その言葉に従い、横に飛び退く。すると、私の近くをヤツが凄まじい速度で通り抜ける。


 ユーリの指示がなかったら何の抵抗も出来ずに喰らっていたことだろう。

 ……風が吹いた瞬間にこっちに来るのは間違いないから、素早く横に回避すれば避けられる……ユーリは多分そう判断したんだ。


「ナイス指示だ!ユーリくん!」


「ありがとうございます!」


「……回避方法がわかったから、なんだというのだ?……【爪嵐(そうらん)】」


 喜びもつかの間、再び風が吹き荒れる。ただ、今回はヤツの姿は消えていない。いったい、何が来るのかと構えていると、私たちを囲むように爪を象った魔力の塊が複数向かってくる。


「皆!吾輩の元に集まれ!【岩壁(ロックウォール)】」


 すぐさま、アレンのそばに駆け寄ると、私たちの周りに岩の壁が出現し、ヤツの攻撃を防ぐ……しかし。


 巨大な魔力の塊を受け止めた壁にヒビが入りだし、バラバラに砕け散る。そのまま魔力の爪が私たちに襲いかかる。

 威力は多少殺せたものの体に傷が刻まれ、血が滴り落ちる。……ユーリの支援魔法で徐々に回復するとはいえ、この傷では治るまでに時間がかかるだろう。


 ……このままだとジリ貧だ。こちらから攻撃を仕掛けなければ。


 私はヤツの元まで走り、脚部目掛けて剣を振るう。確実に捉えたと思ったが


「……鈍い」


 私が放った一撃は空を切り、ヤツに触れることは無かった。先程まで確かにそこにいたはずなのに。


 そしてカウンターの体当たりで後方へと吹き飛ばされる。


「ガハッ!?」


「危ないっ!」


 そのまま壁に激突するかに思われたが、すんでのところでフィレスが私のことをキャッチし、壁への衝突は免れる。


「……ありがとう」


「はい!……それにしても、さっきの狼王の動き……まるで瞬間移動したみたいでした」


「……あれはただ速いだけ。でも、だからこそ厄介。……あの速度に勝てる攻撃を出せないと当たらない。……私たちにはそれがない」


「それじゃあどうしようもないじゃないですか!?」


「……今の状態だとそういうことになる。……せめて機動力さえ落とせれば」


 私がそう呟くと、それに応えるようにアレンが口を開く。


「機動力を落とせばいいのだな?【電檻(パルスジェイル)】」


 私たちを覆うように電気を帯びた檻が形成される。触れたら感電を免れないそれはヤツの動きを制限するのに十分なものだった。


「これで十分であるか?」


「……十分。皆、援護よろしく」


「私も一緒に行きます!」


 私はそのまま足裏に力を込め、一気に飛び出す。そして私に追従する形でフィレスも走る。


「【付与・強化&敏捷】!」


 ユーリの支援魔法により、更に加速し、ヤツとの距離を一気に詰める。だが、ヤツもタダで接近させる訳にはいかないようだ。

 先ほどと同じように魔力で作られた爪がこちらに向かってくる。


 逃げ場を無くすように放たれたそれを回避する方法は1つしかない。……ぶっつけ本番だが、試すしかないだろう。


「【風跳(エア)】」


 ヤツの動きを参考に足元に風を発生させ、体を宙へと押し上げ、四方八方から来る攻撃を回避する。以前に魔法を学んだ経験がここで活きた。


 そしてヤツの注意は私に集まり、私の後を着いてきたフィレスの存在が意識から外れる。

 そして意識外からのフィレスの一撃がヤツの体にクリーンヒットする。


「【竜撃(りゅうげき)】!!」


 GAaaaaaaaaaaa!


 さすがは竜の一撃。ヤツの巨躯を揺らし、悲鳴を上げさせる。フィレスよってヤツに隙が発生する。この隙を逃してはならない。


「【魔刃双撃(まじんそうげき)】!!」


 双剣に魔力を纏わせ、ヤツの体を切り裂く。もっと深く、もっと鋭く。何度も何度も剣を振り、血肉を掻き分け、ヤツに致命傷を与える。


 だが、まだヤツの闘志は消えておらず、私を踏み潰そうと足が振り下ろされる。

 私は攻撃に集中していたため回避の体制に移行できず、そのまま潰されるのをただ待つしかない。と思われたその時……


「っらぁ!!!!」


 背後から力強い声とともに剣が飛来し、私に向かって振り下ろされた前足に突き刺さる。苦痛の表情を浮かべたヤツは仰け反り、先程よりも更に大きい隙を晒す。


 ……振り返りはしない。誰が助けてくれたかはもう分かってる。……みんなが繋いでくれたチャンスを無駄にはしない。


「これで最後っ!【牙刃風突(がじんふうとつ)】」


 足裏に圧縮した空気の塊を発生させ、爆発させる。その衝撃で体を吹っ飛ばし、その勢いのままヤツの腹部に剣を突き刺す。

 この技は剣を伝って相手の体内に魔力を流し、膨らませ、破裂させる。


「……見事っ……!」


 自身が敗れることを悟ったヤツは私たちに賞賛の言葉を送り、そして、体内で破裂する魔力の塊によって、身体が木っ端微塵に爆散した。


 狼王を倒したことによる安堵と疲労から、私はそのまま床に倒れる。


「…………疲れた…………」


 《狼王フェンリルVSミナ》


 勝者【ミナ】


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