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134.ライバル出現?

「是非俺も雇ってください!」


サイラスの乞うような声が聞こえて来た。


お?勤務してくれる気になったのかな?


ルークは側耳をたててみる。


「施設の確認はしなくても宜しいのでしょうか?」


「あぁ。だってジェイクが建築したんだろう?それなら、大丈夫だ。昔からジェイクの建築デザインには定評がある。そこで働けるなんて、夢みたいだよ!しかも温泉にも入らせてくれるんだろう?契約内容も報酬も問題ない。サティの作る商品まで置かせてもらえる。断るやつがいるか?いないだろう!」


サイラスはサティよりも早く契約書にサインをしている。それをみたサティも契約書に再度目を走らせてサインをしていた。


「「ありがとうございます。」」


メーネは書類をしまい、周辺の地図を広げる。


「では、まず他の従業員との顔合わせと施設の案内がありますので、こちらから回って馬車寄せを通過して、厩と倉庫がありますので、そちらを使ってください。奥から順に止めていただければ問題ありません。厩は馬の好きなところをどうぞ。」


ボビーが地図に指を指しながら説明する。


「「わかりました。」」


と、納得したサイラスだったが、気になることがあるのか、右手を上げてボビーに尋ねる。


「あの。馬車の案内をする者は既に働いているのでしょうか?」


「そちらはこれから手配する予定です。」


ボビーは地図を片付けながら答えたので、サイラスは思い切って聞いてみることにした。


「では、それまででも良いので、自分にその仕事もさせて貰えませんか?」


「と言いますと?」


ボビーはサイラスの申し出に動きを止める。


「先程聞いた限り、妻と二人で同じ時間、同じ仕事をするのは、おそらく時間が余りに余ります。それであの報酬は有り難くもありますが、申し訳なさすぎる。それなら自分はバレーサービスに回った方が良いかと思うのですが。」


ボビーはこの提案に考える事なく承諾した。


「契約書を書き換えましょう。短期間とは言わずに宜しくお願いします。」


メーネとサティの目の前で、ボビーとサイラスが固く握手を交わす。



「ねぇ、ルークちゃん。バレーサービスって何か知ってる?」


デイジーがルークとハンナにしか聞こえないくらいの声で尋ねてくる。


「えっとね、お客様から旅館の前の馬車回しで馬車を預かって、駐車と出庫の代行をする仕事だね。この世界なら。」


「へぇぇ。」「至れり尽せりなのね。」


「そこは高級旅館だからじゃないの?」


「そういうサービスもやっちゃうからこその高級って事なのね。まぁ、あの施設なら納得だわ。」


ハンナは建設されたばかりのあの施設を思い出して半笑いだ。

マットレスとシーツも高級な素材。インテリアもこの世界で見た事のない物ばかり。


旅商人をしていたボビーでさえ、目を丸くしていたのだ。どの国にもないタイプの宿泊施設と言えるだろう。


「スキルで作っちゃってるから元手も要らなかったし、今後は入金が続いていくのよね。使い道を考えなきゃ。」


ハンナの呟きにデイジーも頷く。


「この間の金一封もおかしな金額だったし。使い切れるかしら?何か考えないとね…。」


二人は顔を見合わせる。


お金の使い道に悩むなんて、なんて贅沢なんだろう。


「ならさ、デイジーばあちゃんは化粧品を含む石鹸とシャンプーの専門店。ハンナばあちゃんはお菓子の専門店を王都に建てたら良いんじゃない?いや。一個のお店で入り口は一つ、左右に分けてそれぞれ販売するんでも良いし。ここと王都の配達人ならお給料は危険手当てをあげなきゃだし、丁度良いんじゃない?」


「それ…。」「良いかも。」


ハンナとデイジーは頬を染め、嬉しそうな顔をした。

さっきの憂い顔が嘘のようだ。


「場所は、王都に公園計画の周囲にしたら?人が集まるようになるだろうから、目に留まるし。屋台では、簡単に食べたり飲めたりするものにするとか、お店でも売ってるものにしたら、宣伝にもなるし、良いんじゃない?」


ルークは簡単な提案だけして、後は二人で決めていけば良いだろうと思っている。


「良いかも。」


「でもハンナちゃん、商売する事、あんなに嫌がっていたけど、本当に平気なの?」


デイジーはハンナを心配して尋ねる。


「えぇ。嘘みたいに平気なのよ。どんどん平気になっていくの。なんであんなに嫌だったのかしら?今では楽しみで仕方がないの!」


花が咲くように頬を染め笑顔になるハンナ。

それが本当に楽しみにしていることを表しているようで、見ているこちらも楽しくなる。


「あのー。その計画、自分も参加させてもらう事は出来ますか?」


ジェイクとの話がひと段落つき、近くにいたので、王都に公園を計画の一端が耳に入ったらしいサイモン。

何やら旨みの大きそうな匂いを感じ取ったようだ。


ルークはちらりとボビーを見ると、契約書を交わし終えたボビーがルークをガン見していた。


ええぇ!!

なんでそんなに見てるの?表情見えないのに、目が光ってない?怖いんだけどー!!


「ルーク。公園の計画、自分は聞いていないが?」


「お?え?本当?話してなかったっけ?じいちゃんからも聞いてない?」


ジェイクを見ると、ブンブンと首を横に振っている。ばあちゃん二人は、ルークと目が合わないように、壁に顔を向けた。


むぅ。そうですか。

じゃあ話しちゃうよ?

サイラスさん達いるけど、良いんだよね?


「最初は、子供が一人で遊びに行ける公園を作りたいなって思ったことがきっかけです。」


ルークは初めの気持ちから話し始めた。

王都の中心部に近く、そこそこ民家からも近いそんな場所が空いていたら、子供が楽しめる場所を作りたい。

しかし、大人達が心配する。

子供だけでの外出は決して許さないだろう。


それなら大人を巻き込めば良い。


メインは子供が遊べる遊び場を中心にして、周囲には、大人の癒しとして、足湯を設置する。

それなら大人の沢山の目があるから、子供の行方不明は最小限で済むだろう。


それでもやはり心配なので、今現在、王様が進め始めた安全面をカバーするモノ(安心君とイヤーカフ、探知盤がそれだが、まだ公になっていないので伏せた。)の公共事業が進めば、クリアになりそうだと言うことも含めて伝える。


さらに、大人の目を増やすために、その周囲に屋台を設置すれば、それを目当てに外出してくれる人も増えるだろう。


屋台はこちらで設置して、場所代を支払えばその日はそこで商売ができる。という小さな対面販売とする。

上手いこと屋台が機能すれば、そちらで公園にかけたお金の採算もそのうち取れる。

という話だ。


ルークが説明していると、ジェイクが、ルークと二人で計画したその配置やデザインを描いたノートをみんなに見せ始めた。


みんなはそれを見ながらルークの話を聞いている。


「その屋台にハンナのスイーツからドリンクやらを出すってことかい?」


サティの質問に、


「そうね。今はそのつもりよ。」


「今は?」


「ええ。商売をするつもりがさっぱりなかったのよ。でも、ルークが来てまだ十日くらいなものなんだけど、いろんなことを経験して、考えというか、気持ちが変わったの。今では楽しみで仕方がないのよ。」


ハンナはにっこり笑って話すので、サティも何かをしたくなった。


「なら私も屋台を出したいわ!週休二日貰えるなら、週に一度王都に行くとして…。ルーク君、一日販売して良いってことかい?」


「今のところそう思っていますが、法律的に調べてからでないと回答が出せません。」


「うんうん。それなら問題ないと思うよ?私の知ってる時代ではその辺り、法に触れてないから。」


「メーネさん後でその辺りの確認をお願いしても?」


「承知いたしました。」


メーネは自分のノートを出して、しっかり記入していく。


「昼間は子連れがメインと考えて、チーズの食べ比べ用のセット。夕方以降は仕事帰りのカップル向けに息子の作ったワインとのセットを出せたら面白いんじゃないかね?」


「母さん、さらにその周囲に土地があれば、店を建てるんだって、ルーク君達が言ってたんだよ。その並びに桔梗酒造の販売店を出せたら良いなと思うんだ。その、チーズってのが、酒に合うなら、一緒に販売しても良いよ?」


「え?良いのかい?なら、チーズの試食をしておくれよ。」


先程カットした残りの四切れを、ボビー、メーネ、サイラス、サイモンに渡して食べるように伺す。


「「「「…。」」」」


見た事のないチーズとやらからは濃厚な山羊のミルクの香りがする。


「ええい!ままよ!」


サイモンは死ぬ気で口に含める。ボビーは嬉しそうに一口口に入れる。

それをサイラスとメーネがじっと見つめている。


「「うまっ!」」


メーネは、本当に美味しいの?と思いつつも自分も口の中へ。サイラスも美味そうに食べる息子を見ていて我慢できなくなり食べてみる。


「「んまっ!」」


「濃厚ですね。これはぶどう酒に合いそうです。」


ボビーがそう言うと、サイモンも大きく頷いた。


「これは、料理にも使えそうですね。サラダに細かくして振りかけても美味しそうですし、ドレッシングに入れても良さそう。」


このメーネの言葉にルークが反応した。


ラクレット!!

でも、無理かな。それならチーズフォンデュ。

突然これらは敷居が高いか。なら、


「ジャガイモのチーズ焼き!茹でたジャガイモに細かくしたチーズを振りかけてオーブンで焼くの!乾燥したバジルを振りかけても美味しいんだよ!」


「「「「「「「「それ美味しいやつ!」」」」」」」」


「ちょっと待ってな!茹でたジャガイモの残りがあったはずだ!」


サティはキッチンへ走って行ってしまった。

どうやら試してみるようだ。


「メーネさんもお料理好きなんですか?」


先程チーズをサラダに振りかけるとか、ドレッシングに入れるとか、チーズがない….馴染みがないこっちの世界ではなかなか考えつかないのでは?

お酒好きな人が、チーズとぶどう酒が合うと理解出来てしまうように、料理好きなひとならチーズの活用法も解るのかもしれない。

そう思ったルークはメーネに尋ねたのだが、


「あ、すみません。実は私、食べるのが好きなんです。王都にいた時は、食べ歩きが趣味でした。基本は食べる専門なので、こちらに来る時、自炊だけが憂鬱だったんです。」


え?そうなの?


「ボビーとマックス君が料理が得意で、ナニーも胃袋つかみたい系女子だったんで、本当に助かっています!あ、私はちゃんと洗い物係をさせてもらってますよ?」


ボビーやメーネさんが住んでいる一棟目のシェアハウスの家事当番は、出来る人が出来る所を楽しくやる。と言う感じのようだ。


「食べ歩きって珍しいな。食事する所はそんなに出来たのかい?」


王都暮らしから長い事離れているサイラスは最近の王都事情には暗い。


「そうですね。出来ては潰れ、潰れては出来て。の繰り返しはある程度ありますが、ここ数年亀裂が減ってきてることもあって、結構増えてきている傾向にあると思います!」


メーネは嬉しそうに教えてくれる。

中央広場から一本王宮寄りの道に新しいレストランが出来たのだとか、昔ながらの八百屋の通りにカフェがのランチが美味しいとか。サイラスも楽しそうに聞いている。


サイラスとサティは、さっきのジェイクの言葉、『会ったとして、お前たちだって解るのか?』が相当心の汚れを落としたらしい。


隠れ潜んで生きてきたが、自分達を知らないならば、向こう十年は王都で目立つ仕事をしたとして、なんの問題も無い。


仕事も貰えて、スキルも使えるようになったから、自由に使えるお金も出来たわけだ。


「ん?あれ?」


俺、なんか忘れて無い?


「あぁ!サイラスさんのスキルだ!まだ魔力接続してない!毛刈り、してみませんか?」


ルークはサイラスさんの表情と頭の上のうさぎの精霊を見る。ワクワクしているのか、キラキラと黒目をしっかりと開き、鼻先をピクピクと動かしている。


「ボビーさん!分割は可能ですか?」


「可能です。」


「給料天引きでお願いします!」


「承知いたしました。」


ルークには謎の会話が繰り広げられた後、サイラスがルークに向いて、ぺこりと頭を下げた。


「お願いします!うさぎのところへ案内させてもらいます。」


ジェイクがルークを抱き上げてサイラスの後に続く。左腕で抱き、右手には鑑定盤を持っている。


そのタイミングでジャガイモのチーズ焼きが出来上がったため、三人以外は留守番を選択。


良い匂いしてるもんね。俺も食べたかったけど、新しいスキルの方が重要だ。


うさぎも山羊同様、自由に放牧しているそうで、うさぎ小屋があると言われた場所に向かう途中で、早々にうさぎに出会うことができた。


ふわっふわな真っ白なうさぎを見た時、動物か精霊なのか一瞬迷ったが、光っていないので動物だ。


「お。いるな。」


サイラスはしゃがんでうさぎを撫でる。

すると、どこからともなくうさぎが集まってきて、サイラスの周囲をうさぎが取り囲んだ。


うさぎそれぞれがサイラスの好きな場所にアゴの下を擦り付けている。マーキング行動だ。

サイラスはうさぎに大層好かれている。


「じいちゃんおろしてくれる?」


ジェイクは一つ返事をしてルークをうさぎから少し離れた場所に下ろした。


「サイラスさん、スキル、使ってみましょう!おそらくスキル名は『毛刈り』もしくは『カット』それだけだと刈った毛が散乱してしまうので、刈った毛を一つにまとめるイメージで…」


「圧縮だな?面白い!これが天啓か?」


頭の上のうさぎがピカリと光ったのが見えた。


一足お先って?


ルークは右手をサイラスの背中に置く。


「『カット』『圧縮』」


サイラスがスキルを詠唱すると、やはりルークの右手から少しだけ魔力が流れた。うさぎに流れた魔力が消えていくと、近くに圧縮されたうさぎの毛のブロックが現れた。


サイラスの周囲のうさぎは毛が刈られ、一回り小さくなっていた。さっぱりしたのか、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねながら、みんなで草原へ駆けて行った。


現れたブロックに驚いていたサイラスも近寄って持ち上げ、色々な角度から確認して


「おいおいおい!なんだこれはっ!ゴミが絡んで無い!臭くも無い!あり得るのか?あり得るな。だって俺の手の中にあるもんなっ!」


目が血走り、興奮して大きな声が出る。


ジェイクはサイラスに鑑定盤を見せながら


「どう変わったか確認しようじゃ無いか。」


「あぁ、頼む!」


---

サイラス 95歳 サトウキビ農家・元宮廷窓口受付

スキル 加工

    畜産業従事者↑

    圧縮・解除↑

魔力量D→B↑

魔力操作D→B+↑

---


「なんだこりゃーーー!!ちょっと待てちょっと待てちょっと待ってくれーーー!!!」


ルークも近寄り、鑑定結果を見せてもらう。


「うん。こんなもんだね。」


とあっさり。


「そんなあっさりと!!え?もしかして…ルーク君と魔力接続した者は、みんなこんな規格外な結果になってるのか?」


ジェイクとルークは静かに頷く。


「えええ!!!そんなバカなーー!」


「そんなこと言われても。そうなっちゃうんですよ。」


しばし一人暴れた後、スンとした表情になった。


「ワカッタ。カンガルノヤメル。ヒミツマモル。」


え!!なんでカタコト!?


サイラスはこの魔力接続について追求しても何も解らないと言うことだけを理解できた。


実験って言ってたしな。

ならもう、従おうじゃないか!

今後お世話になるわけだし。


それに、すでに恩人なのだ。

恩人は守るべき存在。


「よし!このウサギの毛で色々加工してみるさ!時々メーネさんとボビーさんに相談させてもらって良いだろうか?」


「お。復活したな?二人に相談は大いにしてくれ。でも、レオンとムスタに、直接相談しても良いと思うぞ?」


「は?ムスタはまだ仕事をしているのか?」


「表に出る仕事ではないからな。引退は考えていないのではないか?」


「まぁ、そうだな。手紙でも出してみるよ。」


そう言うと、うさぎの毛のブロックを持ったまま帰宅することになった。

ルークはまたジェイクに抱き上げられる。


「ねぇ、じいちゃん。通知盤って宮廷から来た人たちがメーネさんに持ってきたって聞いたんだけど、それ余ってないの?」


「ん?あるぞ?あの施設で働く者の給料は宮廷から出るって話しただろう?」


「うん。」


「で、うちの施設は、宮廷の保養所になった。」


「うん。え?」


保養所って、企業の福利事業として運営されるやつ?


「うちの施設の一部を宮廷が借り上げて、宮廷の役人たちが休暇と称してやってくる感じだな。」


「へ、へぇ。ねぇ、この国ってさ、意外とお金持ち?」


「ん?そうだな。この星で一番豊かな国だ。」


そ、そうなんだー。これも初耳ー。

でも、知らなくても良かった情報かもー。


「そっかー。だからひと財産がおかしいんだねぇ。」


「だな。で、そいつらが言うには、王宮御用達商人に通知盤を持たせてあちこちにいる帰還者達に配り始めたらしい。うちの施設に来た通知盤を持たない帰還者がいれば渡すようにとの事で、一箱持ってきたんだよ。」


「ならさー、サイラスさん達にも渡したら良いんじゃなーい?」


「あぁ、そのつもりでメーネが持ってきてるはずだから、サティに渡してるんじゃないかな?」


「そっかーー。それなら、サイラスさんも、いろんな人に連絡取れて、寂しくなくなるねー。」


「ん?どうした?眠くなったのか?」


「んー。大丈夫ー。じいちゃん、好きー。」


ルークはそう言うと、ジェイクの腕の中で目を瞑って寄りかかり始めた。

間延びし始めたルークを、少し先を歩いていたサイラスがチラリと見ると、ルークはすでに浅い寝息を立て始めていた。


「なんだ?寝ちまったのか?まだ小さいもんなぁ。」


「そうだな。今後も昼寝はさせた方が良いかもしれないなぁ。」


「だな。子供はあっという間にデカくなっちまう。今のうちに孫をたっぷり堪能しておけよ?まぁ、俺たちならひ孫も玄孫も楽しめそうだがな。」


「だな。」


二人は並んで歩きながら、優しい風と幸せを感じながら歩く。


「サイモンに良い人は居ないのか?」


「聞かないんだよなぁ。あいつは老け顔だから、相手を見つけるのは難しいんじゃないかねぇ。」


サイラスはため息をつく。

ジェイクは特に返事はしないでおいた。


「帰還者でまだ二十代なのに、すでに四十代に見えるらしいからな。普通の者が相手なら、あっという間に儚くなっちまうし、帰還者相手なら、魅力的じゃないだろう?まぁ、俺ら夫婦みたいに、年齢重ねてから出会うこともあるし、いつか誰かと出会うと良いなと思っているよ。」


「運命の相手はどこかにいるだろうが、酒をずっと作って蔵に籠ってそうだよなぁ。出会いもないんだろうな。」


家が見えてきたので、ジェイクは口を閉ざした。


「ところで、メーネさんとボビーさんはご夫婦なのか?サイモンにチャンスはあるか?」

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