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2-5 とりあえず依頼達成です

 セタの森。


 賢人が最初に飛ばされ、ルーシーと出会った森の名前である。

 昨日、彼女の案内で訪れ、拠点としたエデの町から東へ進んだところに、セタの森は広がっていた。

 賢人の〈マップ〉を見ると、現在いる森の入り口からさらに東へ進んだところに、青い光点が表示されている。


「これって、なにかな?」

「んー、あたしも長くこのあたりで活動してるけど、この森になにかある、なんてことを聞いたことはないわね」


 言いながらルーシーは自身の加護板を取り出した。


「ちょっと待ってね」


 一度タップして〈マップ〉を出したあと、続けてタップすると、〈マップ〉上に白いラインが現れた。

 これは加護板を持って――〈アイテムボックス〉――に収納していることを含む――歩いたルートを示すもので、どの期間にどこをどう歩いたのかを、いつでも確認できるのだ。


「これは昨日あたしが歩いたルートなんだけど……」


 ルーシーは賢人と自身の〈マップ〉を見比べながら、縮尺や表示位置を合わせていく。


「ここが昨日、あたしたちが出会ったところになるわね」


 そう言ってルーシーは賢人の加護板を見ながら、森のなかの青い光点より少し西の、何もないところを指した。

 そして、すぐに彼女自身の〈マップ〉に目をやる。


「うーん、このあたりはパーティーを組んでいたころ、何度か探索したはずなんだけど……」


 ルーシーの〈マップ〉には、青い光点が表示されていなかった。


「ただ森が広がるだけで、特に目立つ物はなかったはずよ」

「そうか……」


 ルーシーと出会った場所から、さらに東。


(最初に、飛ばされた場所か?)


 賢人自身、どの方角へ向かって歩いたのかは不明だが、その可能性は高い。

 というか、それくらいしか心当たりがない。


(特に何もなかったはずだけどな……)


 だが、こちらに飛ばされた直後、周りをよく観察していなかったことを思い出す。

 もしかすると、なにか大事な物を見落としていたのだろうか?


「気になる……わよね?」

「まぁ、それなりに」

「だとしても、今日はちょっと難しいわね。野営の準備もしてないし」


 魔物に遭遇しながら森を進むとなれば、目当ての場所まで2~3時間はかかりそうだ。

 そうなると、行ってすぐ戻ったとして、森を出るころには日が暮れているだろう。


「明日、付き合ってもらってもいいかな?」


 自分がこの世界に飛ばされてきた最初の場所に、いったい何があるのか。

 その確認は、あまり先延ばしにすべきではないと、賢人は考えた。


「ええ、もちろん。あたしも気になるしね」


 賢人の提案を、ルーシーは快く引き受けてくれた。


「じゃあ、今日は早めに切り上げましょうか」


 この日はそのまま町へ戻ることにした。

 帰り道、寄りやすい採取ポイントにだけ寄り、手近なところに現れた魔物だけを倒しながら、一時間半ほどでエデの町に帰り着いた。

 まずは、冒険者ギルドに報告をする。


「ほう、この短時間で依頼達成分の薬草を採取したか」

「ま、あたしがついてるからね」

「さすがだな。それに、結構な数の魔物を倒したようだな」

「ケントの腕がいいからね」


 依頼達成の報告や討伐した魔物のドロップアイテムなどを納品した結果、賢人のランクアップに必要な評価ポイントがたまっていた。


「おめでとう。これにてケントはFランク冒険者だ。あと、パーティーランクもFに上がるからな」


 ひととおり申告を終えたふたりは、ギルドを後にした。

 ルーシーのランクアップについては、後回しにすると決めている。

 ふたりが出会ってすぐにルーシーの能力値が3段階も上がったとなると、賢人がなにかしたのではないか疑われるからだ。

 その疑いは、無用なトラブルを呼ぶに違いない。

 とはいえ、いつまでもランクアップしないというわけにもいかない。


「ああ、早くレベル上がらないかなぁ」


 現在ルーシーのレベルは24。

 それが25になったとき、能力値の上昇を申告する予定だった。


「微妙にキリのいい数字ではあるしな」


 加護板に現れた『S』という未知の文字、レベルアップしても上がらない能力値と、ルーシーの加護には異常なことが重なっている。


『いやー、レベル25になったら一気に能力があがっちゃったのよねー』


 なんてことがあっても、不思議はない……はずだ。


「それじゃあこれから野営の準備をしましょうか。テントや寝袋はあたしが持つからね」


 スロット数24の〈アイテムボックス〉を持つルーシーである。

 物を整理すれば、テントや寝袋のひとつやふたつ、充分に収納できるだけの余裕はあるのだ。


「俺も、少しだけどスロット数が増えたしな」


 そして今日の活動で、賢人のレベルも上がっていた。

 飲料水や保存食程度なら、収納できるだけの余裕はできている。


「ふふ、頼りにしてるわよ」

「ああ、こちらこそ」


 少し日が傾き駆けた町中を、ふたりは並んで歩き始めた。


**********

【名前】ケント

【レベル】1→3

【HP】27/27

【MP】42/42

【SP】16

【冒険者】F


【攻撃力】H→G(A~G)

【防御力】H→G(S)

【魔力】F(B)

【精神力】G(B)

【敏捷性】H→G

【器用さ】G

【運】G


【スキル】

 〈魔女の恩恵〉

 〈マップ〉

 〈アイテムボックス〉0/3

 〈射撃〉F


【パーティーメンバー】

 ルーシー


【属性適性】

 《地》G

 《水》H

 《火》G

 《風》G

 《空》G

 《光》G

 《闇》E

 《聖》F

 《邪》―

**********


お読みいただきありがとうございます!

おかげさまで昨夜の時点でジャンル別6位にまで再浮上できました!

表紙まであとひとつ…もう少し応援していただけると嬉しいです!!

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