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 ポケットから取り出した加護板に、文字が浮かび上がっていた。


「それ、指でなぞるみたいに動かすと、隠れている部分も出てくるから」


 スマートフォンのモニターをスワイプする要領で触れてみると、文字がスクロールされるようだ。

 加護板を見て判明した賢人の能力は、以下の通りだった。


**********

【名前】ケント

【レベル】1

【HP】15/15

【MP】23/23

【SP】0

【冒険者】G


【攻撃力】H(A~G)

【防御力】H(S)

【魔力】F(B)

【精神力】G(B)

【敏捷性】H

【器用さ】G

【運】G


【スキル】

 〈魔女の恩恵〉

 〈マップ〉

 〈アイテムボックス〉0/1

 〈射撃〉F


【パーティーメンバー】

 ルーシー


【属性適性】

 《地》H

 《水》H

 《火》G

 《風》H

 《空》G

 《光》G

 《闇》E

 《聖》F

 《邪》-

**********



 自分でひととおり確認したあと、ルーシーに加護板を見せた。


「Hが一番低いんだっけ?」

「そう。でもこれはあくまで補正値。素の能力はまた別だからね」


 いかに加護の能力値が低かろうと、それは本来の能力に上乗せされるものだ。

 なので、加護を受けた瞬間から、多少なりとも強くなるのである。

【属性適性】は魔術を習得する際に重要になってくる項目なのだが、これについてはあとで考えることにした。


「カッコに入ってる値は?」

「それは装備による補正ね。本人にしか見えないわ」「なるほど……」


 装備による補正がとんでもないことになっていた。

 例の短筒がそれなりの【攻撃力】を誇るのはわかる。

 変動値になっているのは、使う魔石によって威力が変わるからだろう。

 また、魔術効果の補正値である【魔力】や、魔法への耐性、回復魔術の効果に関わる【精神力】へも、あの短筒の影響が考えられる。

 しかし【防御力】――すなわちダメージを受けた際の【HP】減少量に関わる能力値は、どう考えても異常だった。


(まさか……このスーツか?)


 ただこれについては、いまのところ考えても答えは出なさそうである。


「この〈魔女の恩恵〉っていうスキルはなんなんだ?」

「うーん……聞いたことないわね。それより気になるのは【MP】の隣にあるものなんだけど……。この文字が、どうしてここに……」

「ああ、えっと……【SP(エスピー)】か」


 ケントがそう言った瞬間、加護板をのぞき込んでいたルーシーが勢いよく顔を上げた。


「ど、どうして……?」


 ケントを見るルーシーの顔は青ざめ、わずかに口元がわずか震えていた。


「ルーシー、いったいどうし――」

「どうしてケントはその文字を読めるの!?」


 それは悲鳴のような声だった。

 ルーシーは目を血走らせ、賢人の両肩を掴んだ。


「なんでケントがそれを読めるの!? 誰も読めなかったのにっ!!」

「落ち着けルーシー!」

「どうしてっ!? ねぇ、なんでなのっ!?」

「まずは落ち着くんだ!」


 今にも暴れ出しそうなルーシーをひとまず押さえつけようとしたところ、驚くほど簡単に組み伏せることができた。

 加護の補正のおかげなのだろうか。


「くぅ……! いや、やめて……」


 気がつけば、賢人はルーシーに覆い被さっていた。


「ご、ごめん!」


 賢人は慌ててとびのいた。


「けほ……うぅ……」

「ごめん、ルーシー」


 謝る賢人に対して、ルーシーは身体を起こしながら首を小さく横に振った。


「あたしのほうこそ、ごめん……取り乱しちゃって」


 そう言うと、ルーシーは顔を上げて力なく微笑んだ。


「でも……」


 しかしすぐに訝しげな表情を浮かべて、賢人を見た。


「どうしてケントはその文字を――」

「その前にルーシー、俺には記憶がない」

「あ……」


 賢人の言葉を受け、ルーシーは呆然とした。


「だから、なぜその文字を読めるのかは俺もわからない」


 嘘ではあるが、その設定で話を進めることにした。


「俺には記憶がないけど、名前は覚えてたし、言葉もしゃべれるだろう? だから、神代文字についてもなにか知っていたかもしれないけど、いまはよくわからないんだ」

「……そっか」


 ルーシーはがっくりとうなだれた。


「じゃあ、文字の意味なんかもわかんないんだね……」


 うなだれたまま、彼女は呟いた。


「意味……意味か……うーん」


 この世界で神代文字と呼ばれるアルファベットは、表意文字ではないので、文字そのものに意味はない。

 だが、それがどこに表示されているかで、なにを意味するのかはある程度判断できるだろう。


「わかるような……わからないような……」


 ルーシーの落ち込み方がかわいそうで、賢人ははっきりと〝わからない〟とは言えなかった。


「意味、わかるの……?」


 ルーシーが顔を上げた。

 期待の眼差しを向けられ、賢人は少し早まったかと後悔し始めた。


「いや、その……なんというか……」

「あのね、ケント」


 すっと差し出されたルーシーの手に、板が現れた。


「あたしの加護板、見てもらってもいいかな?」


ここまでお読みいただきありがとうございます!

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