1-19 銃を見てもらいました
「見たところ、ここに魔石を仕込んで弾を出すって感じだな」
「ああ、その通りだ」
職員には銃の知識があるようなので、いままでわかっていることを話してみた。
ゴブリンやコボルトの魔石では威力が弱く、1~2発で弾切れになること。
オークの魔石は大きすぎて取り付けられないこと。
元々はオークを数発で倒せるだけの光弾を何発も撃てていたこと。
ただしそのときに取り付けられていた魔石がどういう物だったかを覚えていないこと。
「そりゃ魔結晶だったんじゃねぇか?」
「あー、やっぱりそうかしら」
「魔結晶?」
魔結晶というのは、魔石を精製、圧縮して作られるエネルギー体だ。
その純度や密度によって、内包するエネルギーは10倍にも100倍にもなるという。
「強い魔物になってくると、最初から魔結晶を宿しているやつもいるからな」
おそらく最初に取り付けられていたのは、それなりに密度の高い魔結晶だったのだろう。
「オークの魔石に2万プラスで、同じ容量の魔結晶を用意できるぞ」
「じゃあお願いするわね」
「おい、ルーシー、いいのか?」
「もちろん。ケントの銃はあたしたちの生命線だもの。今後も魔結晶は優先して用意すべきよ」
ずいぶん金のかかる武器だなと、賢人は内心で呆れる。
これはもっと別の武器を用意したほうがいいのではないだろうか。
「〈射撃〉スキルがあれば、威力の調整ができるぞ」
そんな賢人の表情から内心を察したのか、職員は魔結晶と思われる黒い宝石のような石を受付台に置きながら、そう言った。
大きさはゴブリンの魔石くらいだ。
「威力の調整?」
「そうだ。威力を弱めれば、回数を多く撃てる。それに、加護があればMPを消費して撃つこともできるはずだ」
「へぇ、そうなのね」
職員の情報を聞いて、ルーシーは感心したように頷いた。
MP消費で撃てるのなら、それなりに使えるのかもしれない。
(なんにせよ、ステータスを確認してからだな)
加護板を受け取った賢人だが、まだそこに表示される情報は確認していない。
加護に関わる情報は秘匿したほうがいい、ということなので、あとで確認することにしていたのだ。
「それじゃあ、報酬は山分けでいいか?」
結局残りの魔石は銃弾として使えるので、持っておくことにして納品は控えた。
魔結晶への加工代2万を差し引いて、報酬の合計は3万と少し。
「ルーシーにお金を返さないといけないから」
「なら、ルーシーに2万、ケントに1万だな」
「べつに急がなくてもいいんだけどね……」
依頼を受けるにしても、まずはステータスの確認をしておこうということで、いったん宿に帰ることにした。
そこで賢人の能力を確認し、それに見合った依頼を受けよう、ということだ。
「じゃあ、またあとで」
「おう」
簡単な挨拶を終え、ギルドを出ようとしたときだった。
「ルーシー!」
出入り口のほうから甲高い声が聞こえたかと思うと、何者かがルーシーに向かって突進してきた。
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