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06 ファーリ、目をつけられる




 気を取り直して、私は耐性ランクについても目を通します。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


S:特殊な攻撃技術の多くを耐える。まず死なない。

A:通常のダメージはまず受けない。特殊な攻撃技術もある程度耐える。

B:極めて高い耐性で通常のダメージのほとんどを軽減する。

C:ライフや防御力、魔法耐性などが高く、かなりのダメージに耐える。

D:ライフや防御力、魔法耐性などが僅かに高く、いくらかダメージに耐える。

E:攻撃を受けたらダメージを普通に受ける。

F:攻撃するまでもなく死んだり、触れただけで死ぬ。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 目を通していて、ふと気になります。

 特殊な攻撃技術とは何なのでしょう?


「さて、ここまで目を通した諸君の中には、特殊な攻撃技術というものが何なのか気になる人間も出てきているだろう」


 リリーナ先生が、ちょうど私が疑問に思っていた部分について話を始めました。


「例えば魔法には、相手の攻撃を受け付けないバリアや、無敵といってそもそも攻撃が当たらない状態になる魔法もある。……それらの特殊な防御能力を貫通するような攻撃を、特殊な攻撃技術という」


 バリアや無敵を貫通。それを聞いて、恐ろしくなります。

 そうすると、私の高い魔法耐性でもダメージを軽減できない攻撃なども存在するかもしれません。


「他にも様々な技術が存在するが……ようするに、通常の防御方法では防ぐことのできない攻撃のことを指している。まあ、そんなことを出来るモンスターなどまず遭遇しないけれどね。普通のハンターが遭遇するモンスターなど、せいぜいBランク程度の能力が上限だろう。それ以上のものに会うことはほとんど無いと思ってもらっていい」


 なるほど。つまりそれだけ珍しい技術だからこそ、特殊な攻撃能力と呼ばれているのですね。


「さあ、これで君たちはハンターランク、攻撃ランク、耐性ランクという3つのランクについて知識を持っていることになる。そこで、ランクごとにおおよそどの程度の実力者が相当するのか、というのを分かりやすく教えておこうと思う」


 言って、リリーナ先生は黒板の文字を消し、新たに書き込んでいきます。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


S:世界有数レベル。勇者や大賢者など。

A:国内上位レベル。王宮騎士団長など。

B:周りに敵なし。一般的な騎士団の団長レベル。

C:熟練ハンター、騎士団、軍人レベル。

D:平均的ハンター、新米騎士、新米軍人レベル。

E:一般人レベル。

F:ちょうちょレベル。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


「という具合だ。なお諸君には卒業時点でCランク以上の実力を得てもらおうと思っている。研鑽に励むように」


 リリーナ先生の言葉に、クラスの人間全員が気を引き締めた様子でした。

 私も、今の力に驕らず頑張ります。

 上はまだまだあるのですから、当然のことです。



 その後もハンターが持っておくべき知識について、リリーナ先生がたくさんお話をしてくれました。

 授業の時間が過ぎるのはあっという間でした。


 次の授業は魔法実技です。

 授業は訓練場で行うので、これから移動になります。


 私たちは『紅き清純』のメンバー4人で一緒に移動します。


「授業、楽しいのです」

「ファーリには新鮮だったのかしら?」

「はい! 知らなかったことが分かるのは楽しいのです!」


 私はリグに頭を撫でてもらいながら、目を輝かせます。


「それにみんな一緒で嬉しいのです。――アンネちゃ~ん!」

「ふにゃっ!?」


 私はアンネちゃんに飛びつき、もふもふします。


「やっぱりアンネちゃんは良いのです……」

「く、くすぐったいにゃ」

「今日の初もふもふなのでいっぱいもふるのです。やめないのです~」

「にゃふぅっ!?」


 私はアンネちゃんの身体に顔を埋めて、もふもふの体毛を堪能します。

 そんな私の様子を、お姉さまとリグは呆れたように笑っていました。


 そうやって、楽しく次の授業への移動を開始したところでした。



「――おいお前!」


 急に声がかかります。

 私たちは足を止めて、声のする方を向きます。


 そこには、太った身体つきの男の人がいました。


「何でしょうか?」

「お前が後期試験トップの成績で入学したっていう、ファーリだな?」


 言いながら、男の人は嫌な笑みを浮かべます。

 なんだか、悪い予感がするのです。

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