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05 ハンター教養




「――では、いよいよ授業そのものの内容に入ろう。今は何の授業だったかな……そうか、ハンター教養か」


 リリーナ先生は思い出したように言うと、黒板に文字を書き始めます。

 それはSとAからFまでの英字でした。


 ちなみに、ファンタズムの言語は前世の世界のあらゆる言語が入り混じったような感じです。

 文字そのものは独自の文字ですが、漢字のような複雑な意味と構造の文字もありつつ、文法は英語的です。

 そして、なぜか英字や数字も普及しています。


「さて、諸君は『ランク』というものについてご存知かな?」


 リリーナ先生は文字を書き終えると、話を続けます。


「恐らく多くの者がハンターランクというものについて知っているだろう。が、ハンターランクというのは元々ハンターギルドが考案したランクというだけであり、ランクそのものは様々なものがある」


 言うと、リリーナ先生は黒板に文字を書き始めます。

 そして書きながら話を続けます。


「まずは我が国、聖ヴェルベリアでも使われている世界共通のランク制度、『攻撃ランク』と『耐性ランク』について話をしよう」


 リリーナ先生は字を書きながらも、よどみ無く話します。

 私が器用だなぁ、と思いながらぼーっと見ていると、急にリリーナ先生と目が合いました。


「では、ファーリ君。攻撃ランクについて、何か知っていることはあるかな?」

「ふえっ!?」


 突然当てられました。

 困ったことに、私にはそういった知識は皆無です。


「わ、わからないのです……」

「ふむ……どうやら君は座学をしっかり学んだほうが良さそうだね」

「はいです……」


 呆れられてしまいました。恥ずかしいのです。

 クラスメイトの視線を感じます。

 ダメダメすぎて目立つのも、それはそれで嫌なのです。


「まあいいだろう。では隣のリグレット君。答えられるかな?」

「はい」


 私の代わりに、リグが答えてくれます。


「攻撃ランク、耐性ランクは元は古典英雄教が提唱したランク制度であり、それぞれ個人の魔法、物理にかかわらない総合での攻撃能力、あるいは防御能力について評価するランクのことですわ」

「そのとおりだ。他には?」

「確か、ハンターランクもこの攻撃ランク、耐性ランクを基準にして決められていると聞きますわ」

「よし、上出来だ」


 リリーナ先生は満足そうに頷きます。


「では諸君、黒板に書いたのがおおよその攻撃ランクと耐性ランクの基準だ。なお、ハンターランクは主に攻撃ランクをより重く評価する。高ランクハンターを目指すなら、高い攻撃ランクへの到達を目指すのが近道とも言えるな」


 リリーナ先生の言葉を聞きながら、私は黒板の文字をよく読みます。

 まずは攻撃ランク。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


S:特殊で強力な攻撃能力を持ち、あらゆるモンスターを瞬殺できる

A:強力なモンスターさえ瞬殺する。特殊な攻撃能力を持つ。

B:強力なモンスターを楽に倒すことができる。

C:普通のモンスターを一瞬で倒し、強力なモンスターにもダメージが入る。

D:普通のモンスターを倒せる程度の攻撃力を持つ。

E:普通のモンスターを倒せるほどの攻撃力は無い。

F:攻撃力がほとんど無い、あるいは攻撃手段を持たない。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


「あの、リリーナ先生!」

「どうした、ファーリ君」


 私は気になったことがあったので、手を上げて質問します。


「強力なモンスターとは、どの程度のレベルを指すのでしょうか」

「そうだな……例えば、この辺りに生息するモンスターなら、サイクロプスなどを無詠唱で瞬殺できるならば、Aランク相当の攻撃能力はあるだろう」

「な、なるほど」


 先生の解説がピンポイントすぎて、私は顔が青ざめます。

 リリーナ先生……まさか、お見通しなんてことはないですよね?

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