39 討伐と素材採集
いよいよハンター登録も終わり、私たちは王都の外に出ました。
途中で正門前ギルド――私が王都に着いた時に素材を売った場所で、いくつかの討伐依頼を受けておきます。
ゴブリンやオークが巣を作っているので、そういう場所を潰しに行くのが討伐依頼の主な内容です。
要するに、王都の近くに危険なモンスターの存在があればそれを先手を打って潰しに行く。それが討伐依頼なのです。
巣の場所は、多くが街道沿いの危険な場所にありますが、中には森林地帯に巣があるものもあります。
そういう場所は大抵が高難易度なのですが――私たちにとっては、大した問題にはならないでしょう。
というのも、受けた討伐依頼は全てEランクハンターが受けることのできるもののみなのです。
私たちは学生ハンターで登録したばかりですから、ランクはEから始まります。
チームとしてのランクも当然Eランクです。
なので受けられる依頼はEランクのものだけです。
そして、私たちは恐らく……Eランクよりはずっと上の戦闘能力があります。
なので、苦戦することはないだろうと踏んでいるわけです。
とは言っても、油断は禁物です。
突然高ランクのモンスターと遭遇することだってありえるのですから。
基本隊列は、前衛にクエラお姉さまとアンネちゃん。その後ろをリグが追随し、私は最後尾を歩きます。
普通は後ろを警戒するために前衛職の人間が最後尾にいるものなのですが、幸い私は名ばかり神官です。
剣も扱える為、最後尾でも何の問題もありません。
森を進み、目的の討伐対象の地点まで近づいていきます。
途中でモンスターに遭遇することもありましたが、どれも弱いモンスターでした。誰一人遅れを取ること無く、一刀で切り捨てて終わりです。
また、素材採集も忘れません。
売れる野草や花を集めつつ、素材になる動物を見かけたら狩ります。
狩った動物は後でまとめて部位ごとに切り分けるつもりです。
こうして集めた素材などは、私のストレージに収納していきます。
「……しかし、ファーリのストレージは本当に便利だね」
お姉さまがふとつぶやきます。
「けっこうモンスターも狩ったし、素材も採集したのに。まだ入るんだよね?」
「はいです。というか、容量はまだほとんど残ってるのです」
私はスーパーサーチで内容を確認します。
……あっ。
「そういえばお姉さま」
「何だい?」
「これ、お返ししておきます」
言って、私はストレージの中からあるものを取り出します。
そう。模擬戦の時に収納した、お姉さまの血で出来た盾です。
「うわっ!? ……そっか、アレはそういう仕組だったのかあ。はぁ、ずっと何をされたのか分からなくて悩んでたけど、考えてみればそれ以外無いよなあ」
お姉さまは呆れたような疲れたような、不思議な口調で言います。
結局、お姉さまの血の盾はその場で分解して消滅することとなりました。
まあ……一度外に出した血をもう一度身体に戻したいとは思わないでしょうし、当然の対応でした。




