38 チーム名決定!
「……そういえば、私たち全員、赤い色に関係がありますよね」
私は気付いて言います。
私は髪。
リグは服装、そして好きな色。
お姉さまは血。
アンネちゃんは眼の色。
あとカミさまも一応眼が紅い。
「赤にちなんだ名前というのはどうでしょうか」
「さすがファーリ、よい着眼点ですわ」
リグが私を褒めてくれます。頭を撫でてくれます。
あぁ、こんなに甘やかされると、どんどんリグに依存してしまうのです。
リグなしでは生きて行けないのです……。
と、ダメになっている場合ではありません!
「赤は採用として、具体的にはどうしましょう」
「うーん……僕たちは一応、まだ子供だったり、幼かったりするから、そういう要素を名前に入れるのはどうだろう?」
「子供っぽい名前ってことですの?」
「いや、そうじゃなくて……」
「清らかな乙女、的なことです?」
「そう、そうだよファーリ! さすが僕の妹、よく僕のことを理解してくれているね」
お姉さまも私の頭を撫でてくれます。
なんだか、さっきから甘やかされてばかりなのです。
「うーん……紅き乙女? いや、乙女が顔真っ赤にしてるだけにしか聞こえないのです」
「というか、乙女を名乗るのは少し恥ずかしいのですわ」
リグも嫌がったので却下なのです。
「清らかな乙女……清廉?」
「違う意味の精錬と間違えられそうだね」
「ぬう、難しいのです」
お姉さまに言われ、私はさらに頭を捻ります。
「清廉じゃなくて、清らかな感じの……うーん、清純?」
「悪くはありませんわね」
「僕も特には」
「アタシはなんでもいいにゃ」
3人の肯定が得られたので、これで決定です。
「じゃあ、2つの要素を組み合わせて『紅き清純』ということになるのですが、異論はないのですか?」
「僕が考えるよりはずっと良いよ」
「わたくしはファーリの考えた名前ならなんでもいいですわ」
「アタシはなんでもいいから早くハンター活動したいにゃあ~」
「私も名前考えたんだよ!? 『スーパーグレートワンダフルビューティー……」
「では、これで決定なのです」
何か言おうとしたカミさまを無視して決定します。
カミさまはまたシクシク泣き始めます。
……さすがにちょっと、無下にしすぎたように思います。
仕方ないので慰めてやります。
私は落ち込むカミさまの頭にぽんと手をおいて撫でてあげます。
「……さすがに、やりすぎたのです。ごめんなのです」
「ゆ、ユッキーぃ……」
「せっかく真面目に考えてくれたのだから、せめて聞いてやるべきだったと今は反省しているのです」
「いや真面目には考えてないけどね?」
「……はぁ……やっぱおまえクソなのです」
しかしまあ、私が無下に扱いすぎているのは事実で変わらないことなのです。
「でも……考えようとしてくれたことには感謝するのです」
「ゆ、ユッキー……やさしい、すき!」
カミさまはつぶやきながら、私に飛びかかってきます。
そしてそのまま、私を抱き締めて頬ずりをしてきます。
「なにをするのですっ!?」
「だってユッキーやさしいんだもん我慢できないよぉ~~~~」
すりすり、とカミさまの頬が私の頬と擦れ合います。
ん……意外と、カミさまのくせして悪くない感触なのです。
思ったより気持ちいいのです。
「ちょっと、カミーユ様!? わたくしのファーリに何をしていますの!?」
リグがなにやら怒った様子で言います。
「えぇ~でもユッキーがデレたんだよ? ずるくない? 結局最後はデレて優しくしてくれるとかひどくない? 私我慢できないよ? 可愛さ余ってしんどくなっちゃうよ?」
「いえ、気持ちはわかりますけれど……その、うらやま――ではなくてファーリが迷惑していますわ! そろそろお止めになさってはどうですの!?」
「嫌~。ファーリがキレるまでずっと頬ずりするもんね~」
そういうところが私に無下に扱われる理由だと、カミさまは気付いているのでしょうか?
いや、気付いていないでしょうね。
私は静かに、お仕置き棒を用意します。
「う~んやっぱりユッキーが一番だよ~……うべべべべっ!」




