32 ついでのお買い物
予定を変更して、4人でお買い物です。
アンネちゃんの装備を買い直すのもありますが、それ以外にもいくつかあります。
まずは、野営のためのテントや道具など。今買う必要はないのですが、もしも、という場合も考えられます。
そして、大きめのナップサック。
素材は全てストレージに入れて移動する予定なのですが、ギルドに売る時はナップサックに詰め替えてしまいます。
これは当然、目立たないための策です。
というか、大容量ストレージの使い手、なんてことが知れ渡ってしまったら色々と面倒なことになるでしょう。
というわけで、商店を見て回っているのですが……。
防具を買い換えるアンネはともかく、リグまで一緒になってあれこれ見ています。
というか、リグは武器を見ています。必要ないですよね……?
「これもなかなかの……いえ、でもあちらの魔道具と比べれば少し惜しい気も……」
「リグ?」
「なんですの?」
「どうして武器を見ているのです?」
「……買いませんわよ。見ているだけですわ」
しぶしぶ、といった様子のリグ。
たくさんの銃剣を見せてもらった時からもしやとは思っていましたが……。
「リグ、もしかして武器ヲタクです?」
「なっ、失礼な! 武器は戦いの要ですわ、それを品定めし、良し悪しを見極めるというのも一つの心得ですわよ!」
リグは言い訳しますが、ちょっと苦しいですね。
「はいはい、リグは武器が大好きなのですね」
「ちっ、違うと言っておりますのに……っ!」
からかうと、リグは顔を真っ赤にして恥ずかしがります。
でも、もう手遅れです。
私だけでなく、既にお姉さまとアンネちゃんもリグのヲタクっぷりは察しています。
「……それより、アンネさんの防具ですわ! ちょうどよいものはありまして?」
リグは話を逸らすように言います。
「そうだにゃあ……今の装備と同じぐらい頑丈なのがいいんだにゃけど」
「それは無理だね」
お姉さまが否定します。
「鉄装備と同等の硬さで軽くて静かに移動できるとなれば、水竜の鱗を加工した防具なんかが有名だけど……お値段がね。リグレット様にお金をお借りするとしても、いずれ返せる額でないとね?」
「うにゃあ……仕方ないのにゃ。借金はおそろしいのにゃ」
「そういう話ではない気もしますけれど……ほら、こちらの防具なんかよろしいのではなくて?」
3人が一緒になって防具選びを始めます。
私はこの間に、ナップサックや野営道具を買ってしまいましょう。




