31 アンネとクエラの武器
学園の正門前では、既にクエラお姉さまとアンネちゃんが待ちぼうけていました。
「遅いにゃ、2人とも!」
「あはは、ごめんなのです」
遅れたのは完全に私のせいなので、素直に謝ります。
そして、お姉さまとアンネちゃんの武器を順に見ます。
お姉さまは、いつも使っているごく普通のロングソード。
装備もさほど目立つ感じではなく、動きやすいハンターらしい服装。ただ、防具らしいものを一つも身につけていないのは意外でした。
恐らく、いざとなれば『レッドマスカレイド』でいくらでも防戦が出来るのでしょう。
模擬戦の時のように、防御用の盾をストレージに保管されるようなことは滅多にありません。
ふと気付いたのですが……お姉さまのレッドマスカレイドを保管できてしまったということは、私がその気になれば相手の装備を全てストレージに保管して丸裸にできてしまうということにもなります。
ただの便利倉庫としか考えていませんでしたが、大容量かつ高ランクのストレージともなるとなかなかヤバいことができそうです。
続いて、私はアンネちゃんの装備を見ました。
巨大な、お姉さまの身長よりも大きなハルバード。
それを、アンネちゃんは軽々と持ち上げています。
そして、服装はかなり重装甲。
金属製の防具で胸から腹、腰まで覆っています。
足元も金属製のブーツ。
腕にも金属製の篭手をつけています。
重装備すぎて、少し動くだけでがちゃがちゃ音が鳴っています。
……これ、ハンターとしてどうなんでしょうか。
「あの、アンネちゃん」
「何かにゃ?」
「その装備、うるさいです」
「うにゃあ!?」
「だから言ったじゃないか……大物ばかり相手にするわけじゃないんだから、そんな気合を入れた装備はむしろ邪魔になると」
お姉さまも苦言を呈します。
リグも言葉こそありませんが、呆れている様子。
「アタシは前からこの装備でやってきたにゃ! ハンター経験者のアタシを信じるにゃ!」
なるほど。
アンネちゃんがお姉さまに匹敵する実力者なのに、家賃をケチるほど貧乏ハンターをしていた理由が分かります。
これだけ重い装備をしていたら、うるさくて獲物のモンスターも逃げてしまいます。
稼ぎは相当悪かったのでしょう。
「……お金はわたくしが出しますから、革製のもっと静かに行動できる装備になさい」
「にゃむぅ……リグちゃんまで言うのかにゃ。こんなに不評とは思ってもみなかったにゃ」
がくり、とアンネちゃんは肩を落とします。




