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29 神との対話




 カミさまが匂わせた可能性について、私は問い詰めます。


「例えば私がうっかり模擬戦で誰かを殺してしまったら、その人をカミさまは生き返らせることは出来ないのですか?」

「そうだよ。私はユッキーの造物主ではあるけど、この世界の他の存在の造物主ではないから。そこまでの権限は無いんだよ」


 少し嫌な言い方です。

 だから私は、悪い可能性を考えてしまいました。


「その言い方だと、私のことは生き返らせることができるみたいな言い方なのです」

「そうだね。可能だよ」


 ぞっとします。

 それは――私が、自分の意図と関係なく生死を超越してしまっているということです。

 あっさり受け止めるには、重すぎます。


 そして、もっと言えば。

 カミさまの気分次第で、私はいつでも消滅させられる、という意味も含んでいます。


「その心配は無いよ」


 カミさまは、私の思念をあっさり読み取り、言いました。


「私はユッキーを無理に生き返らせたり、殺したりしない。今以上にユッキーという存在を魔改造するつもりもない。……いや、既にけっこうやっちゃってるけどね? でも私が手を加えた部分はほとんど封印してあるから、今のユッキーはユッキーのままだよ」

「あらためて言われると、恐ろしい話なのです。私は……いえ、私の人格や、存在のあり方すら、カミさまの思い通り、自由に変えてしまうことが出来るのですよね、きっと」

「その通り。でも、私はそんなことしないよ」


 カミさまは、今まで聞いたことのないような口調になります。

 そして、カミさまは私の頬に手を添えます。


「だって、私はユッキーが好き。だから転生させたんだから」


 思いもよらない言葉に、私は少しだけ動揺します。


「ユッキーをユッキーのまま見続けていたいから、この世界につれてきた。だから、ユッキーの人格とか、そういう部分には何にも手を加えるつもりはないよ」


 言うと、カミさまはそっと手を離します。


「まあ、つまりそんなに気にしないで今まで通りでいいってこと」

「……わかったのです」


 何か釈然としませんが、今はカミさまのことを信じておきましょう。

 こいつが悪いヤツではないことは、十分に理解しているつもりですから。



 その後、カミさまと何を話していたのか、とみんなに聞かれましたが『精霊の世界の言葉的なもので会話をしていた』とごまかしました。

 流石に『カミさまが会話の意味を理解できないように世界を改変していた』とは説明できません。



 朝食を終えると、いよいよ今日の活動開始です。

カミさまは何だか意味ありげな感じですね。

まあでも多分ユッキーが好きなんですよ。多分。


そんなカミさまが好きな方、お仕置き棒でうべべべ言ってるカミさまをもっと見たい方はブックマークや評価の方をよろしくおねがいします!

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