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27 メンバーの実力は?




「そういえば、アンネさんはどれぐらい戦えるのかしら」


 朝食を食べながら、リグが突然尋ねます。


「えっと、まあまあかにゃ? さすがにクエラちゃんには負けるにゃ」


 まあ、お姉さまに勝てるほどの実力者だったら、家賃をケチる必要も無いでしょうし。

 それぐらいは想像の範疇です。


 恐らく、リグレットさんが言っているのは下限の話。


 もっと分かりやすく言えば、戦力として数えられるかどうか。


「模擬戦の経験上だと、アンは僕が吸血覚醒を使わず、技能を駆使しなかった時とほぼ同じか、少し下ぐらいの実力だよ」

「それってうちのお屋敷の騎士ほとんどに勝てるレベルなのですが」


 私は驚き、つい口を挟みます。

 お姉さまは剣術だけでもダズエル家のお屋敷の護衛騎士達に勝てるほど強かったのを思い出します。

 あの時、常に吸血覚醒をしていたとは思えません。

 それを考えると、お姉さまはかなり手加減した上で騎士達に勝っていたということになります。

 それに近い力があるなら、アンネちゃんも相当な実力者です。


 私は、試しにアンネちゃんのステータスを確認してみます。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


アンネ・カウルマン(Anne Caulman)


ライフ:5567

パワー:2923

攻撃力:1942

防御力:785

魔法力:203

敏捷性:529


技能:斧術(B) 斧槍術(B) 槌術(B) 狂化(C)

魔法適性:水(E+)、光(E+)

魔法耐性:


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 うわ、思っていた以上の実力者です。

 というか、ステータスとしてはリグよりも上では……?


 こんなこと知ったら、リグはまた決闘をやりたがるに違いありません。

 黙っておきましょう。


 それよりも、狂化という技能が気になります。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


狂化:理性と知性を放棄し、代償として一時的に身体能力を大きく上げる


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 なるほど、言葉通りの技能らしいのです。


「あの、アンネちゃん」

「ん? 何かにゃ?」

「アンネちゃんの狂化という技能なのですが、どれぐらい強くなれるのです?」


 私が訊いた瞬間、アンネちゃんはギョッとした顔になりました。


「そ、その技能のことなんで……って、ファーリちゃんはサーチ持ちだったにゃ。そっか、いずれバレるとは思ってたけど、こんな早くバレるとは思ってなかったにゃ」

「えっ、もしかして、言っちゃダメな技能でした?」


 私は慌てます。すると、お姉さまがため息混じりに教えてくれます。


「あのねファーリ。普通、スキルは人によって秘策中の秘策。そんな簡単に、誰にでも分かるような方法で口にしちゃいけないよ」

「あう……ごめんなさいなのです」

「いいんだにゃ、気にしてないにゃ。ただ、狂化した後のことが恥ずかしいから、あんまり知られたくなかっただけにゃ」

「後、ですか?」

「正確には、狂化を使って戦闘を終えて、狂化が終わるまでの間のことにゃ」

「ど、どうなるのですか?」


 私は、気になってつい訊いてしまいます。

 お姉さまはまた呆れたようなため息を吐きましたが、アンネちゃんはきちんと教えてくれます。


「……猫になるにゃ」

「へ?」

「だから、猫そのものになるんだにゃ! 理性も知性も失って、普通の猫みたいな行動を取るようになっちゃうんだにゃ!」


 可愛いもんでした。


 いずれアンネちゃんには、私の為に狂化してもらうことにしましょう。

 そうしましょう。

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