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18 ルームメイトは猫




 その後、お姉さまは私の血を吸って元気を取り戻したのか、すぐに起き上がることが出来ました。


 私たち3人は、揃って寮の自室に戻ります。

 すると、いつの間にか姿を消していたカミさまもさりげなく混じってきます。


「いや~名勝負だったねえ」

「今さら何の用なのです」

「えっ、ユッキー冷たくない? 私今回はそんな悪いことしてないよね?」

「日頃の行いが悪いやつはこうなるのです」

「くぅ……これからはいつも以上にユッキーに優しくするよ……」


 現状、その優しさが裏目にでてばかりのような気もしますが。


 ともかく、4人になった私たちは、まずお姉さまを部屋に送ります。

 今日の模擬戦で一番疲れているはずなのですから、丁重に扱わせてもらうのです。


「ありがとう、みんな。もう大丈夫だよ」


 そう言って、お姉さまはドアノブに手をかけます。


 それと同時のことでした。



「――お帰りだにゃあ~~~~!!」



 ドアを勢いよく開けて、中から1人の女の子が飛び出して来ました。


「こら、アン! いきなりどうしたんだい?」

「それはこっちのセリフだにゃ! 急に朝からいなくなったと思ったら、医務室に運び込まれたって聞いて心配したんだにゃ!」


 お姉さまに飛びついた女の子は――とても、特徴的な子でした。

 喋り方も語尾に『にゃ』と付けるところが特徴的なのですが、それ以上に外見です。


 見た目は普通の女の子とほぼ変わりないのですが、その頭にはなんと猫耳がついています。

 手足の先から胸元まで、首より下の部分には毛が深々と生えています。

 その茶色と薄茶色の縞模様の毛並みは美しく、触るとふわっとしていそうな柔らかさも兼ね備えています。

 そして、茶色のショートヘアと、紅い瞳。瞳孔が人間のものとはどこか違うように見えて、不思議な印象を受けます。

 お尻からは体毛と同じ柄の毛が生えた尻尾も伸びており、お姉さまに抱き付いたままフリフリと揺れています。


 見たところ、年齢は私よりも少し年上のように見えます。


「あの、お姉さま? この方は……?」

「ああ、紹介しておかないとね。この子はアンネ。僕とは寮が同室の子で、獣人と人のハーフなんだ」

「……よろしくだにゃ」


 お姉さまが紹介をしたとたん、こちらを見て怯えたようにお姉さまの後ろに隠れてしまいます。

 アンネちゃんは、恥ずかしがり屋さんなのでしょうか。


 いや――そんなことよりも。


 今、私は内心でたまらなく興奮しています。


(猫耳の女の子……しかも、体毛もバッチリ……)


 触りたい、という激しい衝動に駆られます。というか、既に手がワキワキしています。勝手に前に伸びていきます。


「……ファーリ? どうしたのです?」


 私の隣で、リグが声をかけてくれますが、それでも私の興奮は収まりません。



 初めて――リアルのケモっ娘を見てしまったのですから。

 興奮を抑えられるはずがありません!


「ああああああああっ!!!!」


 私は叫び声を上げて、アンネちゃんに飛びかかりました。


「うにゃあああああああっ!??!??」


 アンネちゃんは私の奇行を恐れるあまりか、身動きすらとれずに悲鳴を上げます。


 チャンスです。


 私はガシッとアンネちゃんの身体を抱き締め、身体中の体毛をもふもふわしわしと弄って堪能します。


「ふにゃにゃにゃにゃっ!?」

「あぁ……ケモいのです……これはたまらなくケモいのです……しゅきぃ……」

「ど、どうしたのですファーリ!?」


 私の様子の変貌っぷりに、リグが慌てます。


「……あー、こうなる気がしてたから、会わせないつもりだったんだけどね」


 そしてお姉さまが、呆れたように言います。


「実はうちの妹、獣人が大好きすぎてちょっとおかしいんだ」


 まったく言われたとおりなので、反論はしませんでした。

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