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10 ファーリ、挑まれる




 私はお仕置き棒を手に持つと、さっそく目を閉じて念じてみます。

 そして、名前を考えます。


(何が良いでしょうか……主な用途はお仕置き棒ですし)


 お仕置き、つまり、前世の世界の言葉でスコルド。


 いえ、このままではちょっと安直すぎます。

 それに、もうちょっとカッコつけたいです。


(お仕置き……スペシャルなお仕置き……お仕置きEX……)


 その時、ぴこん、と私の頭のなかに良い言葉が浮かびました。


(EXスコルド……つまり、エクスコルド! これです!)


 なんだかエクスカリバーっぽい響きで強そうです。


 次の瞬間、私の頭のなかに、何か手応えのようなものが感じられました。

 私は、その手応えに向かって何度も念じます。


(お前の名前は、今日からエクスコルド……エクスコルド……)


 すると、だんだんと手応えがハッキリしてきます。


 そして――何かが弾けるような感覚が頭に溢れました。


「はうっ!?」


 私は思わず目を見開きます。


「どう、ファーリ? ちゃんと銘は付いた?」

「はいです!」

「どれどれ……?」


 お姉さまは、私からエクスコルドを受け取って、じっくり眼で見ます。


「……確かに、銘が付いてるみたいだね。ちなみに、どんな名前にしたのかな?」

「エクスコルド、です! カッコよくしてみました!」

「へぇ、どういう意味の言葉?」

「はえっ!? えっと……特別な力、とかそういう感じの……」

「ふうん」


 お姉さまは、名前の意味についてはさらりと流してくれました。

 一方で、カミさまは顔を青くしています。

 ……これは、名前の意味がお仕置きEXだということに気付いているようですね。


「――よし、これで準備も調ったね。僕も遠慮なくいけるよ」


 急に、お姉さまがよく分からないことを言い出します。


「どうしたのですか、お姉さま?」

「ふふ、ファーリ。まさか君に私がこんな気持ちを抱く日が来るとは思っても見なかったよ」


 私はわけが分からず、首を傾げます。リグも同じ様子で、訝しげにお姉さまを見ています。


「さあ、ファーリ! 決闘をしよう!」



「……はい?」


 言われてもまだ、わけが分かりませんでした。

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