23 最終試験、模擬戦
――私とリグレットさんは、武器を構えて向かい合います。
場所は、訓練場の中央。
現在、ここは最終試験である実戦形式の模擬戦が行われています。
本来は、くじでランダムに選ばれた受験者同士が対戦するのですが、私とリグレットさんの飛び抜けた試験成績を鑑みた配慮、そして何よりリグレットさんの強い要望で、私とリグレットさんが模擬戦をすることが決まってしまいました。
ちなみに、模擬戦で負けたからといって不合格になるわけではありません。
実戦の中での対応力や判断力、そして総合的な戦闘能力を測るため、受験者同士を戦わせるのです。
なので、私やリグレットさんと他の受験者さんが当たった場合、相手の実力を測れない、と試験官の皆さんが判断したのです。
と、それはともかく。
魔法実技試験の直後、リグレットさんは、私との決闘を望みました。
理由はなにやらよくわからないことをつらつら言われたのですが、ともかく決意は変わらない様子でした。
そこで、条件付きで最終試験で勝負する、という要求を飲んだのです。
そして、条件とは以下の3つ。
1:魔法は無属性魔法しか使わない
2:魔法は全力を出さず、補助でしか使わない
3:剣術主体で、最大封印をした上で戦う
この3つです。
最大封印については、説明すると話が長くなるので『無属性魔法で身体強化ができるが、それはしないで戦う』とごまかしました。
いえ……ちゃんとお友達になったあかつきには、本当のことを話すつもりです。
でも、まだ色々信じてもらえないようなことが多いので……仕方なく、嘘を重ねていきます。
リグレットさんは最初こそ条件を飲んではくれませんでしたが、私がこの条件でも勝つ自信がある、と言ってみせるとあっさり受け入れてくれました。
ただ、やっぱりちょっと怒っているようでしたけれど。
こうして――私とリグレットさんの直接対決が成立してしまったわけです。
「――手加減なさること、後悔させてあげますわ」
言って、リグレットさんは銃剣を構えます。
「できるものなら」
私は、子供用ショートソードを構えます。
そのまま、数秒睨み合いが続きます。
「――試合開始ッ!」
そしていよいよ、試験官の合図の声が響き渡りました。




