19 アンネへの助力
ところ変わって、ここはアンネちゃんの戦場。
攻撃を当てられず、切り返しの手段が無いままのアンネちゃん。
そして剣士アンナさんは一方的に攻撃を加え続けます。
――そんな二人の間に私が割り込みます。
「助太刀するのです!」
「うにゃっ!?」
飛び入りした私は――リグの時と同じく、姿形は私と同じで、髪と瞳の色が違います。
茶色の髪と、赤い瞳。ちょうどアンネちゃんと同じ色です。
さらに違う点が一つあって……私は、アンネちゃんと同じく猫の耳が頭部に付いています。
そう、まるでクオーターの獣人のような特徴です。
「ファーリちゃん、なのかにゃ?」
「はい、そうなのです。苦戦しているようなので、助けにきました」
「ありがとうにゃ!」
私が言うとアンネちゃんが喜び、アンナさんは警戒して距離を取ります。
「……ですが、アンネちゃん。私は直接手を出しません。アンネちゃんが奴をこのまま倒すのです」
「にゃにぃ? そんなことできるのかにゃ?」
「はい。アンネちゃんならできます」
私が断言すると、アンネちゃんは首をかしげます。
「カウンターでコード強制しても死なない相手だったにゃ。しかも、攻撃も当たらないにゃ。どうやって勝つにゃ?」
「ふふふ。アンネちゃんもおバカですね。ご自分がどういう方針で強くなったのかお忘れですか?」
私がいうと、アンネちゃんは逆方向に首をかしげます。
「どういうことにゃ?」
「つまり、防御力を活かしたゴリ押しです! アンネちゃんは9999枚のレリックアーマーで攻撃を耐え、素早い相手には広範囲攻撃をドカーンとぶつけてやるのです!」
「それはもうやったにゃ! でも速すぎて広範囲攻撃も当たらなかったにゃ!」
不満げに言うアンネちゃんに、私はドヤ顔で言い返します。
「だったらもっと広範囲を攻撃すればいいのです! 超広範囲攻撃です! それでも駄目なら超々広範囲攻撃、それでも駄目なら世界中でもなんでも巻き込むぐらい広範囲攻撃すればいいのです!」
「にゃるほど! さすがファーリちゃん、かしこいにゃ!!」
「ふふふ。それほどでもあるのです」
というわけで。アンネちゃんに素早い敵の攻略法を伝授したので、私は手を出さず見守ることにします。
私のアドバイスで吹っ切れたアンネちゃんは、ハルバードを振り下ろす構えを取ります。
そして……膨大なパワーをハルバードに注ぎ込んでいきます。
絶大なエネルギーを溜め込んだハルバードは、黄金色に光り輝き始めます。
「一発で沈めてやるにゃ!!」
「さ、させないよ!!」
アンネちゃんの様子を見て、アンナさんが慌てて攻撃を再開します。
超高速の剣戟が、アンネちゃんのレリックアーマーを超高速で削っていきます。
しかし、アーマーの枚数は9999枚。
安々と削りきれるものではありません。
そしてアーマーが全て削れていない以上、アンネちゃんが怯むことはありえません。
結果――パワーの溜めが完了して、アンネちゃんの究極必殺技が発動します。
「喰らえにゃ! ユニバースッ! デストロイヤァアアッ!」
莫大なパワーを武器に溜め、一瞬で開放する奥義、ユニバースデストロイヤー。
アンネちゃんはハルバードを振り下ろし、地面に叩きつけます。
すると、溜め込まれたエネルギーが開放され、地面を伝って広がり、強烈な破壊力を持った奔流となって辺り一帯を埋め尽くします。
飽和したエネルギーは逃げ場所を求めて――上昇気流でも起こすみたいに、轟々と立ち昇ります。
そんな莫大かつ広範囲を包む攻撃に、剣士アンナさんは為す術がありませんでした。
一瞬でライフを削りきられて、戦闘不能に陥ります。
実はアンネちゃんが溜めを開始した時点で距離を起き、逃げていれば簡単に回避できたのですけどね。
どうにかアンネちゃんの攻撃を止めようとしてしまった時点で、アンナさんは負けが確定してしまったというわけです。
――とまあ、戦闘が終わると、今度はアンネちゃんがドサリと倒れ込みます。
「うにゃぁ……さすがにパワーを使いすぎて動けないにゃ」
「お疲れ様なのです、アンネちゃん」
私はアンネちゃんに歩み寄り、そしてお姫様抱っこで持ち上げます。
「さて。それでは一緒に議事堂跡へと戻りましょう」
「わかったにゃ!」
「戻りながらモフモフもさせてほしいのです」
「わかったにゃ!」
というわけで、私とアンネちゃんは仲良ししながら議事堂跡へと戻っていくのでした。




