表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
一章 初めてのおともだち
29/320

15 恐怖の実技試験、開始




 最初の実技試験は、魔法無しでの実技試験。

 用意された人型ゴーレムを相手に、どこまで戦えるかを見るとのこと。

 ゴーレムを倒すと、次々とより強いゴーレムが投入されます。

 つまり、何体のゴーレムを倒したか、というのが強さの指標になるのです。


「ふふっ。勝負が楽しみですわね、ファーリ」


 楽しそうに、けれど鋭い目つきでリグレットさんが笑います。

 私は楽しみどころか、今からすでに胃が痛いです……。



 他の受験者の成績を見ていると、どうやら5、6体ほど倒せるのが平均的なようでした。武芸の嗜みが無い人は、1体目でも厳しそうでした。

 一方で、実力のある人は10体を越えて倒すこともありました。

 見ている中で、一番多く倒したのは騎士っぽい装備に身を包んだ女の人で、なんと17体。

 ゴーレムは20体までしか用意されていないらしいので、もうすぐで成績がカンストするところだったようです。


「次、307番!」


 いよいよ、リグレットさんの番です。


 リグレットさんは試験の舞台に上がります。一つせり上がった石の舞台の上で、リグレットさんとゴーレムが相対します。


「試験開始ッ!」


 試験官さんの声が響くと、リグレットさん、そしてゴーレムさんが動き出します。


 リグレットさんは一瞬でゴーレムまでの距離を詰め、そして――その特徴的な銃剣を振って、斬りつけます。

 ゴーレムはあっさり真っ二つ。石ではなく、土のゴーレムですからね。当然の結果です。


 次のゴーレムが召喚されます。が、リグレットさんはこれも苦もなく一刀両断。

 そうして、次々とゴーレムを撃破していきます。


 11体目のゴーレムから、変化が訪れます。

 そう。素材が土から石に変化するのです。


 ほとんどの人は、ここからゴーレム撃破のペースが落ちます。

 というのも、鉄製の武器で石のゴーレムを倒すのは至難の業だからです。

 ちゃんと弱点となっている、核の部分に大きな傷をつければ倒せるのですが、ここまで来るとゴーレムの動きもなかなかのものですし、そもそも石ですから一太刀で撃破とはいきません。


 ですが――舞台に立つリグレットさんはニヤリ、と口の端に笑みを浮かべます。


 ためらいなく、リグレットさんはゴーレムへと急速に接近します。そして、銃剣を弱点たる核の部分に突き立てました。


 勢いもあって、深々とゴーレムの核に突き刺さります。


 石のゴーレムを、一瞬で撃破。

 野次馬となっている受験者からざわざわと声が上がります。


 その後も、リグレットさんは難なく石のゴーレムを屠っていきます。

 そして、20体目。それさえも、わずか一撃で核を正確に貫き、撃破してしまいました。


 野次馬たちから、歓声と拍手が湧き上がります。


「お前たち、煩いぞ! 全員自分の試験を受けに戻れ! ――次、308番!」

「はい!」


 私は返事をして、舞台に上がります。

 その際、舞台から降りてくるリグレットさんとすれ違います。


「楽しみにしていますわよ」


 勝ち誇ったような声でした。

 実際、既に勝利を確信しているのでしょう。


 いや、当然なのですけれど。

 なにせ、全てのゴーレムを撃破したのですから。

 私がどうあがいても、成績上は引き分けが限度です。


 しかし、私は引き分けるつもりはありません。

 全力で――うまく演技して、リグレットさんに負けてみせますとも!


 ええ、目立ちたくありません。

 リグレットさんと引き分けなんて、精神衛生上よくありません。

 なので、子供らしい負け方で上手く負けを演じてみせます。

 それと同時に、多くの教員の注目を集めるほどの人間っぽい成績も残してみせます。

 そうすることで、誰にも疑われることなく注目をリグレットさんの方に誘導できるのです。


 ふふふ……リグレットさん。悪いのですが、あなたには人柱になってもらうのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ